各国でのパートナーとの提携や協業が戦略的な重要性を増す
また、同時にこれらの技術の発展は、決済市場への新たなプレイヤーの参入を容易にした。FinTech(フィンテック)ブームがこれらのプレイヤー参入の引き金となり、競争の変質と複雑化をもたらしている。
しかしながら、決済ビジネスは本質的に複数の点で他のビジネス領域と異なる。1つ目は規制を受けるビジネスであること。国ごとに厳しく、かつユニークな規制が存在する。2つ目は構築、維持に時間と努力が必要なネットワークを基盤としたビジネスであることだ。従来以上に各国でのパートナーとの提携や協業が戦略的な重要性を増していくだろう。
日本のキャッシュレス化のスピードもアップ
決済は、日本においても着実に成長している。カードによる決済は2010年の36兆円から2014年の46兆円に28%増加した。それでも民間最終消費支出に占めるカード決済の比率は未だ16%程度に留まっている。
しかし、近年の2つの事象がドライビングフォースとなりキャッシュレス決済のスピードはアップすると思われる。1つの政府による後押しだ。2020年の東京オリンピック・パラリンピックをターゲットに、政府はキャッシュレス決済を広げる取り組みに力を入れ始めた。もう1つは、デビットカード、プリペイドカード市場の拡大となる。日本においてデビットカード、プリペイドカードは近年急速に普及の勢いを増しつつある。クレジットカード以外のカード決済手段の普及に伴い、より多くの人々がキャッシュレス決済の恩恵を受けることができるようになる。
そのほか、外国人旅行者の増加も挙げられる。ビザ発給要件の緩和、税制優遇、円安の結果、日本を訪れる外国人旅行者が急増している。その数はこの4年間で56%増加し、世界でも最も大きい増加率となった。特にアジアの国々からの旅行者が多く伸びている。日本政府は観光政策自体を大きく見直しており、この増加傾向は2020年に向けて続いていくと思われる。
変化の先にある新たなフロンティアに向けて共に前進
これらのカード利用に関する環境変化は、消費とカード利用の増加を促す、ここにいるすべてのパートナーにとって新たに生まれた機会である。こういった新しい機会を提供すると同時に新たな課題も生まれると予想される。しかし、いずれにせよ、これらの変化を前にして我々自身が変わっていかなければならないことは間違いない。変化のチャレンジを乗り越え、機会を生かせるのは、変化に柔軟に、多様に対応しうるものだけだからだ。JCBはパートナーと協力し、新たなバリューを作り出し、変化の先にある新たなフロンティアに向けて皆様と共に前進していくことを約束したい。