2015年9月18日9:00
昨今、カードを提示しない非対面でのCNP(Card Not Present)の不正が目立っているが、クレジットカードが第三者に不正利用された場合、加盟店が損害を被る「チャージバック」が発生するケースも多い。そこで、チャージバック保証サービスを提供するイーディフェンダーズ シニアヴァイスプレジデント 渡辺貴宏氏に、国内のチャージバックの現状と対策について説明してもらった。
チャージバックの発生金額は12~13万円程度が多い
チャージバックとは、クレジットカード会員がクレジットカード会社へ対し、第三者による不正利用等の理由により利用代金の支払いに同意しない場合に、クレジットカード会社がその利用代金の売上を取り消すことをいう。その結果、EC加盟店はその利用代金がカード会社より支払われず、商品も戻ってこないため、損害が発生する。
たとえば、大手加盟店でも不正利用が続けて発生すると、基本的にはチャージバックの対象となる。場合によっては、最初の発生はカード会社や決済代行が負担するケースもあるようだが、続けて起こると、チャージバックが基本となる。
チャージバックが起こる比率は圧倒的に換金性のある商品を販売している物販事業者が多い。ただ、中にはデジタルコンテンツ販売加盟店のケースもあるそうだ。オンラインゲームについては、本人認証技術の「3-Dセキュア」を導入していることが多いため、不正利用によるチャージバック自体は少ない傾向だが、それでもブランドルールにそぐわない取引の場合チャージバックとなることがあるという。
物販で一般的に狙われやすい商品としては、商品の価格が高く換金しやすい、新品、中古問わずブランド品や、パソコン、デジタルカメラなどの電化製品となる。また、ヘッドフォンやイヤフォン、アクセサリー類なども多い。さらに、お酒やサプリメント、アパレル商品、楽器、電動工具類、おむつや粉ミルクなどの日用品も目立つ。逆に商品の価格が高くとも、大型商品やカスタマイズ、納期に時間が掛かるものは狙われにくいという。
イーディフェンダーズ シニアヴァイスプレジデント 渡辺貴宏氏は、「チャージバックになる1取引金額のボリュームゾーンは12~13万程度で、たとえばヘッドフォンは3つ程度購入されるとその価格となります。また、最近では4万や5万円の比較的少額な不正も目立ってきています。一方で20~30万円の取り引きは加盟店も比較的注意を払っていることもあり、チャージバックの件数は少なくなっています」と説明する。
チャージバックの基準はカード会社で若干ポリシーが異なる
場合によっては決済代行事業者が被害を飲むケースも
チャージバックについては、カード会社によっても若干基準は異なり、「たとえば、銀行系のイシュア専業のカード会社は比較的厳しめです」と渡辺氏は話す。また、海外のアクワイアラと接続してクロスボーダー取り引きを行う決済代行事業者や、手数料無料で利用が可能なSPIKE(メタップス)といった企業では、チャージバックを発生させないよう独自の不正検知の仕組みを導入するなど厳しい基準を設けているそうだ。国際ブランドごとのチャージバックについては、「取引量と比例しますが、アメリカン・エキスプレスは3-Dセキュアなどの対応が後発であったことから不正発生率が高いことがあります。例えば3-Dセキュア導入加盟店でアメックスで大量に不正利用されることがあるためです」(渡辺氏)という。
また、EC決済の契約は決済代行事業者経由で行うケースもあるが、「その場合、チャージバックが初めて発生した場合、加盟店は決済代行事業者に説明を求めます。決済代行事業者が事前にチャージバックのリスクについて十分に説明していないケースで加盟店に被害が出た場合、チャージバックの金額を飲み込むケースもあるようです」と渡辺氏は口にする。
※カード決済セキュリティガイドより記事の一部を紹介