“売らない店“の先駆けが国内全店舗を閉店、ブームはどうなる?(EC NOW)

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2025年11月11日8:10

販売や決済をしない“売らない店”として話題となった体験型ストア「b8ta(ベータ)」が、2025年9月末で国内全店舗を閉めた。米国で全店舗閉鎖後も独自に事業展開してきたが、運営するベータ・ジャパンが継続は困難と判断した。「b8ta」の上陸後は、新たな収益モデルを目指す百貨店業界が同ビジネスに追従する動きが加速。店舗形式や決済手法などで依然模索が続くが、果たしてブームは一過性で終わってしまうのか。

通販研究所 渡辺友絵

記事のポイント!
①「b8ta」はRaaSのビジネスモデル展開
②ブランドとの出会いの場として位置付ける
③米国では20店舗以上あった直営全店舗を閉店
④百貨店も売らない店舗をオープン
⑤「複合型体験ストア」で購買可能な店舗も
⑥カフェやアプリで集客・購入も
⑦ミーツストアはギフト需要で差別化へ
⑧収益につながるビジネスモデル構築が課題に

「RaaS」というビジネスモデルで展開

ベータ・ジャパンは2020年8月に米国ベータ社と丸井グループなどにより設立され、日本での事業を開始。東京や大阪の一等地に「b8ta」店舗を開き、25年までに最大10店舗を目指していた。

そもそも「b8ta」は、実店舗での商品紹介や利用体験をはじめ、店内カメラが来店者から取得したデータなどをパッケージ化し、クライアントに販売する「Retail as a Service(RaaS)」というビジネスモデルだ。ブランド体験ができるリアルな場をD2C事業者などに提供し、商品への反応といったECでは入手できない生データをマーケティングや営業活動に活用してもらうサービスとなる。

商品を売るのではなく「体験」や「ブランドストーリー」を伝えることが目的のため、「b8ta」店舗では商品を一切販売せず、あくまでもブランドとの出会いの場として位置付けていた。

「b8ta Tokyo – Yurakucho」の外観(出典:ベータ・ジャパン)

全店舗クローズし事業から撤退

「b8ta」は上陸後、まず有楽町と新宿に店舗を同時オープンし、続いて渋谷と埼玉・越谷、大阪・梅田にも出店。D2Cブランドを中心にコスメやジュエリー、ガジェットなどを扱い、常設店舗と並行し各地で期間限定のポップアップストアも積極展開した。

2022年8月には、“売らない店”の開業・導入・運営を支援するサービス「by b8ta(バイべータ)」を法人向けに開発。“売らない店”の需要増を見込み、「RaaS」のビジネスモデル提供に着手していた。

同時にりそなグループや花王、そごう・西武、JAXAなどとの協業やイベント開催、コラボレーション企画を次々と実施。22年4月には第三者割当増資で約6億円の資金調達を行うなど、一見すると事業は順調満帆のように見えた。

しかし、米国のベータ社はコロナ禍の影響を大きく受けたことで、21年末に日本国内向け事業の商標権とソフトウェアのライセンスをベータ・ジャパンに売却。22年2月には、米国に20店舗以上あった直営全店舗を閉店していた。

ベータ・ジャパンはその後も独自に事業運営してきたが持続は難しかったようで、ついに国内全店舗をクローズ。今後は会社の清算か売却かを進めるとみられる。ただ、同社トップの北川卓司氏は「諸般の事情による判断であり、RaaSモデルが機能しなかったわけではない」とXに投稿している。

百貨店が次々と“売らない店”をオープン

「b8ta」の事業スタート後は、新たなビジネスモデルを探ってきた百貨店が“売らない店”にこぞって進出する動きが続いた。

そごう・西武が2021年9月に西武渋谷店に「CHOOSEBASE SHIBUYA(チューズベースシブヤ)」を開店。続いて大丸松坂屋が10月に「明日見世」を東京大丸店にオープンした。22年4月には、高島屋が新宿店に「Meetz STORE(ミーツストア)」を開いた。

サンプルを通じて使い勝手を楽しめ、スマホでブランドストーリーを体感できるトレンド感や、完全キャッシュレス手法が話題となり、メディア露出も相次いで一時はブームに。一方でその場で購入できない不満などの課題も見え始め、販売・決済方法の手直しなども行われるようになった。

当初スキームを見直し店頭での商品購入も可能に

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