2026年1月29日8:00
和田 文明
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プロフィール キャッシュレス、電子マネー関連のジャーナリスト/ライター、主に欧米、アジアのセキュリティを含むキャッシュレス情報、カスタマーロイヤルティプログラム情報を取材 |
“ソウル・キャッシュレス見聞記2025”第2部の第4回目は、韓国の“コインレス”(Coinless)の取り組みについて紹介してみたい。韓国では、少額硬貨(コイン)の“丸め”(四捨五入や切り捨て・切り上げ)が一般的な商慣行として広範に行われているわけではないものの、硬貨の流通を減らす“コインレス社会”への取り組みが中央銀行である韓国銀行(Bank of Korea)の主導で進められており、その中で現金で支払った際のお釣りを硬貨(コイン)ではなくデジタルマネーで受け取る仕組みなどが導入されている。
Index “ソウル・キャッシュレス見聞記2025”第1部 (1)韓国のデビットカード (2)韓国のハイブリッドカード(Hybrid Card) (3)韓国のハイブリッドコンビニ (4)韓国のコインレス(Coinless) (5)韓国のEasy Kiosk (6)韓国のIC乗車券 (7)韓国郵政のPost PayとZero Pay・韓国のデビットカード
“ソウル・キャッシュレス見聞記2025”第1部はこちら (1)韓国・ソウルへの旅 (2)韓国のキャッシュレスの現状について(上、下) (3)NAMANEとWOWPASS (4)Eximbay(エキシンベイ) (5)日系ビジネスホテルの東横インソウル永登浦に泊まって (6)韓国の観光アプリ
韓国には、ヨーロッパやオセアニアなどキャッシュレス化が進む国の多くが導入しているような全ての支払いに適用される統一的な少額硬貨の「丸め」は行われていない。韓国では、煩わしい硬貨のやり取りを減らし、硬貨の流通を減らすために、お釣りをデジタルマネーとして受け取る選択肢が提供されている。最も価値の低い1ウォン(約0.1円)や5ウォン(約0.5円)硬貨はすでに流通しておらず、店頭などでの会計は10ウォン(約1円)単位で行われるのが一般的である。韓国ではいわゆる「丸め」は行われていないものの、デジタル化と硬貨削減の取り組みにより、小銭のやり取りが減少し、キャッシュレス決済が推奨されている。
(表)は、現在流通している日本と韓国の紙幣と硬貨(コイン)の種類を示したものである。紙幣は日本、韓国とも4種類であるが、最小額面が日本の1,000円(約10,000ウォン)であるのに対して、韓国は1,000ウォン(約100円)で、レート換算すると韓国は日本の10分の1である。一方、最高額面の紙幣が日本の1万円(約100,000ウォン)であるのに対して、韓国は5万ウォン(約5,000円)とレート換算すると韓国は日本の半分である。しかも日本の1万円(約100,000ウォン)札が最初に発行されたのは67年前の1958年であるのに対して、韓国の5万ウォン(約5,000円)札が発行され始めたのはわずか16年前の2009年からである。それまで韓国の最高額面紙幣は1万ウォン(約1,000円)であった。韓国でキャッシュレス化が日本より進んだ背景の1つが、最高額面紙幣は1973年から発行が始まった1万ウォン(約1,000円)と低く、現金が使いにくいのも大きな要因であると考えられる。レジで大量の紙幣を数える手間を考えると現金の使いにくさが想像することができよう。
一方、硬貨(コイン)は、(表)のように、日本が1円(約10ウォン)から500円(約5,000ウォン)まで6種類であるのに対し、韓国は10ウォン(約1円)から500ウォン(約50円)の4種類である。日本の500円(約5,000ウォン)硬貨は記念硬貨などを除くと世界でも最も高額な硬貨の部類にあたる。過って、韓国の500ウォン(約50円)硬貨の大きさや重さが日本の500円(約5,000ウォン)硬貨と同じで、日本の自販機で悪用されるケースが多発したこともあった。韓国には。日本の100円(約1,000ウォン)硬貨や500円(約5,000ウォン)硬貨に類するものは無く、一般に硬貨は小銭である。また、韓国では、公式の「丸め」は行われていないが、煩雑な10ウォン(約1円)使用は、現在ではほとんど使われていない。
(表)日本と韓国の紙幣と硬貨(コイン)の種類
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日本 |
韓国 |
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紙幣 |
1,000円(約10,000ウォン) |
1,000ウォン(約100円) |
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2,000円(約20,000ウォン) |
5,000ウォン(約500円) |
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5,000円(約50,000ウォン) |
10,000ウォン(約1,000円) |
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10,000円(約100,000ウォン) |
50,0000ウォン(約5,000円) |
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硬貨(コイン) |
1円(約10ウォン) |
10ウォン(約1円) |
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5円(約50ウォン) |
50ウォン(約5円) |
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10円(約100ウォン) |
100ウォン(約10円) |
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50円(約500ウォン) |
500ウォン(約50円) |
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100円(約1,000ウォン) |
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500円(約5,000ウォン) |
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韓国銀行のHPより作成
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グローバルベースで見ると、紙幣や硬貨の額面は韓国の方が“普通”であり、日本の方が“特異”である。贋札対策、脱税対策、マネーロンダリング対策上、海外では高額紙幣の発行はあまり行われておらず、アメリカドルやユーロのように、例え高額紙幣が発行されていたとしても一般には広く流通していない。高額硬貨も通常日本円で100円から200円程度である。“特異”な日本は、現金(紙幣や硬貨)は他国より使い勝手が良く、日本のキャッシュレス化が遅れた要因の1つに数えられている。 |
韓国のコインレスへの取り組み
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