2023年4月12日8:00
一層の普及に向けてPSP各社と連携をとりながら取り組みを推進
デジタルガレージの子会社で、大手決済処理事業者のDGフィナンシャルテクノロジー(DGFT)は、1年をかけて3-Dセキュア1.0からEMV 3-Dセキュアへの対応を進め、予定通りに既存ユーザーへの導入を終えた。同社ではセキュリティ強化の有効な手段として加盟店に対し、EMV 3-Dセキュアを勧めている。今後は、PSP(ペイメント・サービス・プロバイダー)の業界団体であるEC決済協議会で議論を深めながら、各社とともにEMV 3-Dセキュアの一層の普及拡大に努める。また、不正検知ソリューションのバリエーションを広げ、幅広い加盟店のニーズに応えていく。(「決済セキュリティ2.0」より)
昨年秋よりEMV 3-Dセキュアの稼働を開始
課題を解決して安定的運用を実現
ECをはじめとする非対面領域を中心に、オンライン決済サービスなどを提供するDGFTでは、1年以上をかけて3-Dセキュア1.0からEMV 3-Dセキュアへの切り替えの対応を進めてきた。3-Dセキュア1.0を導入していた加盟店、ECベンダーについてはすべて切り替えを終了。今後は新規ユーザーの獲得に力を入れ、EMV 3-Dセキュアの普及を図る。
DGFTでは自社開発にて3-DSサービスを提供している。昨年秋のEMV 3-Dセキュア稼働開始当初は、「通信が不安定であったり、追加認証を要求されるトランザクションの比率が想定していた1割を大きく上回っていたりと、予想外の事態への対応に追われる場面もありました」と、DGFT 代表取締役社長共同COO 兼 執行役員SEVP 篠寛氏は振り返る。システム面および運用面で改善を加えた結果、稼働開始から数カ月を経過した現在、課題はほぼ解決されている。
業界全体を見回すと、イシュア(カード発行会社)ではすでに95%以上がEMV 3-Dセキュアに対応しているというものの、依然、静的パスワードを使用しているケースが少なくない。一方、加盟店では、投資の余力がある大手企業は導入に積極的。EMV 3-Dセキュア導入済みのECベンダーを利用している比較的小規模の企業も対応ができているが、その狭間にある中規模企業の対応が遅れ気味だと篠氏は見る。EMV 3-Dセキュアが狙い通りの効果を発揮するところまでは、まだ到達していないのが現状だ。
DGFTはPSP各社を正会員とする業界団体、EC決済協議会の中心メンバーであり、各社と活発に情報交換や議論をして、経済産業省への申し入れ等を行う活動を推進している。篠氏自身、EC決済協議会の会長社として、経済産業省が事務局を務める「クレジットカード決済システムのセキュリティ対策強化検討会」の委員を務めた。
EMV 3-Dセキュアの普及をいかに加速させるかは、まさにこれからの課題。経済産業省では現状すべての事業者に一律に導入を求めているが、広く浸透を図るには「規模や取扱商品などによる区分けをして、きめ細かな対策を練る必要があるのではないかと考えています。これについては協議会でも、今後より具体的に議論を進めていきます」と篠氏は述べる。
動的パスワードの活用と
独自対策との併用で効果を上げる
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