2019年10月30日8:00
日本金融通信社は、2019年10月24日と25日の2日間、第19回目となる「FIT(Financial Information Technology)2019(金融国際情報技術展)」を東京国際フォーラムで開催した。FITは、日本金融通信社の金融総合専門紙「ニッキン」が主催する金融ITフェアだ。ここでは、決済関連の展示を中心に展示の様子をレポートする。
しんきん情報サービス(SIS)は、東京・沖縄および関東・甲信越の信用金庫の共同出資による情報関連会社となる。同社では、ビリングシステムが提供するスマートフォン決済アプリ「PayB」を信用金庫向けに提供している。税金や公共料金、通販など各種代金の支払いをコンビニ等払込票のバーコードを読み取ることで、「しんきん PayB」に登録した利用者の信用金庫預金口座からリアルタイムで決済が可能だ。すでに小松川信用金庫や西武信用金庫で利用されている。
カードプリンター、IDカード発行サービス大手の日本データカードは、「プリントオンデマンド」を紹介した。顧客のロイヤリティに応じたカードによる差別化などのカード印刷・発行を紹介した。
大日本印刷(DNP)は、「即時カード発行」や「本人確認」などの店頭で行う業務を、顧客がセルフ操作で実施できるサービスである「DNPカード即時発行サービス(KIOSK端末型)」を展示した。同端末では、専用カメラで撮影した顧客の顔画像と、身分証のICチップ内の顔画像を自動的に照合して、本人確認とカード発行を行う。同社担当者によると、最短2分でカードが発行できるという。これにより、店舗・顧客双方の手間を省力化できるという。すでに同端末は、クレディセゾンで採用されている。
また、DNPブースでは、国際ブランドプリペイドや国際ブランドデビットも紹介した。「DNP国際ブランドデビット 決済サービス」では、2019年7月31日に、インターネット上のアプリケーションとして利用できるASP(Application Service Provider)型での提供を開始している。同ASPサービスは、第一弾として、オリエントコーポレーションに採用され、トマト銀行の「トマトMastercardデビット」で運用されている。
Quadientは、既存のコミュニケーションの設計・実務を担うシステムやプロセスを一元管理できる統合製品を提供しており、金融機関はパーソナライズされた顧客とのコミュニケーションが可能になる。すでに国内でもクレジットカードの利用明細書のパーソナライズなどで利用された実績がある。
NTTデータは、金融機関向けポータルアプリ「My Pallete(マイパレット)」を展開しているが、日本電子決済推進機構が提供するスマホ決済サービス「Bank Pay」への対応を紹介した。同サービスは、導入を決定した西日本シティ銀行と共同検討してNTTデータで開発し、複数の金融機関で採用される予定だ。
セイコーソリューションズは、カード自動決済パッケージ「CAPS」を展開しており、仕向/被仕向の決済業務をサポートしている。FITでは、送金サービスの自動化/対外接続ソリューションを紹介。資金移動事業者は、専用送金カードからATM経由でスムーズに入金が可能となる。
凸版印刷は、2019年10月18日にリリースした「AI校閲・校正支援システム」を紹介した。これは、金融機関や保険などでAI技術を活用することで、印刷物・デジタル媒体に関する業界・企業特有の表記や専門用語を学習し、企業ごとの基準に合わせて文章の校閲・校正を行うものだ。
また、凸版印刷では、全国の自治体や商店街に向けて地域のキャッシュレス化を実現する決済プラットフォーム「地域Pay(チイキペイ)」を展開している。1枚のカードやスマートフォンのアプリだけで複数の決済サービスのキャッシュレスな利用を可能にする。
みずほ情報総研は、みずほ銀行が2019年3月にリリースした「J-Coin Pay」を経費精算などの送金に活用できる「J-Coin Biz」を紹介した。経費精算時の従業員向けの送金を銀行振り込み経由ではなく、従業員の「J-Coin Pay」アカウントに直接送金できるサービスとなる予定だ。送金された金額は決済や送金時にそのまま利用可能だ。
富士通は、「金融ソリューションFinplex オンライン本人確認サービス FaceTRUST」のデモを実施した。同サービスは、本人確認書類の顔画像と利用者の容姿をAIで顔照合し、本人性の確認を行う。本人確認書類の読み取りは、スマートフォンのNFC機能によるICチップ読み取りに対応している。
トッパンフォームズは、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが提供する「+メッセージ」を連携させた、金融機関横断の共通手続きプラットフォームを紹介した。「+メッセージ」からの一括手続きを行うことで、例えば住所変更を行えば、複数の金融機関の手続きを一括で完了させることも可能だ。
タレス(Thales)グループのジェムアルト(Gemalto)は、手袋、リストバンド、ストラップといった異形状のウェアラブル型非接触IC決済のデモを実施した。すでに国内外で多数の実績がある。地域のスポーツクラブやポイントサービス事業者などに同ソリューションを提案しているという。
TISは、クレジットカード、プリペイドカード、デビットカード、ポイントカードなど、多様なサービスを提供している。FITでは、そういった支払い手段をスマートフォンに集約させるサービスを紹介した。VisaやMastercardのタッチ決済、iDやQUICPayといったFeliCa決済、国内で広がりを見せるQR/バーコード決済など、さまざまな支払いに対応可能だ。また、セキュリティ面では、PCI DSSに準拠したクラウドサーバでの運用に加え、利用者への不正利用通知、利用者自身で限度額のコントロールができるサービス等を提供している。
ネットムーブは、金融機関など延べ100社以上にセキュリティサービスを提供した実績がある。「SaAT(サート) アプリ診断」は、スマートフォンアプリのセキュリティリスクを解析し、対応に至るまでフォローするサービスだ。最近では、金融機関以外からの引き合いも増えている。また、PCI P2PE認定を取得したスマートフォン決済サービス「SaAT ポケレジ」も紹介した。
サインポストとトッパンフォームズは、人工知能「SPAI」と画像認識技術を活用して、利用客がレジに商品を置くだけで商品の識別から支払金額の計算、決済まで完結できる「ワンダーレジ」を紹介した。従来(左)のレジに加え、よりコストを抑えた新型のレジ(右)も展示。同端末は、大分フットボールクラブは、12月7日に昭和電工ドーム大分にて行われる、明治安田生命J1リーグ 第34節セレッソ大阪戦で使用される予定だ。