シンガポールの決済用統一QRコード「SGQR+」商用化、NETSが目指すコード決済の利用拡大策は?

2024年12月12日8:00

シンガポールの決済用統一QRコードのスキームが新たな一歩を踏み出した。2023年のSingapore Fintech Festival(SFF)でも紹介された統一QRコード「SGQR(Singapore Quick Response Code、シンガポール統一QRコード)」の新規格「SGQR+」だが、シンガポールの大手決済サービスグループであるNetwork for Electronic Transfers(NETS)は同国でSGQR+の商用化を展開するとともに、Liquid Groupは11月7日に「roamQR」を立ち上げ、SGQR+の世界展開を目指すと発表した。今回はSFF2024のセッションから、NETSのSGQR+のPoC(実地検証)の成果や今後の展開計画について紹介する。

NETS Group  CEO Lawrence Chan(ローレンス・チャン)氏

PoC 加盟店の75%がSGQR+への継続参加に関心
取引額は3倍、決済スキームも増加

シンガポールでは、さまざまな企業の決済 QR コードを 1 つのラベルに統合し、加盟店が決済を受けられるようにするため、2018 年にシンガポール金融管理局(MAS、Monetary Authority of Singapore) によって「SGQR」が導入された。同取り組みは一定の成果を上げたが、複数の決済スキームを導入する加盟店は、さまざまな金融機関と提携関係を維持する必要があり、決済スキームの受け入れは加盟店間で統一されていなかった。例えば、20の決済手段を導入したい場合、契約の数が非常に多く、複雑になってしまう。

そこでMASは、2023年 11 月に SGQR+のPoC を開始。SGQR+ により、シンガポールの加盟店はさまざまな決済スキームからの QR 決済を受け入れ、すべての決済ニーズを単一のアクワイアラ(加盟店契約会社)に統合可能だ。これにより、複数のアクワイアラによる管理の複雑さが軽減される。SGQR+ の機能強化には、統合機能の向上、取引速度の高速化、ユーザー エクスペリエンスのシームレスな向上が含まれる。

SGQR+により、利用者は使い慣れたアプリを使用できるため、別のアプリケーションをダウンロードしたり立ち上げる必要も、現金を探して財布の中をもたつく必要もないという。

MAS が発行した PoC 後のレポートによると、参加した PoC 加盟店の 75% が SGQR+ への継続参加に関心を示し、金融機関の 86% が参加した PoC トラックへの統合が容易であったことに同意しており、ユーザー エクスペリエンスが向上できたことを示したという。同PoCは、2023年11月1日~30日までSFF 2023と並行して開催され、チャンギ地区内の1,000を超える加盟店受付ポイントでSGQR+が利用可能になった。同期間中、PoCでの取引額は3倍になり、参加加盟店 1 社あたりに受け入れられる決済スキームの数は、平均 3 から 12 に増加。PoC の採用も伸びており、POC 取引が最も多かった上位 10 加盟店の取引量は前月と比較して 93.9% 増加したという。参加加盟店の圧倒的多数となる、75%が継続することに非常に意欲的であると回答した。

1回の契約で国内外のさまざまな決済が利用可能に
「Hawkers Go Digital」に取り組む

NETS Group  CEO Lawrence Chan(ローレンス・チャン)氏は、「SGQR+はNETS加盟店や消費者に本当の利益をもたらすものです。支払い用のSGQRを持つ個別の店舗は、支払い会社との間でいくつかの契約に署名する必要がありますが、SGQR +を利用すれば、NETSがサポートしているスキームで加盟店契約を一度だけ署名すれば済みます。その結果、国内やインバウンドを含む18の決済オプションが同じQRをスキャンできるようになりました」と成果を述べる。

NETSでは、PoC以前から、実際に同コンセプトをシンガポールのホーカー(屋台経営者)と共に始めていた。「Hawkers Go Digital(ホーカーズ・ゴー・デジタル)」により、デジタル決済の普及を目指してきた。現在シンガポールに1万1,000以上のホーカーがあるが、これを管理する取り組みは大規模に行われており、数年前から実施されている。加盟店は18の決済会社から消費者を受け入れることが可能だ。チャン氏は「ユーザーにとってはシームレスであり、加盟店にとっては一元的な管理が可能です」と話す。シンガポールの規模を考慮すると、比較的大規模な加盟店基盤にアクセスできているそうだ。

決済加盟店は大幅に拡大へ、3金融機関とも連携
Tencentの相互運用可能な決済スキームと類似点も?

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