クレディセゾン、「CSDX戦略」推進により内製開発や不正対策などの各分野で成果

2022年11月21日8:00

クレディセゾンは、2021年9月にデジタルトランスフォーメーション戦略を策定し、デジタル戦略「CSDX戦略」に取り組んできた。同社では、2022年11月14日にデジタル先進企業を目指し取り組んできたこれまでの進捗の報告と新たな展開計画を紹介する説明会を開催。当日は、クレディセゾン 取締役(兼)専務執行役員 CTO CIO 小野和俊氏がCSDX戦略の成果について紹介した。

内製開発案件の開発コストは61.8%削減
ルールとAIで不正利用を削減

小野氏は、サン・マイクロシステムに入社後、シリコンバレー本社での仕事を経験。24歳からアプレッソの代表取締役を務めていたが、セゾン情報システムズのグループ入りした。2019年からクレディセゾンにジョインし、事業会社で自社開発チームをゼロから立ち上げるなど、全セクションのデジタル化を推進してきた。また、日本CTO協会の理事、東京都 デジタルサービス局 東京デジタルサービス会議の構成員となっている。

クレディセゾン 取締役(兼)専務執行役員 CTO CIO 小野和俊氏

クレディセゾンがCSDX戦略に注力する背景として、同社では百貨店などの提携カードを発行して成長してきたが、インターネットとスマートフォンの普及により顧客の購買チャネルが “デジタルシフト”するなかで、これまで強みとしていたリアルチャネルを中心としたペイメント事業の成長モデルが鈍化する可能性がある。クレディセゾン自身、現行のビジネスのままでは成長できないという経営課題に直面しており、デジタルの力で事業を改善し、顧客体験価値を高めていくことが求められるとした。また、DX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれているが、顧客の「Curtomer Experienze(カスタマーエクスペリエンス)」、社員の体験を展開する「Employee Experience(エンプロイ・エクスペリエンス)」という2つが重要であるとした。

2019年に小野氏がクレディセゾンに移動してから3年半が経過したが、これまでの成果として、例えば内製開発案件の開発コストは61.8%の削減となった。また、SNSのフォロワー数として、公式Twitterのフォロワーが当時は1.2万人だったが30万人まで増えているように、さまざまな案件でデジタル化が進んだ。

クレジットカード業界では、クレジットカードの不正利用は非対面の番号盗用を中心に増えているが、クレディセゾンでは安全なカード利用を実現するため、データ分析による不正利用対策に日々取り組んでいる。ルールベースによる方法に加え、AI(人工知能)に強いPKSHA Technologyと組み、AIスコアを実装した。加えて、データサイエンティストのメンバーが日々解析を行い、ルールやモデルを追加している。不正検知の例として、ある取引が緯度・経度の情報でタイのバンコクからアクセスしていることが分かった。かつ攻撃を仕掛ける端末のスペックを調べたところ、CPUやメモリが数世代古い端末で一斉に攻撃している可能性があり、その拠点からのアクセスをブロックした。また、拠点の移動先でもブロックするといった対応を行い、不正を防止している。これにより、クレジットカードの不正未然防止率は2019年度の81.4%から2021年度は92.5%となるなど成果を生んだ。また、コンソーシアム型の取り組みも意義があると認識しており、自社はもちろん、他社が行う取り組みも検討している。

新ゴールドカードで維持、利用促進策
インド事業ではデジタル前提のシステム構築

クレディセゾンは、ペイメント事業、ファイナンス事業、グローバル事業を中心のビジネスを展開している。デジタル化には、「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」「DX(デジタルトランスフォーメーション)」がある。その中でファイナンス事業はデジタライゼーションとして、不動産領域などのファイナンス事業は業務プロセスのデジタル化に取り組む必要がある。ペイメント事業は、デジタライゼーションとして、デジタルを前提としたときにどう既存の業務を再設計できるかが求められる。新事業を創出するグローバル事業はDXが重要となる。

