企業が押さえる5つのテクノロジートレンドは?PayPayやStripe、Matercard等の事例も

2021年6月8日7:10

アクセンチュアは、2021年5月24日、今年企業が押さえるべき最新テクノロジートレンドについての記者説明会を開催した。当日は、アクセンチュア テクノロジー コンサルティング本部 インテリジェントソフトウェアエンジニアリングサービス グループ日本統括 マネジング・ディレクター 山根 圭輔氏が最新調査レポート「Technology Vision 2021」で企業がおさえる5つのトレンドについて紹介した。

5つのトレンドについて紹介する山根氏

テクノロジー活用企業とそれ以外との収益成長率の差が顕著に

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大によって、あらゆる業界で急変する市況や顧客ニーズへの対応が急務となっている。コロナ禍の中、テクノロジーを活用している先行企業とそれ以外の企業の収益成長率の差は2015年~18年で2倍だったのが、2018年~21年1月で一気に5倍に広がっている。山根氏は「テクノロジを活用して変化の達人になるのは必須の時代」であると説明する。

アクセンチュアの「テクノロジービジョン2021」では、今後3年間で押さえるべき5つのテクノロジートレンドとして、「テクノロジーの戦略的集積 ――アーキテクチャが未来を決定づける」「ミラーワールド ――インテリジェントな巨大デジタルツインが戦力に」「一人ひとりがテクノロジスト ――テクノロジーを民主化する」「あらゆる場所が仕事場に ――自社の環境を持ち歩く」「『個』から『全体』へ ――マルチパーティシステムが突破口に」の5つを挙げた。

PayPayの成長をAWSによるクラウドの拡張が支える

まず、「テクノロジーの戦略的集積」では、テクノロジ戦略と企業の目標は必ずしも整合していないという。山根氏は、テクノロジの戦略的集積を成功させるカギは、最初のステップとして技術基盤の要塞化を確実に行うこととした。その実践例として、ZホールディングスのPayPayが提供するスマートフォン決済サービス「PayPay」を紹介。PayPayはシステムを構築した期間は三カ月だったが、2年間で3,300万規模に拡大。同スケールをAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)によるクラウドの拡張性が支えている。

また、三越伊勢丹では、適応性の高い技術基盤を固め、新規顧客のフロントシステムを構築。さまざまな試行錯誤を経てトライを行い、リモートショッピング、バーチャル空間でのECを再発明するアクションが取れるようになったという。

求められるリーダー像として、インフラエンジニアの活躍しやすいように、クラウド化を推奨したDeNAの南場智子氏を挙げた。

「ミラーワールド」では、データやインテリジェンスを組み合わせて現実空間と同じ世界をデジタル空間で構築することによって、新たなオペレーションやパートナーとのコラボレーションにより未来を変革していくことを求めている。例えば、鹿島建設では、建物のモデルにカメラやIoTセンターの情報を統合して現場を遠隔管理している。米国・エネルギー省では、IoTデバイスからリアルタイムにデータを取得し、メンテナンスを効率化した。フォルクスワーゲンなど25社では、自動運転技術に向けて異常気象などの例外ケースを合成データで再現した。ライフサイエンス分野でも大阪大学ががんゲノムデータをデジタル追加して、ノーリスクで、患者へ投与する前に効果をシュミレーションしている。国土交通省が推奨する日本全国の3D都市モデル「Project PLATEAU」では、都市計画や自動運転などでのユースケースで活用可能だが、ハザードマップの3D可視化、ソーシャルディスタンスの測定・可視化、物流ドローンのフライトシミュレーションなど、オープンイノベーションの推進につなげることができる。

なお、求められるリーダー像として、徹底的な透明性を理念にデジタルを駆使したコロナ対策を行った、台湾行政院 政務委員、デジタル担当のオードリー・タン氏を挙げた。

「一人ひとりがテクノロジスト」では、誰もがDXを推進するイノベーターになれる時代に突入しているとした。例えば、神戸市では、新型コロナウィルス関連の情報提供アプリを市の職員が1人で構築した。また、オーストラリアのIOOFでは、IT社員と非社員のタッグで考え方を伝授している。さらに、ヤンマーでは、全社員SE化を掲げており、IT部門が最前線に立ち、事業部門と一体となってサービス開発を行っている。6つの管理項目から、自由な部分と管理する部分の線引きを明確化している。

求められるリーダー像として、1983年にグラミン銀行を創設した、ムハマド・ユネス氏を挙げている。

オフィスをバーチャル化するStripeやGMOペパボ

「あらゆる場所が仕事場に」は、パンデミックによりあらゆる場所が仕事場になっており、ワーケーションも広がりをみせている。アフターコロナ後もこれがすべてパンデミック前に戻ることはないとした。Microsoftでは、メール、会議、チャットから従業員のかかわり方を定量化、可視化した。また、同志社大学では、リモート環境に耐えるセキュリティを構築。ゼロトラスト型のセキュリティに移行した。

決済サービスを提供するStripeでは、従来オフィス同等の仮想オフィスを立ち上げた。これにより、入社希望者が増加。また、日本でもECサービスを提供するGMOペパボが全社をリモートワーク化するためのオフィスをバーチャル化している。

新しい仕事場にルールや文化を適用させた例として、オンチャットでの河合や絵文字使用を推奨した「HashiCorp」、オンサイトとリモートを同等にした「Quora」、文書化と非同期的コミュニケーションを推奨して世界中で採用が可能になった「GitLab」、IoT溶接機を使用して製造業も在宅化した「クリエイティブワークス」の事例を紹介した。

求められるリーダー像としては、オープンソースのLinuxカーネルを開発したリーナス・トーバルズ氏を挙げた。

TradeIX、シンガポールの医療情報、Mastercard等のブロックチェーン活用

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