2016年4月1日8:35
掛売りをアウトソースして企業間取引をよりスムーズに
「簡単に最安で最速のかっこいいオフィスづくり」を経営理念に、2007年の創業からたゆみなき成長を続けるオフィスコム。このほど文具・事務用品のPLUSグループに加わり、より一層の顧客満足度向上に向けて取り組んでいる。2018年度の年商100億円突破を目指す同社ではクレジットカードに加え、BtoBの後払い決済を導入している。
後払いニーズの高まりから後払い採用
決済手段を横展開で広げ、販売機会を逃さない
オフィスコムはオフィス家具を自社で製造販売するのみならず、内装工事や電話回線工事、さらには原状回復や移転まで、オフィスづくりに関わる幅広いニーズにワンストップで対応している。販路はECがメインで、商材がオフィス関連のためBtoB中心だ。顧客の決済手段はもともと、銀行振込の前払いとクレジットカードを導入しており、半々ほどの比率だったという。クレジットカードでは、リボ払いや分割払いにも対応している。
支払いサイト上、前払いが難しい企業も少なくない。かねてから後払いの要望はあったという。ただ、売り手企業にとり、掛売りは与信や請求書発行等の負荷が高い。そこで、ネットプロテクションズの企業間決済サービス「FREX B2B後払い決済」を2013年秋に導入した。
「EC企業の経営課題の1つが決済なので、問題が表面化する前にあらかじめ手を打ったという感じですね。決済の窓口を、何にでも対応できるように多岐に横展開で広げておくという、拡販の意味でやっています」(オフィスコム 代表取締役社長 高橋和也氏)
掛売りをアウトソースすることで、「請求書後払い」による取引の流れがスムーズに実現できたという。インターネット環境があればASP型管理画面で簡単な取引情報をやりとりするだけで運用でき、与信審査、請求書発行、入金管理、代金回収、問合せ対応等の必要業務は一括で任せられる。同じ後払いとはいえ、クレジットカードで取り込めない企業にリーチすることが可能となった。
請求書はネットプロテクションズが発行するが、売り手企業名とロゴが記載され、郵送封筒にも社名が明記される。また、代金は全額立替え払いのため、未回収リスクを回避できる。同社では自社サイトから運用を始め、現在は楽天市場やYahoo!ショッピングのショップにまで運用を拡大している。
EC市場での成長はスピード感がカギ
速い与信が後払いでも迅速な出荷を可能に
スピード感が求められるEC市場だが、後払いでは取引情報を送ってから基本的には30分以内、早ければ5分で与信される。
オフィスコム クリエイター部 課長 駒野裕昭氏は「銀行振込の場合はご入金を待って発送という流れですので、ご注文からいかに迅速に出荷できるかを課題に感じていました。僕自身も納期が早いところで買おうとしますし、後払いはそんなユーザー心理にアプローチできると感じました」と口にする。将来的には当日出荷の締切間際の注文にも対応するのが理想で、リアルタイム与信のサービスができれば、さらに便利になるとみている。
同社が扱う商品やサービスは価格幅が大きく、物品1点の購入から、事務所開設で一式まとめての注文まで、決済金額も幅広い。「『FREX B2B』は通常30万円が上限ですが、弊社の要望をお伝えして調整させていただき、今ではそれより高額の後払いにも別途審査で対応していただいています」(駒野氏)。後払いでの高額決済を望む顧客の声にも応えられる形となり、取引額も伸びているという。2015年下半期では、全決済手段のうち金額ベースで約2割が後払いを利用している。
高橋氏は「B2BのECは基本的に、お客様がご存知のものでなければ手段として使われづらいんです。今はまだ後払いの認知度が高くないので、イメージ広告を打っていただくなど導入企業の後方支援があればいいですね」と口にする。BtoBの後払いは、認知度が上がれば分母が伸び、取引額がさらに大きくなっていくと考えているようだ。