TISがSingtelと提携、PCIDSS準拠支援で世界的な企業であるTrustwaveのノウハウを活用

2016年10月27日11:30

「TISマネージドセキュリティサービス Powered by Trustwave」を提供

TISと、シンガポール大手通信会社Singapore Telecomunications Limited(Singtel)は、 2016 年10月26日に記者会見を開催し、マネージドセキュリティサービス(MSS)における戦略的提携契約を締結し、Singtelの子会社で北米最大級のセキュリティベンダーの1つである米国Trustwave Holdings,Inc.(Trustwave)が提供するMSSの日本市場へ展開すると発表した。今後、TISでは「TISマネージドセキュリティサービス Powered by Trustwave」を提供するが、PCI DSS準拠支援を行う「PCIマネージャ」を2016年12月から提供する予定だ(S.H)。

Trustwave SOCを日本に構築
2020年に100億の売上を目指す

TISは世界有数のICT企業であるシンガポールテレコムと提携を行い、“リアルタイムセキュリティ”というコンセプトのもと、日本で新たなセキュリティサービスを今冬スタートさせる。今回の提携ではTrustwave SOC(Security Operation Center:セキュリティ監視センター)を日本に構築し、 TISがマーケティングから営業活動を、 グローバル品質の一貫したサービスのデリバリをTrustwaveが担当する。

左から、TIS 副社長執行役員 稲葉誠之氏、Sigtel Group Enterprise CEO Bill Chang氏、Trustwave Chief Operations Officer Rick Miller氏、TIS プラットフォームサービス本部 プラットフォームサービス事業部 エンタープライズセキュリティサービス部長 茂手木隆文氏
左から、TIS 副社長執行役員 稲葉誠之氏、Sigtel Group Enterprise CEO Bill Chang氏、Trustwave Chief Operations Officer Rick Miller氏、TIS プラットフォームサービス本部 プラットフォームサービス事業部 エンタープライズセキュリティサービス部長 茂手木隆文氏

企業のシステムに対する脅威は高まっており、被害は拡大の傾向にある。また、攻撃の手段も高度化しており、その状況の把握は難しくなってきた。そうした状況に加え、企業のグローバル化によって、状況は広域化、複雑化を増しており、全方位的な戦略が求められている。さらに、このような状況に対応できる高度なセキュリティ人材を確保するのは難しい部分もある。個々のセキュリティサービスを導入するだけでは十分な対応はできないケースもあり、企業システムの開発から、保守・運用まで総合的なセキュリティ技術と運用を実施することが重要だ。

そこで、セキュリティ事業をより強化したいTISと、アジア地域の重要市場である日本でのビジネス拡大を狙うSingtelは、相互の強みを組み合わせることで、こうした日本市場で高まっているセキュリティ対策を統合的に提供できると考え、今回の業務提携に至った。

「これまでセキュリティの対策は、ハードウェア、ソフトウェアの導入や採用などは自社で行っていましたが、これに対して弊社が提供するサービスは企業が自らの手でそれらを用意しなくても対応できるクラウド型セキュリティとなります。さらに、それらのサービスに対して、TISのノウハウ、長年セキュリティ分野で蓄積していたコンサルテーション、要因の教育などを加味して多様な課題を有するグローバル企業にハイクオリティなサービスを提供できます」(TIS 副社長執行役員 稲葉誠之氏)

2016年10月にTISはセキュリティ部門の専門部署を立ち上げた。同部署を中核として、それぞれの強みを融合して、飛躍的なセキュリティビジネスの拡大を目指す。「目標としては、2020年に売上高を100億においております」と稲葉氏は意気込みを見せる。

TrustwaveはSingtelが8億ドル強で買収
国内でリアルタイムなセキュリティ対策を提供へ

Singtelは、アジタ太平洋におけるマルチメディアソリューショングループで売上高は$16.96ビリオン、モバイルユーザーは24カ国で6.1億人を有する。グローバルな提供能力サービスを持ち、「アジアにおけるリーディングサービスプロバイダ」であるとSigtel CEO Group Enterprise Bill Change氏は自信を見せる。

また、Singtelの子会社であるTrustewave(トラストウェーブ)は、米国・シカゴに本社を置き、世界96カ国でサービスを展開している。2015年4月に世界的なサイバーセキュリティ対策を強化する計画の一環としてSingtelが8億ドル強で買収。従業員1,600人を有し、310万以上のサブスクリプション契約者を誇る。Trustwaveは、世界で9番目となるSOCを東京に設置している。

Trustwaveと協力してTISが実施する「Trustwave Managed Security Service」では、サイバーセキュリティ対策のベースとなる『IPS』『WAF』から、最近の標的型攻撃への対策を行う『Anti-Malware』『SIEM』までフルラインナップでマネージドサービスを提供する。また、攻撃の早期検知を行うためのサービスのクラウド化を推進し、日々進化するサイバーセキュリティの脅威から顧客企業の資産の保護を実施する。

TISでは、マルウェア防御保証サービスをつけたSecure Web Gateway(SWG)や、クラウド型で提供されるSIEMサービスなど、最先端のセキュリティサービスを、オンデマンドで提供する。また、今後は日本市場でデファクトなセキュリティ製品を含めたさまざまな製品にも柔軟に対応していき、顧客企業の既存資産も活かしたグローバル品質のリアルタイムなセキュリティ対策を提供していくそうだ。

TrustwaveはグローバルでさまざまなPCIサービスを実施
2016年12月からPCI DSSの準拠支援を行う「PCIマネージャ」を提要

なお、今回の記者会見では詳しい説明はなかったが、Trustwaveは、「Payment Card Industry (PCI) サービス」についても世界トップクラスの実績を有している(関連記事)。2001年からPCI DSSのQSA(認定セキュリティ評価機関)、2003年からASV(脆弱性スキャニングベンダー)が、2005年からフォレンジック調査を行う「PCI Forensic Investigator(PFI)」と「PA-DSS」の評価機関である「PA-QSA」、2012年からPCI Point-to-Point Encryptionへの認定を調査する「P2PE QSA」として活動している。なかでもASVについては世界屈指の実績を誇っていると言われる。TISでは、2016年12月からPCI DSSの準拠支援を行う「PCIマネージャ」の提供を行う予定だ。

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