2023年9月27日13:00
キャッシュレス決済サービスと DX サービスを推進するネットスターズは、東京証券取引所より、東京証券取引所グロース市場への新規上場が承認され、2023年9月26日に上場した。グローバル市場でペイメント大手の株価が値を下げるなど逆風の中で、ネットスターズ株は、公開価格1,450円を8%下回る1,334円で初値を付けた。代表取締役社長CEOの李剛氏と、取締役COOの長福久弘取締役、CFOの安達源氏が記者会見し、マルチキャッシュレス決済、DXソリューション、グローバル展開の3つの事業を強化する成長戦略を明らかにした。(ライター:小島清利)
キャッシュレス海外市場に陰り?
「日本はまだ成長余力」
記者会見で安達氏は「この夏、オランダの決済サービス大手のAdyenの株価が一日で39%急落するなど、グローバルの決済銘柄の株価が軟調です。これまで描かれていた成長ストーリーの通りになるのかどうかについて、市場に疑念が持たれ始めた形です。日本の決済銘柄も影響を受ける間の悪い中でのIPOとなりました。当社としては、マーケットの評価を真摯に受け止め、しっかり信任いただけるように取り組んでいきたいです」と述べた。
世界のペイメント市場をリードしてきたAdyenは、北米市場で競合企業による料金引き下げなどの競争激化のあおりで収入の伸びが鈍化したほか、世界的なインフレによって人員採用コストの高さなどが経営を圧迫しているとされている。また、アメリカの決済サービス大手PayPalも、北米市場での競争激化の影響で、利益が圧迫されており、世界的に決済銘柄の株価は軟調な傾向を示しているという。
安達氏は「日本市場における現在のキャッシュレス決済の競争環境は、海外に比べてタフな状況にはなっていないと考えています。日本国内のキャッシュレス比率は34%程度で、ドイツを除けばG7で最下位で、まだ伸びしろがあります」と指摘した。そのうえで、「(決済関連株が軟調な)マーケットの動きは、『今後まだ大きく成長する』と見られていたところで、『そうとは限らない』という警告であると受け止めています。この警告を我々にとって良いメッセージにするため、DXソリューションや海外事業などを屋台骨に育ていく必要があります」と話した。
技術力を活かして創業
QRコード決済のパイオニアが、IPO機にアクセル
ネットスターズは2009年の創業以来、ゲートウェイ事業を展開し、2015 年に QR コード決済サービス「WeChatPay」を、代理店として日本に初めて導入した。その後は、国内外の QR コード決済をはじめとするキャッシュレス決済を店舗に一度に導入・管理できるマルチキャッシュレス決済ソリューション「StarPay」を展開している。現在は「StarPay」の技術力を基盤に、店舗課題を解決するDXソリューションなど多角的なサービス展開に取り組んでいる。
代表取締役社長CEO 李剛氏は「私は中国の出身で、日本のIT業界に入って10年間、ネットワーク関連の仕事を続けてきました。やりがいはあったのですが、技術力を活かして何かやってみたいという強い思いがあり、2009年にネットスターズを創業しました。中国市場でQRコード決済が瞬く間に普及するのを見て、『これはチャンスだ』と思い、日本に持ってきました」とネットスターズ上場までの軌跡を話した。
そして、「ネットスターズのIPOは、新たなスタート地点に立ったという意味で、私にとってはたいへん意義深い日です。QRコード決済のパイオニア企業として、日本のキャッシュレス決済をさらに普及させるため、また、店舗DXを普及させるために力を尽くしていきたいです」と意欲を表明した。
DXソリューションは省人化がキーワード
海外展開はワールドカップで成長に手ごたえ?
この後、取締役COOの長福久弘氏が、ネットスターズの事業戦略について、マルチキャッシュレス決済、店舗ソリューション、海外展開の3本柱を強化することを明らかにした。中期成長戦略についは、「QRコード決済を中心としたキャッシュレス決済を基盤とし、DXソリューションと海外展開の加速により、収益の成長カーブの引き上げを目指す」との方針を示した。
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