ペイメント事業では、ゴールドカード、「SAISON GOLD Premium(セゾンゴールドプレミアム)」を発行しているが、システム、データ分析、顧客体験、顧客の反応やデータによる改善業務を自社で行っている。カードの入会前からワクワク感・達成感が得られるコンテンツをスマートフォンアプリで提供している。同カードでは、セゾンカードを使うと「ゴールドメーター」が上がり、年会費無料の特典が受けられる。また、入会後もどのくらいカードを使えばレベルアップするかという「レベルアップメーター」があり、ユーザーの維持や利用促進につなげている。このように、会員の反応を見ながら素早い改善、業務プロセスも自動化していくことが重要だとした。

住宅ローンでは「フラット35」を提供しているが、従来の住宅ローンの申し込みは紙中心であり、申し込みから結果回答まで1~2日かかっていた。この課題を受け、申し込みや社内のプロセスをすべてデジタル化することにより、事前審査の結果回答まで最短30分で行えるようになった。

グローバル事業では、2018年から立ち上げたインド事業が急成長している。FinTech(フィンテック)との提携レンディングにより、社員数は400名になり、貸付残高も1,000億円の成長をしている。スマートフォンやクラウドの活用など、デジタルを前提としてシステムを作り込んでおり、「ベスト中のベストを0から始めているからできます。従来の常識では考えられなかったスピードや観点でできており、DXが実現しました」と小野氏は話す。

デジタルとビジネス部門協働の伴走型内製開発
コールセンターのナレッジシステムを構築

デジタル人材については3層で考えており、まず「コアデジタル人材」はデジタル技術やデータ活用に深い知識や経験を有しているコア人材だ。「ビジネスデジタル人材」は、ビジネス部門の業務知識や経験に加えて、デジタル技術やデータ活用をリスキリングして身につける、全社のデジタル化を推進する人材となる。また、「デジタルIT人材」は、デジタルやデータ活用に関する知識を保有し、自らの業務に活用する人材となる。

特に効果を感じているがビジネスデジタル人材だ。3年連続で社内公募を行い、人事、営業、コールセンターなどの人材が2カ月をかけてプログラミングの基礎、データベースのチューニング、テストの自動化、クラウド等を学習する。その後、チームに分かれて1つの課題に取り組み、学んだ知識を各部門で生かしていく。参加者は、どの部門で、どういう業務がどういうシステムで使われていて、どこが使いづらくて、取引先や顧客はどういう反応をしていて、誰が部署のキーマンで、どういう会議が行われているかという情報を生かせるため、デジタルだけではなく業務のことを把握した効果の高いデジタル化につなげることができる。

オープンチャレンジでは、エンジニアやデータサイエンティストを希望する社員を募集し、向き・不向きなどを判断してデジタル部門への配置転換を実施。異動後は外部研修やOJTによる実務経験にてデジタル技術を習得し、デジタル化を推進している。デジタル部門がビジネス部門と一体となって、業務の課題解決に繋がるシステムを検討しながら、柔軟なシステム開発を実現する伴走型内製開発を加速させている。

伴走型内製開発の例として、コールセンター業務の例を挙げた。社内のオペレーターで1,500人近くを有するが、マニュアルだけで2万ページあるという。例えば、カード再発行に関してはカードごとに例外があり、調べるのが大変だ。そこで、コールセンター用マニュアルを高精度で検索するナレッジシステムを内製開発にて構築。例えば、検索で見つけやすくすることはSIerなどでもできるが、キャンペーン関係の問い合わせが殺到した時の共有機能、分かりにくいマニュアルをフィードバックして改善することをタイムリーに実施できるようになった。業務削減効果は8万時間だが、顧客への対応時間の短縮、かつマニュアルの改善など定性効果の方が大きい。

CSDX戦略の2024年度までの目指す世界は?
データ外販の提供例も

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