東急電鉄、スマホ決済アプリを活用した券売機でのキャッシュアウト・サービスを開発

2018年7月17日8:00

「はまPay」や「ゆうちょPay」を活用して預金の引き出しが可能に

東京急行電鉄は、2018年7月13日、東急線の各駅の券売機で銀行預金の引き出しができるキャッシュアウト・サービスを横浜銀行、ゆうちょ銀行、GMOペイメントゲートウェイの協力のもと開発したと発表した。同日には東京渋谷区の東急エクセルホテルで記者説明会を開催した。

左からゆうちょ銀行 専務執行役 村島正浩氏、東京急行電鉄 取締役社長 高橋和夫氏、横浜銀行 取締役常務執行役員 前迫静美氏、GMOペイメントゲートウェイ 代表取締役社長 相浦一成氏

チケットレス化で低利用になっている券売機に着目
2019年春に東急線各駅での提供開始を視野に

今回発表したキャッシュアウト・サービスでは、利用者のスマートフォンアプリで、事前に引き出し金額の申請を行い、表示されたQRコードを券売機の読み取り機にかざすことで、横浜銀行やゆうちょ銀行などの提携金融機関の預金引き出しを可能にするものだ。2018年中に一部の券売機で実証実験を行い、2019年春に東急線各駅での提供開始を目指す。

サービスの特徴として、スマートフォン決済サービスのアプリを利用することにより、利用者はキャッシュカードを取り出すことなく、現金の引き出しが可能だ。横浜銀行が展開しているスマートフォン決済サービス「はまPay」、ゆうちょ銀行が2019年2月から展開予定の「ゆうちょPay」を活用してキャッシュアウト・サービスが可能となる。手数料や利用上限金額については、今後検討していく予定だ。

東急電鉄によると、今回のサービスは同社の「社内起業家育成制度」から生まれたという。チケットレス化で低利用になっている券売機に着目。東京急行電鉄 取締役社長 高橋和夫氏は、「キャッシュレス化の中でキャッシングという逆張りとなる、逆転の発想から生まれたユニークなもの」であると説明した。

また、同サービスの開発を中心となって進めた東京急行電鉄 事業開発室 プロジェクト推進部 イノベーション推進課 プロジェクトリーダー 八巻善行氏は、「駅に行けばスマートフォンで現金をおろせる安心感をお客様に提供することで、キャッシュレス化の推進に駅を通じて貢献できると考えています。利用時間の短縮を図り、サービスレベルを下げないことが必要不可欠です」と意気込みを見せた。

東京急行電鉄 事業開発室 プロジェクト推進部 イノベーション推進課 プロジェクトリーダー 八巻善行氏

スマホを使って簡単に預金を引き出しできるサービスを目指す
キャッシュアウト・サービス以外でのスマホ活用も視野に

横浜銀行では、2017年7月からGMOペイメントゲートウェイと共同開発した「はまPay」を提供している。同サービスは、スマートフォンを利用して、銀行口座から即座に支払うことができる決済サービスで、日本の銀行として初のサービスとなった。横浜銀行 取締役常務執行役員 前迫静美氏は、「スマートフォンを使って手軽に現金を引き出すことができる環境を用意することで、より多くのお客様のニーズに応えることができると考えました」と話す。まずは、キャッシュアウト・サービスが皮切りとなるが、将来的には「はまPay」で乗車券が購入できたり、QRコードで乗車できるサービスも「構想としてはあります」と横浜銀行 総合企画部 担当部長 島山幸晴氏は口にする。

横浜銀行 総合企画部 担当部長 島山幸晴氏

ゆうちょ銀行では、2019年2月からスマートフォン決済サービス「ゆうちょPay」を開始する。ゆうちょ銀行 専務執行役 村島正浩氏は、「『ゆうちょPay』をより便利に活用していただく根幹のサービスの1つであると考えています」とした。

GMO-PGは「銀行Pay」の基盤を提供し、キャッシュアウト・サービス実現
鉄道以外にも病院の自動精算機で準備を進める

GMOペイメントゲートウェイでは、導入している銀行に口座を持つ人が、加盟店での買い物時に、スマホアプリから即時に口座引き落とし等の支払いが可能となるサービス「銀行Pay」を提供している。前述の横浜銀行やゆうちょ銀行も「銀行Pay」の基盤を活用しており、他にもふくおかフィナンシャルグループの福岡銀行、熊本銀行、親和銀行でスタートした「YOKA!Pay(よかペイ)」、りそなグループ3行(りそな銀行・埼玉りそな銀行・近畿大阪銀行)が2018年秋頃に開始予定のサービスで採用された。

同サービスはマルチバンク対応が売りとなり、相互の加盟店において、それぞれの「銀行Pay」が利用可能となる予定だ。GMOペイメントゲートウェイ 代表取締役社長 相浦一成氏は、「鉄道や銀行といった生活のインフラの企業と、新たな価値の創造ができたことは光栄です」と語った。

GMOペイメントゲートウェイ イノベーション・パートナーズ本部 戦略事業統括部 スマートペイ事業推進部 執行役員 室長 畑田泰紀氏

なお、GMO-PGでは、横浜銀行、アルメックスと2017年7月12日に、アルメックスが医療機関向けに提供する自動精算機でのキャッシュアウト・サービス提供に向け協議を開始すると発表している。同社 イノベーション・パートナーズ本部 戦略事業統括部 スマートペイ事業推進部 執行役員 室長 畑田泰紀氏は、「鉄道と並行して病院での準備も進めています」とした上で、鉄道とそう変わらない時期に病院に設置された自動精算機から現金の引き出しが可能になるサービスを提供できるとした。

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