2019年1月11日8:56
福岡地域戦略推進協議会、福岡市は、2019年1月9日、Fukuoka Growth Next (福岡グロースネクスト)内 イベントスペースにおいて、「フィンテックがもたらすFUKUOKAのミライ」を開催した。当日は、福岡市で実施中の福岡市実証実験フルサポート事業「キャッシュレス実証実験」の中間報告が行われた。なお、同イベントは、2019年6月8・9日に開催される「G20福岡財務大臣・中央銀行総裁会議」の開催150日前の記念セミナーの中で実施した。
公共はLINE、民間は8社が採択
福岡市では、公共施設と民間において、キャッシュレス化の実証実験を行っている。公共施設は、LINEが採択され、LINE PayとLINE Fukuokaが共同事業者となっている。また、民間での実証実験は、Kotozna、NIPPON Table、楽天、福岡銀行、Origami、LINE、PayPay、マネーフォワードおよび一般社団法人 BusinessIT 推進協会の8社が採択された。
同セミナーの基調講演では、LINE 代表取締役社長 出澤剛氏が登壇。LINE Payは、2018年に利用箇所数100万カ所を突破している。出澤氏は、「LINE Pay」など、LINEのFintech戦略の取り組みを紹介。また、LINE上で粗大ごみ収集の申し込みができるLINEアカウント「福岡市粗大ごみ受付」の実証実験、引っ越し・証明案内サービスの「LINE Smart Government AI 引越証明書案内」といった、LINEでAIを活用した取り組みについて説明した。
主要なQR/モバイルバーコード決済事業者が取り組みを発表
続いて、福岡市実証実験フルサポート事業 「キャッシュレス実証実験の状況報告」を実施。実証実験の採択事業者が、2018年6月から実施している実証実験の実績をもとに、事務作業の効率化や消費購買行動の変化、インバウンドの集客など、キャッシュレスの導入による効果等について発表した。
LINEでは、福岡市動物園、福岡市博物館、福岡タワーなど、10の公共施設で「LINE Pay」の実証実験を行っているが、利用者は1,500名ほどとなっている。真のキャッシュレス社会に加え、今後は、「決済+α」のサービスを付加していくことが重要であるとした。
福岡市では、QR/モバイルバーコード決済は、中小企業の生産性向上などに寄与できるサービスであると期待しており、屋台や商店街、タクシー、小規模店舗などで民間での実験も進めている。市内では、「LINE Pay」に加え、楽天の「楽天ペイ(アプリ決済)」、Origamiの「Origami Pay」、福岡銀行の「YOKA!Pay」、PayPayの「PayPay」などのサービスを利用した実証実験が行われている。
また、プラットフォームを提供する事業者として、NIPPON Tabletが採択。同社では、「Amazon Pay」や「WeChat Pay」など、タブレットを使った決済サービスを推進している。Kotoznaは、インバウンド対応などに向け、「Alipay」決済に加え、多言語同時翻訳サービスを提供している。マネーフォワードは、ビジネス向けクラウドサービス「MFクラウドシリーズ」に加え、Business IT推進協会のパートナー企業が提供するスマホ決済やPOSレジなどのITツールの複合的な導入を中小企業に提案している。
決済に加え販促サービスも展開、福岡での展開を強化する採択事業者も
これまでの民間での実証実験の成果として、楽天の発表によると、屋台では、「楽天ペイ(アプリ決済)」の決済単価が現金よりも高い結果がでているという。また、現金を扱わなくて済むため、衛生面でもプラスになったそうだ。
決済に加え、アプリと連携した販促サービスも強化している事業者もある。例えば、Origamiでは、タクシーの福岡交通、ドラッグストアの新星堂薬局と協力して、アプリのプッシュ配信でクーポンを提供した。その結果、福岡交通では100%近い人が取得した。また、新星堂薬局は84%が取得して、4割が再来店する結果となった。
地域に根ざした展開も強化している事業者も多い。福岡に拠点のあるLINEや楽天、PayPayといった企業に加え、Origami、NIPPON Tabletの親会社であるNIPPON Platformでは、2019年1月に福岡に拠点を設け、店舗への営業を強化している。
なお、福岡を地盤に営業を展開する福岡銀行の「YOKA!Pay」では、加盟店数が2,000店舗を突破。順調に店舗数が増える一方で、男性の利用が7割を占めており、女性の浸透に課題があるとした。