2018年3月12日8:00
スマホを通じた決済手段の提供で加盟店を支援 Alipay 対応も予定
福岡銀行は、銀行口座と連携したスマートフォン決済サービス「YOKA!Pay」の提供を2018年3月から開始する。福岡銀行では、福岡エリアを中心に口座保有者にスマホで利用できる決済サービスを提供するとともに、横浜銀行と連携し、同サービスの利用者が他の金融機関と同様のサービスを契約した店舗でも支払いができる「銀行Pay(マルチバンク対応)」の導入を進めていく。
手数料はクレジットカードより安価に
福岡の地域に根ざしたサービスを提供へ
「YOKA!Pay」は、福岡銀行の口座保有者(以下、個人ユーザー)が、同行と契約した店舗での支払い時に、スマホアプリを通じて銀行口座からの即時引き落しによる支払いが行えるもの。加盟店では、同サービス専用の決済端末が不要で、タブレット端末にダウンロードした加盟店向けアプリ上で決済が完了する。また、利用金額に応じて個人ユーザーに対してキャッシュバックを実施する。
決済方法は、加盟店向けアプリに表示されるQRコードを読み込んで支払う「QRコード決済」、加盟店向けアプリから送信される金額を確認後、暗証番号を入力して認証を行う「暗証番号入力決済」の2パターンとなる。
福岡銀行 デジタル戦略部 サービスイノベーション推進室 主任調査役 土田修平氏は、「今回のサービスはスマートフォンを使った銀行口座からの即時引き落しを可能とする新たなキャッシュレスの決済手段をご提供することで、地域の事業者様と個人のお客さまに対して、便利でお得な決済手段をご提供するものです」と話す。加盟店は、早期に売り上げ代金の回収が可能となるほか、クーポン配信や販売履歴を利用したプロモーション展開などの販促活動も可能となる。
福岡銀行では、横浜銀行の「はまPay」がリリースされる以前からGMOペイメントゲートウェイと「銀行口座と連動したスマホ決済サービス」の話を進めていたという。土田氏は、「福岡銀行としては、地域に根ざした決済プラットフォームを構築し、地域経済活性化への貢献とキャッシュレス化の促進を図りたいという思いがありました」と説明する。
中国人観光客の需要にも対応へ
約35万の「Wallet+」ユーザーに利用を促す
「YOKA!Pay」アプリでは、中国人が日常的に使用している決済サービス「Alipay(アリペイ)」 への対応を予定している。福岡エリアでも中国をはじめとしたアジアからの観光客は多いが、Alipayに対応した店舗は首都圏等に比べ少ない。そのため、福岡銀行では地域加盟店にAlipayを浸透させることができると期待しており、加盟店にとっては、地元の決済、中国で普及している決済をそれぞれ導入可能だ。将来的には、POSレジ対応を実現させることで、スーパーマーケットや飲食チェーン店での導入を加速させたい考えだ。
まずは加盟店に受け入れられるサービスを目指すが、「すでに、地場の企業や商店街などに営業を行っており、地域に密着した手段として定着する可能性はあると考えています。課題はありますが、加盟店の方々と共にひとつひとつクリアしていき、一緒により良いサービスに仕上げていきたい」と土田氏は意気込む。
また、ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)傘下のiBankマーケティング(iBank社)では、スマートフォンアプリ「Wallet+」を提供しており、福岡銀行の総合口座普通預金と連携(口座登録)することで、日々の収支がわかる「お財布」機能や、アプリ専用の貯蓄預金口座を開設することで、手に入れたい目標に向けてスタートできる「ちょこっと預金」、「目的預金」などが利用できるサービスとなっている。YOKA!Payの営業ではWallet+と連携し、例えば、販促展開で悩みを抱える企業に対し、YOKA!PayとWallet+での広告を合わせて提案することができる。また、約35万人のWallet+ユーザーに対し、YOKA!Payの利用も促す方針だ。
熊本銀行・親和銀行でもサービスを予定
全国の金融機関に広がるサービスを目指す
土田氏は、「まずは、早い段階でインセンティブ提供等による加盟店拡大とユーザー数増強の好循環を実現していきたいです。また、本サービスから得られるデータを活用することで、将来的にお客さまに新たなサービスをご提供していければと考えています」と構想を口にする。
今後は、ふくおかフィナンシャルグループのグループ銀行(熊本銀行・親和銀行)でも「YOKA!Pay」同様のサービスをリリースする予定だ。「銀行口座と連動したスマホ決済サービス」では、「銀行Pay(マルチバンク対応)」を導入することで、各金融機関が展開するスマホ決済サービスについて、お互いのユーザーがお互いの加盟店で相互利用が可能になる。
土田氏は、「当行や横浜銀行様以外にも、全国の金融機関に仕組みをご利用いただきたいと考えており、銀行への説明も行っています。今後はお互いに利用者や加盟店を増やし、相互送客も実現させたいですね」と意気込みを見せた。