2013年6月11日8:00
順調に利用金額を拡大する「Pay-easy(ペイジー)」
「Pay-easy(ペイジー)」は、税金や公共料金、各種料金などの支払いをPCやスマートフォン、携帯電話、ATMから支払うことができるサービスである。「Pay-easyマーク」が付いている納付書・請求書の支払いや、支払い方法としてPay-easyが選択できるサイトでの料金の支払いなどに利用可能となっている。
平成24年度は利用金額が8.4兆円、利用件数は5,600万件
横浜市など地方自治体への導入も加速
Pay-easyの普及・利用促進活動を行う日本マルチペイメントネットワーク推進協議会(JAMPA)によると、平成24年度は利用金額が8.4兆円となり、過去最高を記録。前年と比べても14%の増加となった。また、利用件数は5,600万件を超え、前年と比べて23%増となっている。東日本大震災などの影響もあり、ここ2~3年はなだらかな伸びだったというが、平成24年度は伸びの角度が急勾配となった。
日本マルチペイメントネットワーク推進協議会 常任理事 事務局長 西村昌平氏は、「国庫金については、利用金額が6兆円を超えており、件数も堅調に推移しています。また、金額については民間分野で1兆円を超え、前年に比べ21%の伸びを示しています」と成果を語る。
現状、1件当たりの取扱金額は国庫金が多く、民間は数千円単位の利用が中心だ。民間での伸びの要因は、2012年7月からNTT東日本および西日本、NTTコミュニケーションズの利用料金の支払いにPay-easyを導入したことも追い風となっている。
自治体としては、2013年4月から横浜市、長野市、宮古島市において、固定資産税、市民税、県民税などがPay-easyで支払いが可能となった。特に、人口300万人を超える日本最大の政令指定都市である横浜市で利用可能になったことは地方公共団体での伸びに大きく貢献するとJAMPAでは予想する。横浜市では導入にあたり、横浜銀行がATMでPay-easy対応を2011年10月から開始。そのため、インターネットはもちろんATMでの利用が期待できるとしている。
なお、横浜市等では納税通知書封筒の表と裏にPay-easyで支払える告知を展開。他の自治体では納付書に案内を同封しているところもある。そのような活動の成果もあり、Pay-easyを導入している自治体では期限内納付率は高まっているそうだ。
国庫金については、関税の支払いが「ダイレクト方式」により急速に増加した。ダイレクト方式については、船や飛行機の通関業者での利用が増えている。通常、関税は専用口座の方式として、予め口座にお金を入金し、その口座から引き落とされる形が一般的だったが、万が一口座にお金がなくなると、利用できるのが翌日以降になっていた。その点、ダイレクト方式では即時に入金できるメリットが受け入れられているそうだ。
Pay-easyの認知率は5割を超える
利用金額10兆円、利用件数1億件を目指す
民間については、若年層など、Pay-easyを利用しやすい人にターゲットを絞ってプロモーション活動を展開。ダイレクト方式については、税理士などが利用している傾向が見受けられるため、今後は一般生活者に浸透させていきたいとしている。
JAMPAの調査によると、Pay-easyの認知率は5割以上に及んだそうだ。ただ、残りの5割の人に認知してもらうため、中期的な計画を立ててキャンペーンを展開する予定だ。また、Pay-easyの実際の利用者に絞ってみると十数パーセントとなっているため、まずは一回利用してもらい、便利であると実感してもらうことが大切であるとしている。
今後の導入については、都道府県、中核市や県庁所在地などから攻めていきたいとしている。そのためには、ATMでのPay-easy収納ができる金融機関を増やしていく必要がある。3月時点で74の金融機関でダイレクト方式の利用が可能だが、今年度は6の金融機関での利用が確定している。すでに地銀から日本マルチペイメントネットワーク運営機構(JAMMO)への問い合わせも寄せられており、徐々に取り扱いの金融機関は増えると思われる。
2013年3月現在、Pay-easyを導入している地方公共団体は62となっている。JAMPAでは、これまで大都市中心の働きかけを行っていたが、地方都市でもエリア別に説明会を開催することにより、利便性を提供したいとしている。Pay-easy単独でシステムを導入するとなるとコストが必要となるが、コンビニ収納などと同タイミングでPay-easyを導入してもらうことにより、コストを抑えられるとしている。また、請求に対しての消込作業などについては、従来、各自治体でアルバイトを採用して対応していたが、Pay-easyにより電子化ができ、コストが削減できる。さらに、固定資産税、県民税、市民税、軽自動車税、国民健康保険料など、各課でバラバラの帳票を使っている自治体も多いが、Pay-easy導入に向け帳票の統一を図り、同時に帳票を調達できるため、コストが下がったそうだ。また、支払い済みの半券を自治体で保管しなければいけなかったが、電子化できることにより、そのスペースを削減できた自治体もあった。
平成25年度は9兆円、利用件数6,300万件を目指しているが、「一刻も早く利用金額10兆円、利用件数1億件を達成したい」と西村氏は意気込みを語った。