2019年2月6日8:00
インコム・ジャパンは、2019年1月29日に「QR/バーコード決済 交流セミナー」を開催した。当日は、小売事業者119名、ペイメントブランド20名の約140名が参加した。
アクワイアリング・サービスは16社、約1万4,000店が採用
インコム・ジャパンは、米国アトランタに本社を置くPOSAカード流通事業者の日本法人となる。国内の総取扱店舗数は約6万店舗、コンビニエンスストアやドラッグストア、家電量販店、スーパー、ディスカウントストア等、大手小売企業のPOSレジシステムと接続することでPOSA事業を展開している。2017年1月に、POSA事業の技術とシステム資産を活用し、POSレジでのモバイルバーコード決済のアクワイアリング事業に参入している。2018年1月29日現在、インコム・ジャパンのアクワイアリング・サービスは16社、約1万4,000店が採用。そのうち、売上高1,000億を超える企業は13社となり、月間トランザクションは40万件を超えた。
今回のイベントは、日本で行う企画の第二弾として開催。2018年には「APACパートナーアライアンス」として、アジア全体を意識した幅広いプレゼンテーション、ディスカッション、パネルディスカッション、意見交換を行った。その企画が好評であったため、今回は日本に焦点を当て、かつキャッシュレスにまつわるトピックスを中心に開催した。
冒頭に挨拶した、インコム・ジャパン 代表取締役社長 荒井 琢麿氏は、「現場に近い視点で、関係各社の皆様が生の声を交換できる場を提供したいという思いで開催しました」と説明する。
最初の講演では、経済産業省 消費・流通政策課長(併)大規模小売店舗立地法相談 室長 永井岳彦氏が、「キャッシュレス社会とスマートストア到来」について紹介した。続いて、「QR/バーコード決済事業者によるパネルディスカッション」を実施。一般社団法人Fintech協会代表理事会長・インフキュリオン・グループ代表取締役社長 丸山弘毅氏の進行のもと、セブン・ペイ 営業部 取締役 営業部長 奥田裕康氏、LINE Pay 取締役COO 長福 久弘氏、PayPay 取締役 副社長執行役員 COO 営業統括本部長 馬場一氏、ゆうちょ銀行 執行役 奈倉忍氏が登壇し、事業者の取り組みが紹介された。
ペイメント事業者の講演では、りそなホールディングス 執行役 兼 りそな銀行 常務執行役員 決済事業部担当 鳥居高行氏が登壇。りそなグループのりそな銀行・埼玉りそな銀行では、加盟店サービス「りそなキャッシュレス・プラットフォーム」を展開するが、インコム・ジャパンでは提携パートナー12社の1つとなっている。インコム・ジャパンでは、QR/バーコード決済「提携ウォレットサービス」を、すでにインコム・ジャパンとシステム接続している加盟店や新規でシステム接続をする加盟店に対して導入を推進する予定だ。
続いて、インコム・ジャパンのアクワイアリング・システムを導入したエディオン 取締役専務執行役員兼管理本部長 小谷野薫氏、キタムラ 執行役員 EC事業部 事業部長 兼 デジタルマーケティング室長 柳沢啓氏が登壇。インコム・ジャパンのアクワイアリング・システムの導入経緯や実際の運用に向けた取り組みを説明した。
2年間の運用で、安定したペイメントシステムを提供
最終講演では、 インコム・ジャパン ビジネスディベロップメント 兼 アカウントマネジメント シニア・ディレクター 鬼頭潤一氏 氏が「インコム・ジャパンのソリューション」について紹介した。
インコム・ジャパンは、2年前にWeChat Payのアクワイリングから事業をスタートしたが、現在は、Alipayも含めたインバウンド決済、国内プレイヤーの決済手段のアクワイアリングをワンストップで展開している。ペイメント事業者と加盟店の間に入り、システムの連携、契約、販促、精算業務を一気通貫でサポート。導入加盟店の内訳として、1,000店舗を超える加盟店が約50%、500店舗を超える加盟店が19%となっている。
鬼頭氏は、アクワイアリング・サービス開始後、スムーズにいった点として、POSレジと同社のゲートウェイ間の接続は大きなトラブルなく運用できているとした。また、免税店だけではなく、全店での利用率はドラッグストアなどで成果が見られる。さらに、コールセンターへの問い合わせ数は、トランザクションの0.04%となり、ほとんど問い合わせがない状況だ。精算差異も0.01%とほぼなく、システム的に深刻なエラーは発生していない。さらに、チャージバックもなく、「ペイメントとして、非常に安定しています」と鬼頭氏は強みを述べる。
一方で、これまでの事業で大変だった点として、加盟店内の部署間調整が挙がった。QR/バーコード決済は、単純な支払い手段に加え、集客や販促などが関わるため、さまざまな部署が絡み、社内での調整に苦労したケースがあった。また、ペイメントサービス事業者の急増により、各事業者のシステムや運用の整理が必要となる。さらに、キャンペーン頻度と決定スピードへの対応が求められるケースがあるとした。
最後に鬼頭氏は、QR/バーコード決済サービスにおけるインコム・ジャパンの役割として、「スピード対応」「標準化」「リスクヘッジ」の3つを挙げた。
なお、セミナー後には、交流会を開催。小売事業者やペイメントブランド事業者の親睦と交流を深めた。