2012年6月29日10:00
JTBと共同で訪問先でのセキュアなスマートフォン決済を検証
新たな決済インフラとしてスマートフォンやタブレット決済に注目
三井住友カードでは、決済技術の多様化が進む中、従来から提供する「CCT端末」(信用情報照会端末)に加え、新たな決済インフラとしてスマートフォンやタブレット端末を利用した決済ソリューションに注目している。同社では、ジェイティービー(JTB)の訪問販売用モバイル決済端末としてスマートフォン決済ソリューションの実証実験を実施するなど、積極的な取り組みを行っている。
JCCAのガイドライン策定に携わる
JTBにスマートフォン決済端末を導入
現在、国内でも複数のスマートフォン決済ソリューションが登場しているが、「弊社では1つの仕組みに絞ることはなく、加盟店に受け入れられるソリューションであれば積極的に取り入れていく方針です」と三井住友カードIT戦略事業部 乾正人氏は話す。
最近では、タブレット端末を業務端末の新たなツールとして活用する取り組みが進んでおり、また、スマートフォンを活用した新たなサービスの創出も期待されている。
三井住友カードでは、スマートデバイスの操作性を生かすことのできる業種・業態にあった決済手段を模索している。
同社では、日本クレジットカード協会(JCCA)が2011年4月13日にリリースした「スマートフォン決済の安全基準等に関する基本的な考え方」の策定にも携わった経験がある。そのため、カード決済時の暗号化の実施や端末の識別方法も含めて、セキュリティ面を重視してソリューションの選定にあたっている。
すでに、2012年1月31日~9月30日まで、JTBの訪問販売用モバイル決済端末としてスマートフォンを用いたクレジットカード決済ソリューションの実証実験を実施している。同実証実験では、スマートフォンをクレジットカード決済端末として利用することにより、訪問先でのセキュアな環境でのクレジットカード決済が可能になるとともに、JTBグループを利用するユーザーの利便性向上につなげていくことを狙いとしている。
さまざまな決済事業者と幅広く取り組む
店舗のPOS端末として利用を求める声が増加
今回の実証実験では、リンク・プロセシングのスマートフォン決済ソリューション「Anywhere」を利用したが、三井住友カードでは、さまざまな決済事業者と幅広く取り組み、加盟店のニーズに応えるソリューションを提供していきたいとしている。
スマートフォン決済が登場した当初は、宅配業者やイベント等のニーズが多くなると捉えていたが、最近では店舗のPOS端末として利用を求める声が多くなっている。現状、スマートフォン決済の場合は、クレジットカードの磁気情報を読み取った状態で暗号化を行うため、複合化はセンターでしか行うことができない。そのため、加盟店が求める情報の提供を含め、各POSベンダーとの連携が必要となるそうだ。
EMVや電子マネー決済の登場に期待
スマートフォンのアプリと連動した取り組みも研究
また、スマートフォンやタブレット端末を持ち運んでの決済が可能になるため、場合によっては不正利用の温床になりかねないという声もあるが、同社では、アクワイアリング時の加盟店審査については、「従来のモバイル端末同様に厳格に行っていきたい」(IT戦略事業部グループマネージャー 八島生幸氏)ということだ。
現状、各社が提供するスマートフォン決済ソリューションの多くは、磁気ストライプを利用した決済が中心だが、今後は接触クレジットカード(EMV)や電子マネーに対応した決済ソリューションの登場に期待する。また、汎用型のプリペイドカード、会員証などへの展開も考えられるとしている。
将来的には、スマートフォン、タブレットで利用できるアプリなどの登場も期待されるが、同社でも1年以上前から研究を行っているという。今後もスマートフォンの普及がさらに進むことは間違いなく、決済としての利用についても広がりが期待されるが、同社では「既存の端末やPOSとの連動も含めて、お客様が望むソリューションを提供していきたい」(八島氏)としている。