金融分野におけるスマートコントラクト:欧州の金融機関はどのように対応しているか 前編(テュフズードジャパン)

2022年3月28日6:00

 

テュフズードは全世界に1,000以上の拠点を持つグローバルに活動する企業であり、パートナー企業もまた世界中に拠点を置いている。とりわけ決済関連の事業においては欧州にパートナー企業があり、彼らと緊密に連絡を取りならが各種の協業を行っている。今日は欧州のパートナー企業の中から、セキュリティ分野のラボであるSRC Security Research & Consulting GmbHのBenjamin Botermann氏 および Dagmar Schoppe氏が昨年末に投稿したスマートコントラクトについての記事を2回に分けてご紹介したい。主にドイツでの状況だが、この技術革新についての課題は日本でも共通している部分があると考えられ、参考となれば幸いである。

記事のポイント!
①スマートコントラクトはブロックチェーン上のプログラム
②今すぐこの仕組みの参加者になる必要が出てきている?
③分散型台帳技術に基づきプログラムされた自己実現型の契約に
④既存の金融機関のビジネスモデルの明確な脅威となる
⑤複数銀行が参加したドイツの先行プロジェクトから約4年が経過

スマートコントラクトとは

スマートコントラクトは、ある条件が満たされた場合に、事前に決められていた処理が実行されるブロックチェーン上のプログラムで、これまで信頼できる中央機関での管理により担保していた信頼性を、改ざんの困難な取引履歴を分散して共有することで信頼性を担保するものである。

ブロックチェーン技術を用いたスマートコントラクトは、特に金融分野においてビジネス上のプロセスを高速化し、リソースを節約する可能性を秘めている。ブロックチェーン技術自体はこれまでのところ、主に分散型金融(DeFi)の領域で、暗号通貨を使った取引に利用されている。このスマートコントラクトを使用した取引の場合、既存の金融機関の領域である清算機能はもはや必要のないものとなっており、金融機関側がこの新しい分散型モデルの恩恵を受けようとするならば、傍観している猶予はなく、今すぐこの仕組みの参加者になる必要が出てきている。

保険金や補償金の支払い、住宅ローン、口座開設といった取引は、通常は正当性の確認と検証のために時間がかかるものであり、また労力のかかるものでもある。しかしスマートコントラクトであれば、そのようなことはない。スマートコントラクトでは、分散型台帳技術に基づきプログラムされた自己実現型の契約になっている。取引はすべての関係者に分散して保存され、暗号的に保護されているため、不正操作は不可能と考えられている。契約はもともと 「もしこうなったら、こうする」という形式で表現されるもののため、プログラムとは相性が良く、条件のマッチングや支払いなどのアクションも、スマートコントラクトでは中央清算機関のチェックを必要とせず、自動的に行うことができる。

スマートコントラクトがもたらす金融機関にとってのチャンスと脅威

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