2023年3月8日8:30
「コスモSS Pay」で「d払い」や他社クレジットカードでも決済可能に
石油元売りコスモエネルギーグループのコスモ石油マーケティングは、スマートフォンアプリ「カーライフスクエア」によるアプリ決済サービスの決済手段の拡充を進めている。2022年から23年にかけて、新たに、NTTドコモが提供する「d払い」や他社のクレジットカードの利用を追加した。石油元売り業界では、スマートフォンアプリの導入競争が加熱する中で、アプリ展開で先行しているコスモ石油は、決済サービスに「コスモSS Pay」という名称を付けて認知度を高めるなど、ここでも先手を打つ。同時にドライバーの使い勝手の向上を加速させることで、競争力を強化する狙いだ。
給油のキャッシュレス化を推進
個人向けですでに70%以上
コスモ石油マーケティング リテール部長 桑原浩一氏は「石油元売り業界は、政府がキャッシュレス推進を掲げる以前から、サービスステーション(SS)のセルフ化の流れに対応し、積極的にキャッシュレス化を進めてきました。コスモ・ザ・カードの会員数は400万人を超えており、個人の利用でいうとキャッシュレス比率は70%以上」と話す。
スマートフォンアプリの「カーライフスクエア」は、2019年の導入以降、累計570万ダウンロード(2023年2月現在)を数える。アプリを利用しての給油回数は1億回を突破している。ユーザーのさらなる利便性の向上を目指してアプリに決済サービスを搭載したところ、アプリを継続的に利用している顧客のうち、10数%程度がアプリを使った決済を利用しているという。
2022年5月、「カーライフスクエア」にて提供するアプリ決済サービスを「コスモSS Pay」とネーミングし、マーケティングの強化に乗り出している。事前に決済手段を登録することで、店頭でQRコードを1度提示するだけでクーポンの利用から支払いまでを一括で完了できるのが特徴だ。対象店舗は全国のコスモステーション約1,300店舗で、随時拡大予定。対象商品はガソリン、軽油、灯油となっている。
アプリ決済の対象商品やサービスの拡大
dポイント付与の強み生かしd払い追加
コスモSS Payを利用するには、「カーライフスクエア」に「支払い方法の登録」「メールアドレスの登録」「アプリ決済規約への同意」を行う。対象決済手段は、コスモ・ザ・カード・ハウスとコスモ・ザ・カード・オーパスのほか、22年5月に「d払い」の利用を追加した。桑原氏は「コスモ石油では、SSでポイントを貯めて、利用することができるのがdポイントと楽天ポイントで、とりわけ、dポイントが利用できることは他社との比較において強みになっており、d払いの採用は自然な流れでした」と言う。さらに23年1月末には、他社のクレジットカードの利用も可能になった。桑原氏は「クレジットカードの利用者は、ポイントを貯めるためにマイカードを集約する傾向にあります。現状では提携クレジットカードを使った給油が伸びているので、お客様のニーズに対応するために、アプリ決済での利用に追加しました」と話す。対象決済手段については、今後、さらに拡大する予定だ。
「カーライフスクエア」はアプリ上で、見積もりから決済までの操作を完了できる「コミっと車検」のほか、燃料油・カーケア商品のお得なクーポンの提供や、お勧めの給油タイミングのお知らせなど、さまざまなサービスを展開している。リテール部担当部長 兼 カーライフスクエア事業グループ長 吉岡秀晃氏は「アプリ利用者の利便を高めるためにも、アプリ決済の支払い対象をもっと広げていきたいと考えています」と話している。
フルサービスSSにハンディタイプの
モバイル決済端末導入を計画
コスモ石油のサービスステーション(SS)は全国に2,700カ所あり、そのうちの1,300カ所でアプリの利用ができる環境を整えている。さらに、現金が使えないキャッシュレス専用の実験店舗もある。桑原氏は「現金の扱いがなくなれば、レジ閉め業務などの労務コストの削減や盗難防止にもつながり、店舗経営の効率化が進みます。足元の目標を言えば、全てのSSでアプリが使えるようにしたいです」と話す。
しかし、現実には、フルサービスの店舗では、決済に人手を介する仕組みなので、アプリ決済を追加すると、かえってスタッフの手間が増えてしまう。それを解決する手段として、スタッフが給油した後に、車内での決済を可能にするモバイル決済ができるハンディタイプの端末の導入を計画しているという。
「コスモSS Pay」の名前の「SS」には、サービスステーションという意味のほかに、素早くスマート(スピーディ&スマート)な支払いを通じ、給油時の手間を解消することで、利用客の利便性向上を目指す、という同社の決意も含んでいるという。桑原氏は「キャッシュレス決済の推進は、販売拡大というよりも、お客様のニーズに対応するインフラを整備することに主眼を置いています。キャッシュレス決済の普及によって削減できたコストを原資に、お客様の利便性を高める新たなサービスを検討していきたいです」と語った。