岐阜高山でアジア初の地域通貨国際会議が開催、参加者は視察や決済体験も

2019年9月20日8:00

地域通貨の国際的なイベントである「第5回貨幣革新・地域通貨国際会議飛騨高山大会」(RAMICS)が2019年9月11日~15日まで高山市民文化会館で開催された。

RAMICSは、地域通貨や仮想通貨などの研究者が集う会議で、過去にはフランス・リヨン(2011年)、オランダ・ハーグ(2013年)、ブラジル・サルバドール(2015年)、スペイン・バルセロナ(2017年)と隔年で開催され、アジア初の会議として高山で開催された。これまで比較的大規模な都市で開催されてきた会議だが、地方都市の高山で行われたきっかけは、飛騨信用組合の電子地域通貨「さるぼぼコイン」、および特定非営利活動法人活エネルギーアカデミーが展開するエネルギーポイント「Enepo」と、2つの地域通貨が同地域で展開され、根付いていることがあった。

「第5回貨幣革新・地域通貨国際会議飛騨高山大会」の組織委員長を務めた西部忠氏

9月11日、12日には研究者、シンポジウムを中心とした学術者会議が行われ、世界的に成功が少ないと言われる地域通貨で成果を出しているドイツでの事例などが紹介された。13日は、エスカレーションとして、地域通貨「Enepo」の流れを学べる視察ツアー等を実施した。

14日、15日には、地方自治体、NPO、民間企業などが地域通貨の成功事例を紹介するコンベンションが開催された。コンベンションの基調講演では、「地域通貨における自然、文化、経済の持続可能性と技術イノベーションの調和」として、日本植物燃料 CEOの合田 真氏、およびクルミドコーヒー オーナーで「地域通貨ぶんじ」の運営に携わる影山 知明氏が登壇し、取り組みを紹介した。

日本植物燃料 CEOの合田 真氏
「地域通貨ぶんじ」について説明するクルミドコーヒー オーナー 影山 知明氏

また、RAMICSの最終セッションとなった「グッドマネーラボ企画セッション 第IV部」では、「共通デジタル地域通貨プラットフォームの仲間たち」と題し、4者によるセッションが行われた。

飛騨信用組合 常勤理事総務部長 フィンテックプロジェクトチームリーダー 古里圭史氏は、「電子地域通貨さるぼぼコインによる域内経済循環の取り組み」について紹介
電子地域通貨アクアコインについて説明する君津信用組合常務理事の平柳利一氏(右)と木更津市 経済部産業振興課 主幹 鈴木昭宣氏(右)
都会と地域を結ぶ地域通貨eumoによる共感資本 社会形成について紹介するeumo代表取締役 新井和宏氏
デジタル地域通貨プラットフォーム「MoneyEasy」について紹介するフィノバレー 代表取締役 川田修平氏

会場には、国内で展開されているさまざまな地域通貨、ソリューションやサービスを展示するコーナーを設置。また、会場屋外の駐車場には、「さるぼぼコイン」で料理や飲み物を購入できる屋台が設けられた。

会期中は、全店舗で「さるぼぼコイン」や「Enepo」が利用できる“でこなる横丁”など、高山市内の店舗で地域通貨を使って飲食等を楽しむ参加者も見受けられた。

電子地域通貨「さるぼぼコイン」のチャージ機を設置。会議の参加者はチャージして高山での飲食を楽しんだ
特定非営利活動法人活エネルギーアカデミーが展開するエネルギーポイント「Enepo」
MaaS Tech Japanは飛騨高山エリアでMaaSと地域通貨の実証実験を実施予定
Orbは「常若通貨」(九州電力・筑邦銀行)、「NISEKO Pay」(北海道ニセコ町)など、ブロックチェーン技術を活用した実績を紹介
近鉄グループホールディングスと三菱総合研究所は地域通貨「ハルカスコイン」の実験結果を紹介。今後は同実験の成果をもとに商用展開を予定している
フィノバレーと日本ATMは、地域通貨について学べる3Dゲームが体験できる取り組みを実施。木更津など地域の特産品も紹介
「ふるさとチョイス」で有名なトランストバンクは、自治体向けに地域通貨を提案。埼玉県深谷市のnegi(ネギー)
上越教育大学、北陸先端科学技術大学院大学、仙台高等専門学校はデジタルの地域通貨メディアとしての特性を研究している
持続可能社会のためのコミュニティ通貨研究コンソーシアムは北海道大学での実証実験について報告。ジィ・シィ企画がシステム面で協力している
日本全国で展開されている地域通貨について紹介するコーナーも設けられた
eumoは「さるぼぼコイン」を紹介するとともに、来場者が楽しめるスタンプラリーを実施
飛騨高山の森林組合の情報を紹介するコーナー、木質ペレット燃料を製造して再生可能エネルギーの普及を目指す取り組みも紹介

屋台村では「さるぼぼコイン」で買い物が可能に
「Enepo」と「さるぼぼコイン」が使える店のフラッグも作成

 

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