2023年8月4日8:40
南海電気鉄道(南海電鉄)は、2023年11月1日からグループ共通ポイント「minapita(ミナピタ)ポイントサービス」をリニューアルする。新たに7種類の「施設・エリア限定ポイント」を構築して南海電鉄・泉北高速鉄道沿線を回遊してもらうとともに、グループ事業横断でのロイヤリティ施策を強化することで、会員とのワン・トゥ・ワンでのコミュニケーションを図るという。
minapita会員は41万人
南海グループ外店舗での利用も可能に
「minapitaポイントサービス」は、南海グループの施設・店舗や、国内外のVisa/JCB加盟店での決済、南海電車・泉北高速鉄道の乗車で「minapitaポイント」が貯まるサービスだ。貯まったポイントは、「なんばパークス」「なんばCITY」などで1ポイント=1円で利用できる。また、ギフト券への交換や特急チケットレスサービスのポイント、グルメ商品にも交換可能だ。
南海電鉄のポイントサービスの歴史として、2003年10月に商業施設のポイント専用カード「パークスカード」を発行開始した。2017年4月にはクレジットカード「ミナピタカード」、および「パークスカード」「パークス・シティカード」などのポイントサービスを統合し、南海グループ共通の「minapita ポイントサービス」をスタートした。それまではクレジットポイントと現金ポイントサービスは別々に貯まり・使えたが、それを統合することで、より貯めやすく、使いやすいポイントとなった。さらに、2017年まで貯めたポイントの利用はギフト券の交換等に限られていたが、1ポイントからポイント払いが可能になったことで汎用性が高まった。2023年11月からは、さらなる顧客利便性の向上に向けてポイントサービスをリニューアルする。
minapita会員にはminapitaポイント会員とminapitaクレジットカード会員がおり、その2種類合計で41万人の会員を有する。人の移動が制限されたコロナ禍の中、昨年、一昨年は会員減などの厳しい状況が続いたが、今年に入って乗車や商業施設での利用が活発化している。
また、これまで「minapitaポイントサービス」は南海グループを中心に加盟店網を構築してきたが、2023年7月からは「センタラグランドホテル大阪」「ホテル京阪なんばグランデ」「パークスサウススクエア」がグランドオープンしており、初めて南海グループ外の施設がポイント加盟店となった。南海電鉄 総務人事グループ DX推進部 中野 聡士氏は「画期的なのは、ホテル京阪では京阪グループ様と調整し、グループをまたいでminapitaポイントが貯まり、使えることです」と説明する。
デジタル顧客接点を強化
「なんばまるっとアプリ」会員は3割弱に
南海電鉄では現在、なんば駅の商業施設「なんばパークス」や「なんばCITY」を中心にアプラスと三井住友カードとの提携クレジットカード「minapita JCB/VISA カード」「ミナピタサイカ JCB/VISA カード」を訴求しており、今後もさらなる会員数の伸びを見込んでいる。利用者の年代も百貨店を基盤とする鉄道会社よりも若い世代が多いという。
また、南海グループでは2022年5月からスマートフォンアプリ「なんばまるっとアプリ」の提供を行っている。「アプリ会員の会員数は足元で3割近くにまで伸びています。新中期経営計画の『共創140計画』でもデジタル顧客接点の構築をうたっており、さらにアプリ率を高めていく方針です」(中野氏)。「なんばまるっとアプリ」ではこれまで、「なんばパークス」と「なんばシティ」でしかポイント払いができなかったが、今後は各施設で1ポイント=1円から利用が可能となるそうだ。
施設やエリア限定のポイントを発行
難波エリア以外の回遊を促す
11月からの「minapitaポイントサービス」リニューアルの経緯として、南海電鉄ではこれまで自社でサーバを構築してサービスを展開していたが、グループ全体でクラウド化を進めており、その一環として「minapitaポイントサービス」もクラウドへ移行することとなった。また、スマートフォンやWebサービスの浸透により、キャンペーンの展開も多様化している。これまでは、システム的な制約により行いたいキャンペーンが実施できないこともあったが、柔軟な会員施策を展開できるようにシステムを更新している。
リニューアルの目玉となる「施設・エリア限定ポイント」は、一定の施設・エリア内にある複数の店舗で利用可能なエリア単位の制限を設けた限定ポイントだ。施設やエリアを絞ったポイントサービスの試みは、鉄道業界では国内初となる。中野氏は「デジタルな接点でリアルに動いていただき、鉄道に乗って、買い物していただくことを狙いに作りました。そのエリアでしか使えない制限をかけ、お客様の利用状況に応じてポイントをプレゼントします。例えば、毎日、河内長野駅からなんば駅に通勤している人に堺エリアだけでしか使えない限定ポイントを進呈することで、堺駅の駅ナカ、場合によっては街ナカを散策していただきたいです」と期待する。
また、これまでの課題として、難波エリアに偏ったポイント消費の実態があった。南海グループには沿線にも魅力的なテナントがあるが、それを上手に伝えきれていなかった。リニューアル後は、例えば、なんばエリアで一定額を買い物した「minapita ポイントサービス」会員に対して、買い物で貯まる現行ポイントに加えて、なんば駅以外の沿線で使える「沿線エリア限定ポイント」の進呈が可能だ。これにより、沿線全体での消費活性化につなげることができる。
乗降者を把握できる仕組みを構築
プレミアム会員制度をリニューアル
その実現に向けて、会員の乗降者を把握できる仕組みを構築している。南海電鉄では、2023年1月にPiTaPaとICOCAのID番号を登録することで、乗車するとminapitaポイントが貯まるサービスを開始している。中野氏は「各事業部起点のビジネス展開から、お客様を中心に捉えたビジネス展開をする戦略への変換です。ID番号を登録していただくことで、どういうお客様がどの駅からどの駅まで乗車して、どの商業施設で買い物しているかが把握できます。従来は鉄道事業、SC事業など事業ごとに分断されていましたが、横断的に接点を持てるようになります」と述べる。
また、「minapitaポイントサービス」では、minapita会員ならではのお得な特典が受けられる「なんばパークス」「なんば CITY」「なんばスカイオ」「なんばEKIKAN 」の4施設が対象のプレミアム会員制度をリニューアルする。プレミアム会員のお得感を訴求することで、購買を促進させる。
例えば、従来は年間の利用金額が30万円でゴールドクラスだったが、年間の利用金額20万円と敷居を下げた。さらに、「プレミアム対象施設限定ポイント」を付与するそうだ。コロナ禍で施設自体が休館した時期もありプレミアム会員の人数は減少したが、「既存会員に再びプレミアム会員になっていただくことはもちろん、新規会員も獲得していきたいです」と中野氏は意気込みを見せる。
ワン・トゥ・ワンのコミュニケーションも着手
ポイント管理システムや付与端末は?
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