2011年5月31日8:44
デジタルコンテンツ事業者のオリジナル通貨発行を全面サポート
資金決済法に対応し、半年を超える有効期限の仮想通貨も提供
近年、オンラインゲームを始めとするデジタルコンテンツのマーケットは急拡大し、決済手段も多様化している。そんななか、決済代行事業者のソフトバンク・ペイメント・サービス(SBPS)は、デジタルコンテンツサービス向けに、仮想通貨の発行、管理、運営に必要な機能、業務をワンストップで提供できるASP型の仮想通貨サービスの提供を開始した。同サービスの導入のメリットについて話を聞いた。
ソフトバンク・ペイメント・サービス
運営コストとマネタイズ化までの期間を大幅に縮小
仮想通貨への豊富なチャージの手段を提供
仮想通貨は、PCや携帯などのオンラインサービスにおいて、アイテムなどを購入することができるもので、オンラインゲームや電子書籍、音楽配信などのデジタルコンテンツサービスを中心に小額課金に最適な通貨として提供されている。ソフトバンク・ペイメント・サービス(SBPS)では、デジタルコンテンツ事業者が仮想通貨を導入できるサービスを開始した。
「弊社が仮想通貨の発行者になるため、デジタルコンテンツ事業者様は、ASP型の仮想通貨サービスを導入することにより、仮想通貨に必要な機能や運用、プリペイド(前払式支払手段)運営に求められる供託金管理などの煩雑な業務運用から解放され、サービス運営に注力していただくことが可能です。決済代行事業者で仮想通貨サービスの提供を行っているのは弊社以外には無いと思っています」(ソフトバンク・ペイメント・サービス 取締役 営業本部 本部長 山浦政彦氏)
これまでデジタルコンテンツ事業者の多くは、自社でオリジナル通貨を発行する場合、独自にシステムを作り込むことが多く、大手のデジタルコンテンツ事業者の場合は、数千万円から億単位のコストがかかることもあったという。今回、SBPSが提供するサービスにより、デジタルコンテンツ事業者は、仮想通貨に必要な機能や運用を容易に導入でき、運営コストとマネタイズ化までの期間を大幅に縮小することが可能だ。
仮想通貨のチャージには、SBPSのオンライン決済ASPを利用することで、クレジットカードや、携帯キャリア決済はもちろん、プリペイドカードや各種電子マネーなど、SBPSが提供する決済手段から、事業者のニーズにあった決済手段を導入できる。また、2011年秋には、オートチャージにも対応する予定となっている。
通貨にチャージされた場合にのみ手数料を徴収
料率は15%未満を想定
「自社でシステムを構築するとなると管理コスト、システム構築期間もかかります。また、クレジットカードなどからチャージする場合は決済代行事業者に支払う手数料も必要になります。弊社が提供するサービスでは、チャージされたときはコストがかからず、通貨が利用された時にのみ手数料を頂戴する形になっています」(山浦氏)
手数料率も15%未満での提供を予定しており、「お客様にとってリーズナブルな価格帯となっています」と山浦氏は自信を見せる。
また、事業者がすでに保有している会員機能を利用し、同サービスと連携することも可能だ。供託金の支払いに関しては、「自社で対応するとなると金融庁への報告義務があり、業務上、非常に負荷がかかります。そこを弊社が肩代わりすることで、事業者はサービスに集中できます」と事業統括本部 副本部長 花村学氏は説明する。
ガンホー・オンライン・エンターテイメントで採用決定
画面を遷移せず通貨の発行が可能に
すでにオンラインゲーム大手のガンホー・オンライン・エンターテイメントの仮想通貨を同社で管理しており、ほかにも約10社で採用されている。
「ガンホー・オンライン・エンターテイメント様では、オリジナル通貨の発行、資金決済法に則した供託金の支払いなど、弊社が一括してお手伝いさせていただいております」(営業本部 営業企画部 担当部長 鈴木和香子氏)
また、Android向けのマーケットプレイスを新たに構築した顧客にも仮想通貨のサービスを一括して提供したが、今後はAndroidだけではなくPCなどのシステムにも拡張する予定となっている。同社のオンライン決済ASPはシステムを最適化して決済画面がアプリごとに自動で切り替わる点が強みである。
なお、資金決済法の対象外である5カ月未満の通貨を発行する顧客に対してもサービスの機能を提供することが可能だ。
オリジナル通貨は顧客を囲い込みに最適
目指すは1年間で50社50億円の売上
これまで、オンラインゲームの事業者の多くは、WebMoneyやBitCashなど、汎用電子マネーを利用してサービスを提供していたが、「汎用電子マネーでは自社サイトの告知など、プロモーション活動をなかなか行うことができません。その点、オリジナルの電子マネーを発行することにより、ユーザーの囲い込みやキャンペーン活動を行うことが可能です」と鈴木氏は話す。
すでにSBPSでは、デジタルコンテンツ事業者の多くに決済サービスを提供しているが、既存顧客の置き換えや新規をターゲットに「1年間で50社50億円の売上」(営業本部 営業部 営業推進グループ 担当部長 中尾和生氏)を目標としている。また、ソーシャルアプリ決済など、今後日本で普及が予想される分野にも領域を拡大する方針だ。同社では業界トップクラスの決済代行事業者を自負しており、同サービスの提供により他社をさらに引き離したいとしている。