NTTデータがレジ無し決済店舗で見据える世界とは? CAFISとも連携

2019年9月18日8:15

NTTデータは、「レジ無しデジタル店舗出店サービス」を小売業界向けに提供開始している。東京・六本木のデザインスタジオ「AQUAIR」の実験店舗において、同社の技術を体験した。

NTTデータ ITサービス・ペイメント事業本部 SDDX事業部 サービスデザイン統括部  デジタルエクスペリエンス担当 主任 西郷拓海氏

画像認識と重量認識で商品を識別
商品を何個手にとっても識別可能

「レジ無しデジタル店舗出店サービス」は、消費者がレジでの支払いをせず、決済手段を指定したQRコードで認証入店することで、店舗内で手に取った商品をそのまま持ち帰ることができるサービスだ。商品は何個手にとっても識別できる。また、ポケットやかばんなどに入れて、持ち帰ることも可能だ。退店後は、スマートフォンで購入した商品を確認できる。

QRコードをゲートにかざして入店する

店内には40台のカメラを設置。また、商品の棚が天秤になっており、フックの棚にも重量センサーが付いている。カメラの画像認識と重量認識により商品を識別し、自動会計を実現。 NTTデータ ITサービス・ペイメント事業本部 SDDX事業部 サービスデザイン統括部 デジタルエクスペリエンス担当 主任 西郷拓海氏は、「どの方が、どの商品を何個持っているかを判別して、ゲートを通ると支払いができます。仕組みは『Amazon Go』と似たような、レジがない買い物ができるようになっています」と説明する。

天井に設置したカメラ
棚やフックにも重量センサーを設置

画像認識や重量認識のアルゴリズムは、中国のCloudPick(クラウドピック)の技術を使用している。Amazon Goとは、消費者体験は似ているが、認識のアルゴリズムは細部で異なっているという。CloudPickは、NTTデータ開催のオープンイノベーションコンテストの中国大会で優勝した企業であり、すでに中国で30~40店舗展開している。

NTTデータでは、レジ無しデジタル店舗のビジネス拡大に向けて、3段階で展開を進める。1つめは、同実験店舗で消費者や従業員の体験をしてもらうことで、業務オペレーションや店舗収支を推測したビジネスプランの仮説を作成していく。2つめは、レジ無しデジタル店舗における仮説検証を行い、多店舗展開等に向けた課題を洗い出す。3つめは、多店舗展開するための企画・業務オペレーション、システムインフラなどを提供する。

日本では、人手不足や少子化など、潜在的な課題を抱えているが、レジ無しデジタル店舗により従業員の負担を軽減できる。また、デジタル化により、マーケティングへの活用も期待できる。AIによる認識は、100%すべてを完璧に見抜くわけではないが、それに近い数値となっている。西郷氏は、「人件費削減などの効果、既存のレジでも誤りがありますので、リテーラーと実際に検証していきたいです」とした。

退店後は購入した商品を確認できる
電子レシート

CAFISのスマホ決済サービス「CAFIS Pitt」を使用
店舗の独自アプリとの連携も可能に

同サービスでは、NTTデータの決済総合プラットフォーム「CAFIS(キャフィス)」と連携。アプリは、CAFISのスマホ決済サービス「CAFIS Pitt」の仕組みを使用している。CAFIS Pittは、店舗独自の決済アプリを構築できるサービスで、三井不動産や東急電鉄の商業施設などで使用されているサービスだ。「レジ無しデジタル店舗出店サービス」では、クレジットカードと紐づけているが、要望に応じて他の決済手段に対応させることができる。

西郷氏は、「コンビニエンスストアは独自のアプリを展開されていますので、そこに組み込むことも検討していきたいです」とした。CAFISにおける店舗接点は端末が中心だったが、セルフレジなど多様な接点を持つことにより便利な購買体験を提供していく方針だ。

完全無人を目指しているわけではない?
2022年末までに1,000店舗出店を掲げる

なお、同店舗は完全無人を目指しているわけではないという。店舗では品出しが必要になり、また、おにぎりや生鮮食品、ビールやたばこなど対面での販売が必要なものもあるため、如何にレジ業務や作業を効率化できるかが重要となる。

また、中国では完全無人店舗などのAIブームは、2018年でひと段落したと言われる。その点について西郷氏は、「国内でも完全無人ではなく有人レジを併設するなど、フォルムを変えて、マーケットに受け入れられるように進化しています。中国でも新たな形態が生まれており、日本マーケットに受け入れられるものを見つけていきたいです」と話す。

コストに関しては非公表だが、実際に流通企業に提供する際は、メリットがでる商品体系を目指す。まずは日本での展開が中心となるが、海外での展開も見据える。当面の目標として、2022年末までに1,000店舗出店を掲げている。来年度以降は実際の導入に結び付けたい考えだ。

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