2017年10月31日8:00
日本金融通信社は、2017年10月26日、27日の2日間、「FIT(Financial Information Technology)2017(金融国際情報技術展)」を東京国際フォーラムで開催した。会場では、新たな決済サービスも紹介されていた。
LINE Payがセブン銀行ATMで入出金可能なサービスを開始するなど注目を集めているが、会場では複数のブースでQRコードやNFCで入出金可能なサービスの展示が行われていた。NTTデータでは、金融機関向けバンキングアプリ「My Pallete」において、スマホを活用してATM取引が可能となる「スマホ入出金サービス」を参考出展。ATMに表示されたQRコードをスマホで読み取るため、新たなハードウェアの設置が不要だ。また、iOSやAndroidなどで使用できる。NTTデータの担当者によると、すでに複数の銀行と話を進めているという。
また、凸版印刷や大日本印刷といった大手印刷会社では、NFCのHCE(ホスト・カード・エミュレーション:Host Card Emulation)機能を活用したATMの入出金を提案している。凸版印刷とTISでは、「金融機関向けモバイルWalletサービス」を紹介。利用者は、取引内容をスマートフォン上で予め入力し、対応のATMでそのスマホをタッチするだけで入出金などが可能となる。同サービスでは、カード番号をトークン(乱数)に置き換えて利用するトークナイゼーション技術を採用している。
TISのブースでは、TISの決済ソリューション「PAYCIERGE」の決済ソリューションと、エルブスが目指す「過疎地連携経済圏構想」を連携させた地域活性化モデルのデモを実施。「御用聞きAI」と「地域通貨」による、地域活性化を提案した。
大日本印刷は、磁気、接触、非接触決済、バーコード決済、ハウスプリペイド、ハウスポイント、汎用ポイントと、さまざまな機能を一台で実現する決済端末を開発しており、2018年春にはリリースできるという。また、ブランドプリペイド、ブランドデビットなどを紹介。特にブランドプリペイドの導入が加速しているそうだ。
ネットムーブでは、スマートフォン、タブレットがクレジット決済端末になる「SaAT ポケレジ」を提供している。同社では、P2PE(Point-to-Point Encryption)ソリューションを提供することで、対面決済の入り口から出口まで暗号化し、適正な暗号鍵のキーマネジメントにより、加盟店に安心・安全な決済を提供するという。
タレスジャパン(Thales)は、決済用HSM(ハードウェア・セキュリティ・モジュール:Hardware Security Module)「payShield 9000」を紹介。タレスのHSMは、カード業界などにおいて、暗号鍵の管理で数多く利用されている。また、一貫した暗号処理により、カード会員情報や決済データを保護する技術である「P2PE」の実装を支援している。Thalesでは、REST APIによる容易な導入やボルトレスによる高速化を実現可能な「VTS(Vormetric Tokenization Server:ボーメトリック・トークンサーバー)」も紹介した。
Gemaltoは、認証やセキュリティに関するさまざまなソリューションおよびサービスを紹介。機密情報を乱数に置き換える「Safenet Tokenization」は、クレジットカード業界の大手企業で採用されるなど、引き合いが増加している。また、HSM「KeySecure」は、ジェムアルトのトークン化ソフトウェアを始めとした暗号ソフトウェアの暗号鍵を統合管理することが可能だ。さらに、Gemaltoでは、指輪やウェアラブルに対応したマイクロタグ、ワンタイムパスワード製品も紹介した。
スレットメトリックスは、認証トランザクションから正確な本人確認を行うための技術を開発しており、5,000社を超える企業で高い評価を得ているという。同社では、受動的にリピート顧客を認証することで企業をアカウントなりすましから守ることができる不正防止ソリューションなどを提供している。
NTTコムウェアは、QRコードを活用した携帯クレジットカード決済サービス「Easy Do(イージードゥ)」を紹介。2008年からサービスを提供しており、保険会社などで採用されている。Easy Doは、導入企業が用意した商品情報を組み込んだQRコードをスマートフォンや携帯電話のバーコードリーダーで読み取るだけで決済処理が可能だ。また、PCI DSSに準拠するなど、セキュリティも強化している。Easy Doでは、SMSサービス、Webサイト、収納代行サービス、カード情報引継、IVRサービス、企業間決済などの決済チャネルも用意されている。
ウエスタンユニオン・ビジネス ソリューションズは、入国前の留学生やその家族からの学費徴収を効率化する送金サービスを紹介した。
エムティーアイでは、銀行口座から即時に代金の引落や入金を可能にする「口座直結型スマートフォン決済」の検証を常陽銀行で行っているが、2017年10月27日からは「割り勘・集金」機能を追加した実証実験を行っている。