2012年10月1日8:30
ビザ・ワールドワイド(Visa)は、2012年9月28日、東京港区のベルサール六本木において「Visa 金融教育ワークショップ」を開催した。ワークショップには、大学生・大学院生、教育機関関係者、マスコミが参加した。
同ワークショップでは、金融教育・消費者教育が専門の横浜国立大学教育人間科学部の西村隆男教授の協力の下、日本の大学生に向けて開発した包括的な金融教育プログラムを発表した。同プログラムは、「PBS(プランニング・バジェッティング・セービング)」を柱として構成される金融リテラシーに基づき、自ら決定したことに伴うリスクへの対応能力を高め、安定した生活基盤設計、自身のキャリアを形成する上でのスキルアップにつながる知識や理解の習得を目的としている。
Visaでは、世界の200以上の国と地域で、現金・小切手の代わりに電子通貨を利用することを可能にしているが、クレジットカードやデビットカードの発行は自ら行わず、ブランドマークのライセンスやネットワークを提供している。同社では、クレジット、デビット、プリペイドの3つのプロダクトを提供しているが、それらプロダクトに対して、正しい経済判断と責任の理解をしてもらうために金融教育を行っているそうだ。すでに海外では、1995年から、これまで30カ国で、累計2,000万人に金融教育プログラムを提供している。国内では大学生に対し、同プログラムを提供するが、ビザ・ワールドワイド・ジャパン 取締役 次席代表 松田典久氏は、「日本では、10年前から公民や家庭科の授業で金融教育が行われていますが、正しく理解したとお応えになられた方は30%。米国では70%でした。家庭での教育も必要となりますが、電子決済は進化が早くて、例えば、デビットカード、インターネットやモバイルなどを利用した決済手段は、親の方が利用されたことがない手段を使用しますので、教育の必要性を痛感しています」と説明する。
ワークショップでは、Visaの金融教育の推進活動に賛同された東京工業大学リベラルアーツセンターの池上彰教授が基調講演を行った。池上氏は、消費税25%でも多くの国民が裕福に暮らすデンマークと経済危機に揺れるスペインを引き合いにだし、経済や金融教育の重要性について説明した。また、日本における金融教育について西村隆男教授が講演後、実際に大学生や大学院生に対し、Visaの金融教育プログラムの講義を短縮版で行った。
なお、講義では、人生における実践力をつけることに重きを置き、金融教育の基礎概念を体系的に学習する講義形式を導入部分として採用しながら、講義の多くをケーススタディ形式で構成していく2部構成を取っている。「就職・大学院進学」「給与と税金・社会保険」といった大学生がこれから実際に直面するであろうケースを通じて金融リテラシーの向上と実践力養成を目指すという。