2012年7月30日0:30
個人間の送金ニーズに対応した「ちょコム送金」を提供
クレジットカードでPay-easy支払いと銀行振込決済が可能なサービスも開始
ネットワーク型電子マネーサービス「ちょコムeマネー」を展開するNTTスマートトレード(NTT-ST)は、「資金決済に関する法律(資金決済法)」に基づく「資金移動業者」登録を行い、個人間送金が可能な「ちょコム送金サービス」、クレジットカードを利用して銀行振込や「Pay-easy(ペイジー)」の支払いができる「ちょコムバンク支払い」サービスを開始した。現在は着実に取引金額を伸ばしている状態だが、同社では今後必ず広がるサービスであると自信を見せている。
電子マネーサービス「ちょコムeマネー」は物販やチケット購入割合が多く
ちょコム送金は個人事業主の代金回収や会費徴収に利用
NTTスマートトレードは、インターネット専用の電子マネーサービス「ちょコムeマネー」を運営している。利用者は、インターネット上で自分専用の貯金箱を開設しチャージを行うと、ネット上の約3,000店の加盟店で買い物ができる。
会員数は年間10万人程度のペースで堅調に伸びている。また、加盟店、利用金額についても順調に拡大しているという。
ちょコムeマネーは、他社のネット電子マネーと違い、物販やチケットの購入に利用される割合が高く、「コンテンツ系は5割を切っています」とNTTスマートトレード 取締役 送金決済本部長 小平豊氏は競合との違いを口にする。また、利用者のプロファイルは、インターネット利用者とほぼ同様となっており、他の電子マネーのように偏りがないのも特徴だ。
ちょコム会員は、ちょコムeマネーの利用に応じてもらえる「ちょコムポイント」などのサービスも受けることが可能だ。小平氏は、「貯めたポイントをちょコムに交換し、それから他の電子マネーに交換するなど、流通性の高い電子マネーとしての役割が顕著に表れています」と説明する。
同社では、2011年6月21日に「資金決済に関する法律(資金決済法)」に基づく「資金移動業者」登録を完了し、「ちょコム送金サービス」を同7月4日から開始した。ちょコム送金サービスは、ちょコム送金口座間によるタイプと、クレジットカードを使って送金するタイプの2通りがある。クレジットカード送金の手数料は、送金金額の3.15%で、最低1円から送ることが可能だ。また、送金額の上限は1回10万円で月の上限は30万円となる。
開始から約1年、個人が経営するネットショップの購入代金や会費の支払いなどで利用されるケースが多い。決済単価については二極化の傾向があり、数千円までの小額か10万円近い支払いを行う人に分かれるそうだ。
また、不正利用については、モニタリングや3-Dセキュアの導入を含め、厳しいルールを設けているため、ほとんど発生していないそうだ。ただ、3-Dセキュアに関しては、利用者の認知の低さが課題となっている。
「ちょコムバンク支払い(振込)」は家賃の支払いが全体の48%を占める
購入代金や授業料・会費の支払いも多い
同社では、2012年1月24日から、「ちょコム送金」の新サービスとして、ネットショッピング代金、家賃・駐車場代金などの銀行振込の支払いができる「ちょコムバンク支払い(振込)」と、税金や公共料金の支払いなどに利用されている「Pay-easy(ペイジー)」の支払いがクレジットカードでできる「ちょコムバンク支払い(ペイジー)」サービスを開始した。
「ちょコムバンク支払い(ペイジー)」の利用については、ちょコム送金口座の開設は不要となり、NTTスマートトレードの手続きページから誰でも利用できる。利用の上限は1回10万円、月間累計でも上限30万円となる。利用者(支払人)の申込み後、原則1営業日以内にNTTスマートトレードでペイジーの支払処理を行い、支払処理が完了したらメールで利用者に通知する流れとなる。支払額に対する利用手数料(消費税込)は、1円~9,999円で5.25%、1万円~2万9,999円で4.73%、3万円~10 万円で4.52%となる。
小平氏は、「「ちょコムバンク支払い(振込)」は家賃など、クレジット決済の導入が浸透していない業界での利用が多い傾向にあります」と話す。同社が実施したアンケートでも「ちょコムバンク支払い(振込)」のプレミアム登録の利用では、家賃の支払いが全体の48%と最も多くなっている。次いで、購入代金、授業料・会費の支払いが続く結果となった。家賃については、利用者の支払金額の平均金額も高いという。
「利用は着実に伸びており、継続してご利用いただいている方も増えており、利用者への認知度が広まればさらに普及すると期待しています、今後は、家賃や会費といった利用シーンとセットで告知したり、新たなマーケットの掘り起こしも考えています」(小平氏)
一方、「ちょコムバンク支払い(ペイジー)」は、携帯電話料金等と税金等(自動車税等)、各種保険料(厚生年金保険料等)での利用が多いという。こちらも右肩上がりで利用は伸びているが、認知度向上が課題となっている。
中長期的に海外送金も展開予定
スマートフォンを活用した取り組みも検討へ
資金決済法施行から2年、資金移動業者に登録する企業は増えているが、「弊社が提供するサービスについては、単純な送金ではなく、決済に近いスキームとなっており、他社との差別化は図れる」としている。中長期的には海外送金についても検討していく方針だ。また、利用者が急拡大するスマートフォンを活用した取り組みについても検討を進めていきたいとしている。