2022年6月8日8:00
NTTデータは、2020年10月に日本最大級のキャッシュレス決済総合プラットフォーム「CAFIS」の料金見直しを行った。新料金では、カード会社が負担する「クレジットカード取引における処理料」と金融機関が負担する「QRコードのチャージなどに利用されるCAFIS即時口座振替取引の処理料」を改定したが、少額決済取引が拡大するなどの成果を生んだ。同料金改定の経緯や現状、今後のキャッシュレス推進の取り組みについて、NTTデータに話を聞いた。
記事のポイント！
①クレジットカード取引におけるCAFIS処理料を改定
②背景に少額決済の取引が増え、平均単価が低下
③公取委の報告書で市場からのリクエストが顕在化
④クレジットの少額取引オプション参加カード会社は60社超に
⑤クレジットカード決済の低単価取引は今後も増加へ
⑥QRコード決済のチャージ時にCAIFISは実効性の高いサービスに
⑦低コストで利用できるチャージ手段はさらに拡大？
⑧経産省 令和2・3年度キャッシュレス検討会の委員を務める
⑨検討会はキャッシュレス文脈の中で市場に対する意味は大きい？
⑩デジタル化の中でフリクションレスな支払いを
⑪「サービスインテグレーション」としての価値を発揮へ
少額決済拡大によるカード会社の負担増に対応
市場からのリクエストが顕在化
キャッシュレス決済のチャージに利用される「CAFIS」の即時口座振替取引の料金は、2020年9月までは1件あたり最大3.15円（決済金額にかかわらず同額）だったが、同10月から1,000円以下の少額決済は決済金額の0.3％という方式に変更した。また、QRコードのチャージなどに利用されるCAFIS即時口座振替取引のCAFIS処理料は、2020年9月までは1件当たり最大3.15円だったが、同10月以降は1円となっている。
当時、料金を改定した背景として、クレジットカード決済の取引は年々拡大しているが、特に少額決済の取引が増え、平均単価が低下していることを挙げた。NTTデータ IT サービス・ペイメント事業本部 カード＆ペイメント事業部戦略・ビジネス企画統括部長 渡邊賢氏は「特にクレジットカードの少額決済での取引は伸びており、低単価でもキャッシュレスが浸透するのは有難いです」と話す。近年は、「Apple Pay」や「Google Pay」などのウォレットサービスも普及し、コンビニエンスストアなどでの日常使いも目立ってきた。また、QRコード決済など新たな手段も増えており、キャッシュレス決済が利用される価格帯は数百円レベルの少額決済まで広がっている。さらに、飲食店では自動精算機によるセルフ決済が増えており、少額決済の拡大を後押ししている。今後もこの傾向が継続することは間違いない。
また、クレジットカード決済の平均単価が下がるにつれ、クレジットカード会社の負担増につながる懸念もあったという。2020年4月には、公正取引委員会から実態調査報告書が出されたが、「それ以前から料金改定の構想はあり、市場からのリクエストが顕在化され、メッセージされたタイミングと重なりました」（渡邊氏）としている。
60社以上のカード会社が参加
1,000円以下の取引は拡大
渡邊氏は「料金改定後は、概ね評価をいただいていると認識しています。数カ月前の段階として、クレジットの少額取引オプションに参加したカード会社は60社を超えており、かなりの数に参加していただいたと認識しています」と成果を述べる。1,000円以下の取引は、数カ月前の段階でCAFISの決済処理全体の13％程の比率となっているが、今後もクレジットカード決済の低単価での取引は増加するとみている。CAFIS処理料の新料金が市場のさらなる拡大を後押しし、より多くの人に使ってもらいたいとした。
なお、CAFISの料金は、大手企業向けは不定期ではあるが市場での取引実績に合わせた形で適宜変更している。
