2017年8月23日8:00
購入状況によって「hontoポイント」付与率がアップする「hontoクラブ」を開始
WEBサイト上の電子書籍ストア、本の通販ストア、および、リアル書店での購入で「hontoポイント」を貯めたり使ったりできるハイブリッド型総合書店「honto(ホント)」が、2017年5月で5周年を迎えた。知名度も上がり、現在の会員数は410万人超。7月1日には、購入状況によってポイント付与率が最大4倍になるロイヤリティ・プログラム「hontoクラブ」をスタートさせ、利用促進を図る。一方でLINEやラジオ、リアルイベントなどを活用したキャンペーンを展開し、新規会員獲得にも一層力を入れる。
リアル書店とのネットワークが強み
ネットとのシナジー効果で購入を促進
WEBサイト「honto.jp」上の電子書籍ストア、本の通販ストアと、リアル書店(丸善、ジュンク堂書店、文教堂、啓林堂書店)での購入で「hontoポイント」を貯めたり使ったりできるハイブリッド型総合書店「honto(ホント)」がスタートしたのは、2012年5月17日。今年で5周年を迎えた。運営するのは、大日本印刷などが株主になっているトゥ・デイファクトだ。
配送スピードを強みとするAmazonなどに対して、「honto」の一番の強みは、リアル書店をネットワークしていること。これを裏付けるように、現在の会員数は410万人超だが、その7割がリアル書店経由での入会である。ちなみに会員は40代が最も多く、20~30代がこれに次いでいる。男女比は半々だ。
本好きの人は、書店好きでもある。たくさん本を読む人は、リアル書店とWEBサイトの両方を使い分けながら利用しているケースが多い。ネット通販で本を買っても、自宅で受け取るのが面倒だと感じる人もいる。また、特に技術書や図鑑などの場合、店頭で実物を手に取り、中身を確かめてから購入するかどうかを決めたいというニーズも強い。
「honto」では、リアル書店を便利に使ってもらおうと、2014年12月にリリースした、カードレスでポイントを貯めたり使ったりできるアプリ「honto with」で、店舗の在庫検索機能を提供してきた。今年7月にはこのアプリに書籍を店舗で取り置き・取り寄せできる機能を追加し、好評を得ている。
複数チャネルを利用するとポイント付与率がアップする
ロイヤリティ・プログラム「hontoクラブ」をスタート
「honto」では7月1日、ロイヤリティ・プログラム「hontoクラブ」をスタートさせた。これは、2カ月間に、電子書籍ストア、本の通販ストア、リアル書店の3つのストアで各1,000円(税込み)以上購入するとその翌月のポイント付与率が4倍に、2つのストアで各1,000円(税込み)以上購入するとその翌月のポイント付与率が2倍になるというもの。
また、ほかの利用促進策としては、WEBサイトに「ブックツリー」というコンテンツを掲載。各界の有名人を含むブックキュレーターが、各自のテーマに基づき、おすすめの5冊の本を紹介している。トゥ・デイファクト ハイブリッド事業企画部 土佐勝彦氏は、「思いがけない本との出会いを提供し、良い本がこんなにたくさんあるということを知ってもらい、ロングテール商品を掘り起こしていこうという試みです」と、意気込みを語る。
「ヘビーユーザーは黙っていても自主的に買ってくださる。裾野の広いライトユーザーにより利用してもらえるように、多くの方の興味を引く企画やコンテンツを用意して、メルマガなどでお知らせし、揺り起こすことが大切だと考えています」(土佐氏)
今後に向けては、物流コストがかからない電子書籍の売上を拡充することが大きなテーマとなる。一部の人が持っている「電子書籍は読みにくい」という先入観を取り払ってもらうために、無料でコミックを試し読みできるキャンペーンなどを実施していく。
リアルイベント、ラジオ、LINEと多様なメディアを駆使
既存会員の利用促進に加え、新規会員の獲得にも力を入れる
リアル書店では約4年前から、月刊のオフィシャルマガジン「honto+(ホントプラス)」を無料配布している。今年、この中の人気連載「ロバート秋山のクリエイターズ・ファイル」をテーマとしたリアルイベントを、全国のパルコで展開。ゴールデンウイークに東京・池袋店で開催したのを皮切りに、大阪、名古屋、福岡と回る。
この会場で配布しているチラシに掲載されたQRコードを読み取ってWEBサイトにアクセスすると、オリジナル壁紙を進呈する仕組みを設け、会員登録を促進。また、チラシを会場近隣のリアル書店に持って行くと、オリジナルのしおりをプレゼントするという企画によって、今まで書店に足を運ぶことが少なかった客層の送客に結び付け、店頭で入会を呼びかける。
また2016年12月には、「読書一生分プレゼント」として、抽選で1名に100万ポイント(100万円相当)をプレゼントするキャンペーンを実施。多くのメディアに取り上げられ、認知度アップ、新規会員獲得につながった。これに続き今年は、「家族一生分プレゼント」として500万ポイントを進呈するキャンペーンを実施している。
ほかに、TBSラジオで本を紹介する「東京ポッド許可局(推薦図書論)と「たまむすび(代読芸人おりしま1ページ)」に協賛し、hontoでのお得な購入の紹介とプレゼント提供やCMを展開。また、LINEのアカウントを開設して「友だち」になった人にスタンプをプレゼントするといった手法により、「これまでリーチできていなかった層との接触に成功しました」と土佐氏は成果を口にする。
7月24日にはWEBサイトに「中川翔子のポップカルチャー・ラボ」というコンテンツを新設。中川氏のファンに来訪してもらうことで、認知度向上、新規会員獲得につなげたい考えだ。
今後も多様なメディアを駆使した施策の展開を強化することで、早期に1,000万人の会員獲得を目指す。