2024年1月23日20:32
日本総合研究所(日本総研)、今村商事、スーパー細川、九州シジシー、旭食品、九一庵食品協業組合(九一庵)、フジミツは、ID-POSを起点とした需要予測の結果を食品流通上の製造・卸・小売間で連携することによって、食品ロス対策およびサプライチェーンの効率化、そして各社の売り上げ向上への効果を検証する実証実験を実施すると発表した。
同実証実験では、顧客情報を含むID-POSデータを用いた需要予測を行うことによって、小売業・卸売業の発注精度がどの程度向上するのかを検証する。加えて、需要予測データを製造業と連携させることで、過剰生産を抑止するための生産計画の可能性についての検証も行う。
同実証実験は、経済産業省委託事業「令和5年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(IoT技術を活用したサプライチェーンの効率化及び食品ロス削減の事例創出)」において、2024年1月22日~2月23日まで、大分県・福岡県内のスーパー細川3店舗で実施している。
国内で年間523万トン(2021年度)が発生している食品ロスのうち、企業などが排出する事業系の食品ロスは半数以上の279万トンに上る。2015年度以降、減少を続けてきた事業系の食品ロス量は2021年度になって微増に転じており、2030年にSDGsを達成させるには食品ロス量を削減させる一層の施策が必要となっている。
事業系の食品ロス発生の主な要因の1つに挙げられるのは、サプライチェーンの最下流である最終顧客と直接接点を持つ小売業者において、正確な需要予測ができていないことだという。需要予測システムを導入していない中小の小売業者では、担当者の経験による属人的な運用に頼らざるを得ないことが多く、また、商品の動きのみを捉えるPOSデータを利用した既存の需要予測システムの予測精度には限界があるとした。
そして、流通データを製造・卸・小売にわたるサプライチェーン全体で共有していないことも、事業系の食品ロスが発生している大きな要因の1つとなるそうだ。例えば、製造業者は、卸売業者を経由して小売業者に納品された製品の在庫状況や次回の受注計画を知らされていない。そのため、機会ロスを恐れて安全在庫を多めに見積もることになり、本来の需要以上の過剰生産を行い、過剰在庫を引き起こしてしまうことが多いのが実態だという。
過剰生産を削減できれば、製造業者の在庫削減も実現し、小売業者にはより新鮮かつ賞味期限の長い製品が納品される。小売業者は賞味期限の近い製品に対する値引きといった販促活動を抑えられるなど、過剰生産の削減はサプライチェーン全体にとって大きなメリットがある。
同実証実験は、最終顧客の本来の需要を高い精度で予測し、その結果を製造・卸・小売間でデータ連携を行うことで、サプライチェーンの上流からも早期に見えるようにする仕組みの構築を目指して実施するという。
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