2017年2月20日8:00
米国のフィンテック企業が国内で本格的な営業活動を開始
国際商取引のオンライン決済サービスを提供するPayoneer社(本社:米国ニューヨーク州)は、2015年3月に設立した日本法人、ペイオニア・ジャパンの営業活動を本格化すると発表した。越境ECなどを展開する企業に対し、海外の顧客の支払いを「ペイオニアアカウント」に外貨で入金し、日本国内で日本円で引き出せるサービスを、為替手数料1~2%のみで提供する。現地銀行口座開設の負担が大きい中小企業を中心に、ユーザーを拡大していきたい考えだ。
200以上の国・地域の300万人以上に利用されているサービス
2016年8月に資金移動業登録
Payoneer社は、自国から海外に向けて商品を販売する越境ECや海外旅行者の民泊といったインバウンド・ビジネス向けに、海外取引先からの外貨による代金受け取りから、多通貨の売り上げの一元管理、国内銀行口座での出金に至るまでの一連のサービスをオンライン上で提供している。2005年の創立以来、グローバル展開を進めており、現在、200以上の国と地域で、2,000社以上のパートナーと、150種類以上の通貨に対応するサービスを行っており、ユーザーは300万人以上という。
日本でもすでに2015年3月にペイオニア・ジャパンを設立し、2016年8月に資金移動業の登録をした。このたび日本での営業活動を本格化するに当たり、アマゾン・ジャパン ディレクター兼事業本部長、グルーポン・ジャパン 代表取締役CEOの経歴を持つ根本 啓(ねもと さとる)氏が、2016年11月にペイオニア・ジャパンのカントリーマネージャーに就任し、事業拡大を推進していく。
1つのアカウントで複数の通貨を管理できる
為替手数料1~2%のみで提供
Payoneerのサービスでは、ユーザーにはペイオニアアカウントとして海外銀行受け取り専用口座が提供される。1つのペイオニアアカウントで、複数通貨の売上金を受け取ることができる。取引先は、現地銀行からの国内振り込みで支払いを行う。そして、日本のユーザーがオンラインで出金指示を出すと、最短1営業日で、国内の銀行から日本円で引き出しが可能になるという仕組みだ。現在、日本では、米・ドル、ユーロ、英・ポンド、中国・人民元の4種類の通貨に対応したサービスが提供されている。
ペイオニアアカウントは、オンラインで開設することができ、初期費用、維持費用は一切かからない。取引時の受取手数料や送金手数料も無料だ。外貨を日本円に換金する時にのみ、公表仲値の1~2%の為替手数料がかかる。日本のユーザーに向けた国内銀行口座への振り込みは、三菱東京UFJ銀行、およびドイツ銀行を介して行われる。
新体制で営業活動強化に臨む
具体的な3つの営業活動とは?
同社は今後、特に現地銀行口座開設の負担が大きい中小企業を中心にユーザーを広げ、輸出ビジネスやインバウンド・ビジネスの拡大を支援していきたい考えだ。業種としては、eコマース、民泊、翻訳やデザインなどのフリーランサーなどを想定している。
具体的な営業活動としては、次の3つの施策を掲げている。
1つ目は、セミナーやイベントを通じたユーザーの開拓。従来のPayoneerのユーザー層である先駆的なECサイト運営者ばかりでなく、海外に需要がありながら越境ECに参入していなかった事業者なども視野に入れ、取り込みを図っていく。自社セミナーやイベントを日本各地で開催するほか、社外で開催される国際商取引に関連するセミナーやイベントにも積極的に参加し、サービスの認知拡大に努める。また、ホームページ上に、国内の事業者に向けてサービス概要やユーザー事例などのコンテンツを掲載する。
2つ目は、既存マーケットプレイスとの連携強化。現在、Amazon.comやRakuten.com、東南アジアのECサイトのLazadaなど大手マーケットプレイスと連携しているが、今後、関係をさらに強化し、これらのマーケットプレイスに国内の事業者が出店しやすくする。また、同じく提携している民泊サイトのAirbnbや、フリーランサー向けのクラウドソーシングサイトのUpworkなどとの連携も強化し、国内のホストや事業者がこれらのサービスに参入しやすい環境を整える。
3つ目は、国内の事業運営体制の強化。2016年11月にカントリーマネージャーに就任した根本 啓氏のリーダーシップのもと、積極的な事業活動を推進していく。さらに今後、営業やカスタマーサポート、パートナー営業などの人材も獲得する予定という。