2018年3月2日8:00
顧客利便性向上を目指す決済手段多様化の一環としてクレジットとデビット、2種類のカードをラインナップ
ファミリーマートのポイントカード「ファミマTカード」には、現金払いのポイント機能のみのカードに加え、クレジットカード機能またはVisaデビット付キャッシュカード機能を搭載した2種類のカードがあり、合わせて3種類のカードがラインナップされている。このうち、ジャパンネット銀行との提携により、2015年より募集を開始しているVisaデビット付キャッシュカードの会員数が、2017年12月末現在で31万人となった。コンビニが提携デビットカードを発行する例は珍しい。クレジットカードを持てない若年層や、後払いを好まない層などに好評で、会員数、利用件数ともに増加を続けている。
「ファミマTカード」会員数は2017年末で1,300万人超
ファミリーマートでは、TカードとしてTポイントを貯めたり使ったりできるだけでなく、会員限定の特典が受けられる「ファミマTカード」を発行している。
カードは、現金払いのみに対応するポイント機能のみの「ファミマTカード(ポイントカード)」のほか、JCBとの提携により発行している「ファミマTカード(クレジットカード)」(以下、クレジット機能付カード)、ジャパンネット銀行との提携により発行している「ファミマTカード(Visaデビット付キャッシュカード)」(以下、Visaデビット機能付カード)の3種類をラインナップ。これら3種類の「ファミマTカード」も含めたTカードの、ファミリーマートのレジでの提示率は、現在4割に上っている。
「ファミマTカード」の会員数は、2017年12月末現在で、1,300万人超。そのうち、2015年から募集を開始しているVisaデビット機能付カードの会員数は31万人となっている。
目的は幅広い決済ニーズに対応すること、若年層の取り込みに成果
コンビニが提携デビットカードを発行する例は非常に珍しい。ファミリーマート 総合企画部 マーケティング室 メディア推進グループ 大野一世氏は、「ファミマTカード」のラインナップにVisaデビットを加えるに至った経緯について、「お客様の中には、クレジットカードによる後払いを好まない方々や、学生を中心とした若年層のお客様もいらっしゃいます。多様な決済ニーズに応える取り組みの一環として、これまで対応していなかったデビットおよびVisaを選択しました」と説明する。
クレジット機能付カードは18歳以上が申し込むことができ、入会には審査が必要なのに対して、Visaデビット機能付カードは15歳以上であれば基本的に審査なしで入会が可能。入会のハードルは比較的低いといえる。
ただし、デビットカードの入会は口座開設が伴うため、銀行法上、ファミリーマート店頭で入会手続きを完了することは難しい。そこで同社は店頭で配布するリーフレットやWEBサイトでサービスを告知し、ジャパンネット銀行がWEBサイトで詳細なサービス説明や口座開設手続きに応じるという役割分担で、会員の獲得を進めている。
また現在、Visaデビット機能付カードでは会員の4割が30代以下で、若年層の取り込みに効果を上げていると、同社では評価している。
Visaデビット機能付カード会員のファミリーマートへの来店頻度、決済金額は、ポイント機能のみのカード会員よりは明らかに高く、クレジット機能付カード会員には及ばないものの極端な差はないという。
Visaデビット機能付カードの会員数、利用件数は、ともに増え続けており、利用者からは「銀行口座残高を超えて買い物をしてしまう心配がなく安心」「すぐに利用明細を確認できて便利」といった声が聞かれている。ファミリーマート 総合企画部 マーケティング室 メディア推進グループ マネジャー 高岡夏氏は、「デビットカードは、初めて自分でカードを作る若い層とファミリーマートとの、良いタッチポイントになっていると思います」と話す。
決済環境整備のキーワードはモバイルとアプリ
快適な決済環境を整えるためのキーワードの1つが、“モバイル”や“アプリ”だと、同社は考えている。例えばファミリーマートのスマホアプリにも、「ファミマTカード」やTカードをより便利に活用するための機能が多数組み込まれている。
このアプリは、商品情報や、キャンペーン情報、クーポンなどを配信し、顧客とのコミュニケーションを深めるツールであるが、ここにTカード情報を登録してもらうことで、スマホをTカードとして利用することが可能に。アプリ上で保有Tポイントや月ごとのファミリーマートでの購入履歴を確認することができるほか、スマホ1つでTマネーでの買い物やチャージもできる。
コンビニにとって、レジ決済が快適か否かは、競争優位を左右する重要な要素となる。同社では、決済もコミュニケーション戦略の一環ととらえ、今後も多角的な観点からさまざまな施策を実行していく構えである。