2014年3月5日8:00
Visaプリペイドカード「Tay Two Card」を古本市場で4月22日から発行
国内初、「BINスポンサーシップ-プログラムマネージャーモデル」を採用
テイツー子会社のカードフレックスジャパン(CFJ)は、日本初となる「BINスポンサーシップ-プログラムマネージャーモデル」により、Visaプリペイドカード「Tay Two Card(テイツーカード)」を発行する。まずは、ゲーム、CD/DVDの中古および新品の販売を行う古本市場を中心にプリペイド機能とポイント機能として発行をスタート。古本市場では、4月22日を目途にポイントカードシステムを一新する予定だ。
プロセッサーには米国・i2c Inc.を採用
アプラスなど7社のアライアンスによりサービスが実現
「Tay Two Card」の発行は、提携先のCardFlex Inc.(CFI)、新生銀行子会社のアプラス、カードプロセッサー事業を行いVisa Certified Processerでもある米国・i2c Inc.(i2c)、印刷会社の共同印刷など7社が協力して行う。テイツーでは、3年前からプリペイドカードのウォッチを行っていた。また、プリペイドカードは事前入金が可能であり、商品を売り買いする際に親和性が高いため、古本市場を中心とした同社のユーザーとは親和性が高いと考えている。
古本市場は、直営115店舗を展開しており、累計450万人の会員がいる。店舗には110~120万人が定期的に訪れるそうだ。また、115店舗の直営店があるが、ゲーム市場シェアは約3%あり、1店舗当たりの売上比率が他のグループに比べても高いのが特徴だ。古本市場には、エンターテイメント好きが集まっており、そういったユーザーに対し、有効にビジネスができないかを考えた際に、自然とプリペイドカードに行きついたという。
今回のサービスでカギとなるのは、「プログラムマネージャー」の役割だ。欧米においては国際ブランド付きプリペイドカード事業を展開するストラクチャーとして広く用いられているが、最近では国内でもその存在が注目されている。カードフレックスジャパン 代表取締役社長の荒井薫氏自身、米国によく訪れることもあり、プログラムマネージャーモデルは当時から認知していたが、同ビジネスモデルを利用すれば、初期投資を抑え、変動費に沿ってビジネスが可能となっている。
プリペイドカードはさまざまなサービスを提供できるメリットがある。海外では、店舗の規模やトランザクションのボリュームに沿って、さまざまなプリペイドカードが発行されている。
「日本では国際ブランドプリペイドの発行はコストがかかるという認識が強いですが、仮に発行枚数が10万枚でも充分に利益を出せるビジネスモデルを構築できたのがCFIでした」(荒井氏)
CFIの代表者、Andrew M.Phillips氏自身、カード及び決済ビジネスに約30年間携わっており、金融業界に明るい。また、キャッシュフローなどを考えた際、10万枚のカードを発行すれば、採算は十分にとれると考え、2012年5月に提携が決定したという。
難航したのはBINスポンサーだ。当初は、2013年8月に国内のVisaカードのチャージバックルールが変更されたのに合わせ、同年中にはビジネスを開始する予定だったが若干スケジュールに遅れが出たそうだ。
安価に多彩なシステムを提供可能なi2c Inc.
プログラムマネージャーにはBtoB、BtoCのニーズなど多彩な知識が必要
将来的に、プリペイドは企業の経費精算や政府の利活用など、さらなる広がりが期待できる。米国で数多くの実績のあるi2Cのシステムを利用すれば、クレジットカードやデビットカードへの紐付が可能となり、仮に銀行口座がなくても利用可能だ。将来的に、プリペイドカードのインフラを新生銀行グループとして中長期的に展開することも踏まえて、説得に当たり、子会社のアプラスの発行に至った。
「日本では国際ブランドプリペイドカードのシステムは高額で、各種変更にも時間がかかりますが、i2cのシステムは柔軟です。Visaでは、2013年11月にi2cを戦略的パートナーとして、関係を強化しています」(荒井氏)
また、プリペイドカードサービスは、ただ単に外注するだけではなく、明確なアライアンスを築くことが重要であると考えた。同社はプログラムマネージャーに特化するが、アライアンスを結んだ7社それぞれがウィン・ウィンになるように展開していきたいとしている。
「プログラムマネージャーには、当然システムの知識は必要ですが、お客様のプロファイアリングをして、どのような機能を付けたら喜ばれるか、お店にとってのメリットを見いだせるか、なおかつ単独で利益を出せる収益管理が必要なため、決してシステムだけではありません。CだけではなくBのニーズもつかまなければいけません。まずは機能を限定してサービスを展開するが、日本の法規制などと照らし合わせながら1つ1つ積み重ねていきたいです」(荒井氏)
6カ月で10万枚の発行を想定
古本市場ではリピーターを中心に発行
今後は競合の参入も噂されるが、「競合の参入がなければ市場は活性化しないと感じています。弊社では、一緒に盛り上げる気持ちでビジネスを展開していきたいです」と笑顔を見せる。
同社では2014年4月22日から古本市場の直営約115店舗を中心にサービスを開始。まずは、リピーターの顧客を中心に6カ月で10万枚の発行を想定している。
荒井氏によると、第一弾となる今回のサービスは、十分に勝算が見込めるそうだ。その理由として、すべてが直営であるがゆえにプリペイドの活用をコントロールできる点が挙げられる。また、貯めたポイントの現金交換性に拘った。ユーザーはゲームを購入した後に、その商品を売りに店舗に来店するが、購入だけではなく、売ってもポイントが付くため、お金に変えてテイツー以外でも便利に使うことが可能だ。さらに、「カードデザインも、お洒落なレストランなどで提示しても恥ずかしくないような券面にできました」と荒井氏は微笑む。ただ、あくまでも質を重視しており、リピーターを中心にカードを発行するという。
加えて、テイツーではインコム・ジャパン提供の「POSAカード」の販売を行っている。また、クローズドループのプリペイドカードを1年前から展開しているため、店舗でチャージすることに顧客が慣れている点も大きい。
2014年はTay Two Cardや一部のカードに専念
将来的には100億単位の売上を目指す
今回、海外のプロセッサーでオペレーションが円滑に回るのかを注視している業界関係者は多い。そのため、最初の3カ月は、システム停止なくオペレーションをまわすことが第一となる。売上はインターチェンジフィーと手数料となるが、1,000万~1,200万円の手数料があれば、キャッシュフローは維持できると見ている。荒井氏は、「他のカード会社が出す損益分岐点とは桁が2つ違います」と自信を見せる。まずは、グループ内での展開に注力するが、すでにパートナー経由でカード発行の問い合わせが寄せられているそうだ。
なお、BINスポンサーは、1社に拘らないのが先行国での常識であるとのことで、長期的にはアプラス以外にも開拓していくことも視野においている。また、クリスマスシーズンにはギフトカードの発行も行いたいという。
中長期的にみて1つのターゲットは2020年の東京五輪となる。荒井氏は、「2014年はTay Two Cardや一部のカードに専念し、2015年からカードのラインアップを広げていきたいです。将来的には25%~35%の営業利益になると想定しており、100億単位の売上を目指していく方針です」と意気込みを語った。