欧州のスマートカード(ICカード)と環境問題  (1)Smart Payment Association (SPA、スマートペイメント協会)

2025年2月19日8:00

和田文明

海外ではICチップが搭載されたいわゆる“IC(Integrated Circuit)カード”は、“スマートカード”(Smart Card、賢いカード)と呼ばれている。近年、カードレスのバーチャルカードやスマートフォンに搭載された電子財布(モバイル財布)アプリの普及に伴い、かつてのスマートカードの存在感と比べるとやや薄れつつあるものの、COVID-19(新型コロナウィルス)のパンデミック禍を経て、ペイメントカードは、コンタクトとコンタクトレスのデュアルインターフェースのICカードによるコンタクトレスペイメント(タッチ決済)機能の搭載が広く行われおり、CP(Card Present)でのペイメントシーンに変化が生じている。

ICカードのグローバルベースの業界団体であるヨーロッパベースのSmart Payment Association(以下“SPA”という)によると、2023年度には、欧州を中心とするSPAのメンバーのICカード製造会社によって32億枚ものクレジットカードやデビット、プリペイドカードといったスマートペイメントカードとモジュールが出荷されている。

環境問題への意識が高いといわれるヨーロッパでは、銀行などのペイメント業界においてもプラスチックカードの環境問題への対応が問われている。こうした中、欧州を中心に“エコフレンドリー”なペイメントカードの出荷が増加し、2023年には世界全体のSPAのメンバーのICカード製造会社によるカードの出荷の21%をエコフレンドリーなペイメントカードが占めているといわれている。

今回は、スマートカードのほか、欧州を中心に広がっているエコフレンドリーなペイメントカードや有効期限切れで廃棄されるクレッジットカードやデビットカードといったペイメントカードのリサイクル問題について紹介してみたい。

Index
(1)Smart Payment Association (SPA、スマートペイメント協会)
(2)スマートカードとモジュールの出荷状況について
(3)エコフレンドリーカードとは
(4)SPAのエコフレンドリーペイメントカード発行状況
(5)スマートカードとリサイクル

<参考文献・資料>
・SPA、2023Payment Card Collection and Recycling Report、2023年7月
・3.2 billion smart payment cards and modules shipped in 2023 by SPA、2024年7月
・Smart Payment Association (SPA)のHP
・Nilson ReportのHP

(1)Smart Payment Association SPA、スマートペイメント協会)

欧州のスマートカード(ICカード)と環境問題の第1回目は、リサイクルを含め、エコフレンドリーカードなどペイメントカードのエコ対策に取り組む欧州をベースとする関連業界の団体であるSPAについて紹介してみたい。

SPA(Smart Payment Association)はおよそ20年前の2004年に設立され、クレジットカードやデビット、プリペイドカードといったカードペイメントおよびモバイル財布のモバイルペイメントなどの業界団体で、その本部はドイツのミュンヘンにある。SPA は、急速に進化するペイメントエコシステムの課題に対処し、支払い手段の革新、セキュリティ、相互運用性の促進をリードしている。SPA は、金融に関する規制機関やテクノロジーの標準化団体などと緊密に連携し、リーダーシップと専門家のガイダンスを提供し、メンバーである企業・団体とそのクライアントが、今日および将来の新しいペイメントテクノロジーを採用できるようサポートしている。

SPAには、議長のほか、理事会委員を選出することができる“創設メンバー”のほかに、新たに加入することができる3つのレベルのメンバーシップがある。

・“エグゼクティブメンバー”(Executive Membership)
上級のメンバーシップであるエグゼクティブメンバーは最も高位のレベルのメンバーシップで、戦略的な意思決定に参加し、SPAの方向性に影響を与える機会がある

・“フルメンバーシップ”(Full Membership)
通常のメンバーシップであるフルメンバーシップは SPAの活動に積極的に参加し、さまざまなワーキンググループやプロジェクトに関与することができる

・“アソシエイトメンバーシップ”(Associate Membership、準メンバー)
準メンバーシップであるアソシエイトメンバーシップは、SPAのリソースや情報にアクセスし、特定のワーキンググループに参加することができる

こうしたSPAの会員には、ICチップやカードメーカーの他、オペレーティングシステムおよびアプリケーション開発事業者、パーソナライゼーション、およびペイメントカードサービス提供事業者などが参加しており、SAPはペイメントカードのバリューチェーン全体を代表しているといわれている。SPAの主な活動は 、次の(表)の通り。

(表)SPAの主な活動

イノベーションの推進

ペイメントテクノロジーの革新を促進し、セキュリティと相互運用性を確保する

規制当局との協力

規制当局や標準化団体と密接に協力し、メンバー企業・団体とそのクライアントが新しいペイメントテクノロジーを導入・採用するのをサポートする

市場動向の分析

ペイメントテクノロジーのトレンドを分析し、年次報告書(Annual Report)を発行する

SPAのHPより作成

SPAの諮問委員会(Advisory Council)

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