2018年5月15日8:00
アニメ、漫画、ゲーム、ファッションといった日本のポップカルチャーの関連グッズを、全世界に向けて販売しているTokyo Otaku Mode。2013年にECをスタートして以来、年平均40~50%の伸びで、売上を伸ばしている。Facebookページのフォロワー数は、日本企業としては最多の2,000万人。将来的には流通、メーカー、権利者を貫く垂直統合モデルを目指す。
ファンの要望に応えて越境EC参入
ECの売上比率は北米が50%以上
Tokyo Otaku Mode(トーキョーオタクモード)は、アニメ、漫画、ゲーム、ファッションといった日本のポップカルチャー情報を広く世界に発信することを目的に、2011年3月に立ち上げたFacebookページからスタートした。Facebookページのフォロワーからの、「日本で売っている関連グッズを買いたい」という声の高まりに応えて、フォロワー数が1,000万人を突破した2013年に、ECをスタート。現在まで年平均40~50%の伸びで、売上を伸ばしている。
Facebookページの現在のフォロワー数は、日本企業としては最多の2,000万人。うち99%が海外在住の外国人だ。国・地域別ではフィリピン、インドネシア、インドをはじめとするアジアが多い。
一方、ECの売上比率では、北米が50%以上を占めており、そのうちアメリカが8割、カナダが2割。次に多いのがオーストラリアと中国で、「この4カ国合計で全体の70%を占めています」と、Tokyo Otaku Mode Co-Founder/CEO 小高奈皇光氏は語る。基本的にEMS(Express Mail Service:国際スピード郵便)が使える場所には商品のお届けが可能で、これまで130以上の国・地域への販売実績があるというものの、上位に並ぶのは経済的に豊かで可処分所得が高く、ネットインフラが整った先進国である。
人気商品は、アイテムでは、フィギュア、ぬいぐるみ、ファッションの順。タイトルでは、現在は、ゼルダの伝説、Fateなどが人気だ。
自社サイトとTモールの二本立てでEC展開
2日後に着金するStripe、PayPalを導入
自社ECサイト、otakumode.comは、英語表記で、価格はドル建て。基本的にこれで、全世界からの注文に応じている。
ただし、中国に関しては、2015年5月にアリババグループが運営するオンラインショッピングモール「天猫国際(Tモールグローバル)」に出店するかたちで、別立てで対応している。プロモーションについても、中国ではFacebookが使えないため、代わりにウェイボー(微博)を活用している。
otakumode.comでは、支払い方法として、クレジットカード、PayPal、Amazon Payをラインナップ。クレジットカード決済は、米国・Stripeを通して行っている。
小高氏は、「日本国内のサービスは決済から入金まで2カ月近くを要するものが少なくない中、StripeやPayPal、Amazon Payでは決済の2日後に着金します」と、採用の決め手について話す。
実際に利用されている決済方法は、otakumode.comではStripe経由によるクレジットカードとPayPalで大半を占めるとのこと。中国対応の「Tモールグローバル」では、100%Alipayによる決済だ。
海外諸国を対象としているだけに、不正リスクは避けられない。同社ではこれまで蓄積してきたノウハウをもとに、リスクが高いと思われる取引に対してアラートを出し、商品発送前に調査・検証を行う仕組みを構築している。これにより、一時は数パーセントに達していた特定地域の不正リスクも、今では1%未満に抑えられているという。
流通からメーカー、権利者レイヤー制覇へ
“トーキョーオタクモード帝国”確立を目指す
Tokyo Otaku Modeは、Facebookを通じて獲得したファン層を基盤にECを展開して成功を収めてきたが、今ではメーカー機能にまで事業を拡げている。
otakumode.comの「ショップ(Shop)」ページはメーカーから商品を仕入れて販売しているが、「プロジェクト(Projects)」のページでは自社が主導して商品化したアイテムを販売。海外専売やオリジナル商品のため、日本国内からの注文も多い。
小高氏は、「将来的には、作品やキャラクターの著作権を獲得し、それを元に社内のメーカー機能によって自ら商品をつくり、自社流通網で販売する垂直統合モデルをつくり上げたいと考えています」と意気込みを見せる。
また、現行のポイントプログラム、「TOM Point」を発展させた、世界中のオタクコミュニティで使える「オタクコイン」の構想も描いている。
多面的な角度から、“トーキョーオタクモード帝国”建国の計画が、着々と進行中である。