2024年12月16日8:30
デジタル技術を駆使した次世代のショッピング体験が広がっている。バーチャル空間で素材感を確かめて商品を購入したり、レジを通さず買い物や決済を行なったりできる仕組みが拡大。アプリを通じたセルフチェックアウトシステムの導入も本格化してきた。
記事のポイント!
①ZOZO NEXTがゴーグル型端末アプリでバーチャル体験
②ウォークスルー決済は専用アプリのダウンローも不要に
③ダイエーはウォークスルー決済で一定数のリピーター確保
④エディオン新店舗はNFCやAI、セルフチェックアウト活用
⑤利便性の高い運用方法が重要に
■ZOZO NEXTがゴーグル型端末アプリで買い物実験
ZOZOグループでテクノロジー開発などを手がけるZOZO NEXTは2024年11月、渋谷PARCOにおいて、360度のバーチャル空間で次世代のショッピング体験ができるゴーグル型端末アプリの実証イベントを期間限定で行った。国内アパレルブランド「ANREALAGE」の新コレクション先行受注会で実施したもので、来場者にヘッドセット型コンピューター「Apple Vision Proアプリ」を通じたバーチャル体験を提供した。
アプリでは、バーチャル空間において高解像度の3Dで表示される新作11商品をチェックして予約リストに入れる体験ができる。選んだ商品を1点ずつ回転させたり、近づけて細部の仕様や形状・素材感を確認したりが可能で、実際に店舗で商品を見ているかのような感覚が味わえる。
開放的なバーチャル空間では、デジタル技術の「グリッド」により時間の経過に伴い空の色が変わるなど「時の流れ」も体感できる。先行受注会を記念し、「時空の歪み(グリッド線)」をモチーフにした限定アイテム4型もアプリ内で予約できるようにした。
ただ、予約リストの商品購入はバーチャル空間では行わず、アプリ体験終了後にレジで決済する。
■駅構内にウォークスルー決済店舗を出店したローソン
ローソンは東急や東急ストアと組み、24年10月から東急電鉄の二子玉川駅構内にレジを置かないウォークスルー決済店舗「ローソンS Lawson Go +toks 二子玉川店」をオープンした。商品バーコードをスキャンするセルフレジ型店舗とは異なり、購入時の作業が一切不要。来店者は商品を手に取って店外へ出るだけで買い物が完結する。
ローソンは20年からオフィスビルにて、従業員などだけが使えるウォークスルー決済店舗を展開してきた。新店舗は東急ストアがローソンの加盟店として運営する25年3月までの期間限定店舗の位置づけで、一般客が利用できるウォークスルー決済店舗としては初となる。
NTTデータと海外スタートアップのクラウドピック社が協働で開発した「キャッチ&ゴー」システムを導入。来店者はLINEで取得したQRコードをかざして入店し、商品を手に持って店外に出ると、事前登録済みのクレジットカードで決済が済む。
店内設置のカメラで来店者の動きを確認し、商品が置かれた棚の重量センサーと合わせることによって、どの商品をいくつ手にとったかをAIが判別する仕組み。国内の利用率が90%を超えるLINE上で動作するシステムを開発したことで、ネックとされていた専用アプリのインストールを不要とした。
■ダイエーは2年前から「キャッチ&ゴー」店舗を運営
ローソンに先駆け、ダイエーはすでに「キャッチ&ゴー」を取り入れたウォークスルー決済店舗を展開している。NTTデータとともに、23年10月から「イオンフードスタイル横浜西口店」内に開設。専用アプリをインストールしたスマートフォンを入店ゲートにかざし欲しい商品を手に取って退店するだけで、自動的にキャッシュレス決済が完了する。
一般路面のスーパーに併設されたウォークスルー決済店舗としては日本初で、約400種類の商品から最短10秒で必要な商品を購入できる。1日に1,000人の来店客目標はまだ未達とみられるが、通勤時間帯における一定数のリピーター確保にはつながっているようだ。
ダイエーとNTTデータは21年9月に、共同でNTTデータ社内にウォークスルー決済店舗をオープン。オペレーションを検証しながら、本格運用につなげるべく運営を続けていた。
■エディオン新店舗はスマホで商品の推奨や詳細説明
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