2017年2月28日17:34
NTTデータと台湾玉山銀行は、2017年2月14日にアライアンス契約を締結した。同契約により、両社は2017年下半期より、日本国内のECサイトを運営する各企業・店舗に対し、台湾の各銀行が発行するキャッシュカードによる支払いをはじめ、台湾国内で用いられている決済手段(台湾ローカル決済)が利用できるサービスを提供する。
台湾はアジアの中でも、クレジットカードの利用ではなく、銀行が発行するキャッシュカードによる支払いなどの台湾ローカル決済を利用する人が多くみられる。一方、日本のECサイトでは海外からの利用に対し、国際ブランド付きのクレジットカードによる決済方法のみを提供しているところがほとんどのため、越境ECの利用率が高い台湾において、日本のECサイト利用を制約する一因となっていた。
政府観光局 訪日外客統計の集計・発表によると、訪日台湾人の観光客は年間約417万人に上っており、2020年東京オリンピック開催に向け、今後も増加するものと見込まれる。また、台湾のEC市場規模は毎年10%程度の伸び率で拡大しており、現在は約4兆円市場となっている。台湾では、越境ECの利用も盛んで、日本日本のECサイトでの利用経験者は48.9%に上り、中国に次いで2位の規模となっている(台湾 Market Intelligence & Consulting Institute(MIC)(2014年4月1日)「2013年台灣網友海外購物成長5.3%」)。
日本に訪れた観光客が日本で購入した物を台湾に帰国してから再度日本のECサイトで購入するケースをはじめとし、台湾からの日本ECサイト利用はますます増加傾向にあるが、台湾のECサイト利用者の約半数近くが台湾ローカル決済を利用していると言われており、日本のECサイト利用における障壁の1つとなっていた。
そこでNTTデータと、台湾で初めて、台湾金融監督管理委員会からインバウンド/アウトバンドサービス取り扱い免許を発行された玉山銀行は、アライアンス契約を結び、越境ECにおける台湾ローカル決済サービスを提供することになった。
越境ECにおける台湾ローカル決済は、訪日台湾人の利用が見込まれる航空券やホテル等の予約手配、商品の販売などを行う日本国内のECサイトを運営する各企業・店舗に対し、台湾の各銀行が発行するキャッシュカードによる支払いをはじめとした台湾ローカル決済が利用できるサービスを提供するもの。
台湾から日本のECサイトを利用する際、利用者は台湾通貨で、かつ普段からなじみのある決済方法を選択のうえ、支払いをすることができる。また、NTTデータが提供するセキュアな環境によりサービスを提供する。
日本ECサイトのメリットとして、台湾からの利用が期待できる、航空券やホテルの予約手配や、商品の購入など、さまざまなECサイトにおいて多様な決済方法を提供することが可能になる。また、台湾ローカル決済が利用できることで、台湾からのさらなる送客効果および売上拡大が期待できる。
台湾消費者へのメリットとして、現在、台湾から日本のECサイトで買い物する場合、国際ブランド付きのクレジットカードを利用する必要があるが、購買金額とは別に海外利用手数料として購買金額に応じた手数料が発生している。同決済サービスが採用された日本のECサイトを利用することによって、クレジットカードを持っていない消費者でも買い物をすることができ、かつ消費者は手数料の負担も減ることで、買い物や予約手配による日本ECサイトの利用がしやすくなるとしている。
各社の役割として、NTTデータでは台湾ローカル決済を日本ECサイトで利用できるよう、台湾ローカル決済のネットワーク提供、および同決済サービス加盟店への資金精算を行う。玉山銀行は台湾金融当局から初めてインバウンドとアウトバウンド両方の免許を取得した金融機関で、台湾国内のキャッシュカードおよび台湾ローカル決済を束ねて対応するハブ銀行となる。