2018年2月20日10:26
レポート「クレジットカードビジネス市場要覧」では、預金を担保に発行されるセキュアードクレジットカードについても紹介している。
アメリカで1980年代初めに登場
アメリカで1980年代初めに登場し、一時クレジットヒストリーや低いクレジットスコアのためにクレジットカードを持てない人々を中心に一定の普及をみせていた銀行やクレジットユニオンなどの金融機関預金を担保にして発行されるクレジットカードが、セキュアードクレジットカード (Secured Credit Card)である。
近年、セキュアードクレジットカードとほぼ同じ決済機能を持つVisaやMastercard、American Expess、Discoverといったカードブランドのオープンループのバリューのリロードが可能なオンラインプリペイドカード(以下、ブランドプリペイドカード)が登場している。また、クレジットヒストリーの問題を抱え、低いクレジットスコアにもかかわらず、預金担保を取らず、高額の手数料と高いリボルビング金利を徴収するサブプライムクレジットカードが発行されている。セキュアードクレジットカードもブランドプリペイドカードもサブプライムクレジットカードもいずれも一見通常のクレジットカードとの見分けがつきにくい。
セキュアードクレジットカードと他カードとの比較
これらのペイメントカードを通常のクレジットカードと比較したものが(図表)である。通常のクレジットカードやセキュアードクレジットカード、サブプライムクレジットカードは銀行口座にリンクして発行されるクレジットカードであるのに対して、ブランドプリペイドカードはプリペイドアカウントに基づいて発行されるプリペイドカードである。
(図表) ペイメントカードの比較
ペイメントカード |
年会費・手数料 |
預金などの担保 |
クレジットビューローへの信用照会 |
クレジットヒストリーへの反映 |
通常のクレジットカード |
一般に低い |
× |
〇 |
〇 |
セキュアードクレジットカード |
一般に低い |
〇 |
〇 |
〇 |
ブランドプリペイドカード |
月次手数料を徴数するケースがある |
〇(プリペイドバリュー) |
× |
× |
サブプライムクレジットカード |
高額の手数料を徴収する |
× |
〇 |
〇 |
通常のクレジットカードは、ゴールドカードやプラチナカードといったプレミアムカードを除いて、年会費が無料であることが多い。セキュアードクレジットカードはブランドプリペイドカードが登場する前は、高額の年会費や手数料を徴収するケースが目立ったが、ブランドプリペイドカードとの競合のためか、高額の年会費や手数料を徴収するケースは目立たなくなった。ブランドプリペイドカードは競合のためか、一部を除き高額の年会費や手数料を徴収するケースは少ない。サブプライムクレジットカードは高額の手数料を徴収するが、2009年に施行されたクレジットカード法で上限が設定されている。
預金などの担保は、通常のクレジットカードとサブプライムクレジットカードは設定しないが、セキュアードクレジットカードは担保の設定を行い、その担保の範囲内でクレジットカードの決済を行うことができる。ブランドプリペイドカードは、プリペイドバリューをロードし、プリペイドバリューの範囲内でカード決済やATMからの現金の引き出しを行うことができる。リボルビング払いやキャッシュアドバンスといったファイナンス機能は、ブランドプリペイドカードを除いて付帯されている。
カードの発行に際して、クレジットビューローへの信用照会やクレジットヒストリーへの反映は、ブランドプリペイドカードを除いて行われ、ブランドプリペイドカードはクレジットカードのようにレンタカーを借り受ける際のデポジット機能やホテルの予約や宿泊時のデポジット機能などはない。