2023年4月28日10:50
eコマース向け決済プラットフォームを提供するStripe(ストライプ)は、2023年4月13日に同社の決済事業を紹介する説明会を開催した。当日は、Stripe CRO(最高収益責任者) マイク・クレイヴィル氏に加え、新たにストライプジャパンの成長・営業戦略分野を担う代表取締役に就任した平賀充氏、および代表取締役でプロダクト・開発分野を担うダニエル・ヘフェルナン氏より、Stripe のグローバルおよび日本での直近の動きについて紹介した。
年間取扱額総額は8170億$に
日本での投資を継続して強化
当日はまずマイク氏がStripeの世界ユーザーの動向について紹介した。グローバルでは景気が後退局面にある中、多くの企業が売り上げアップ、コスト削減に取り組んでいる。売上を高めている企業はチェックアウトプロセスをローカル化するとともに、コンバージョン率を高める努力をしている。金融サービスをアプリに組み込んだり、新たなビジネスモデルを確立するなど、売り上げを高めるための施策を行っている。一方、コストを削減している企業はリピートできるようなタスクを自動化している。また、ソフトウェアを連携することで、データを一元化し、その価値を高めることで時間を削減しているとした。
マイク氏は「Stripeは日本市場に情熱を持っています」と話す。日本はeコマース市場において世界で4番目の市場であり、デジタル変革のチャンスが大きい。現在、小売決済の9%しかオンライン上で行われておらず、今後の伸びしろもある。Stripeの調査によると、日本の大手企業の40%、中小企業の75%がデジタル変革に着手していると回答したが、Stripeはその支援に力を入れている。また、日本政府がスタートアップ支援に乗り出す方針を示しているが、同社の技術は有効に活用できるとした。
2022年はStripeのプラットフォームで決済した年間取扱額総額が8170億$となった。同社の成長率も前年比で26%となっている。同社のプラットフォームを採用している100社の大手企業が10億$以上の取扱額となる。スタートアップでもStripeを使って起業する企業が前年比で19%伸びており、1日あたり1,000社が新しいビジネスモデルを開拓している。
Stripeでは日本でも投資を継続して行っている。日本ではStripeを利用する5社のうち1社が大手企業だ。トヨタでは、修理の機材を再販できるマーケットプレイスを構築している。ANAでは、マイレージプログラムのアプリを稼働した。DeNAはコンビニ決済を使って若い世代をターゲットとしたサービスを提供している。渋谷区とは、スタートアップ支援に関する連携協定を締結した。フードテックのBASE FOODは日本に加え、海外事業の強化に活用している。クラウド人事労務ソフトのSmart HRもサービスを活用している。
「Payment Links」は日本ユーザーに好評
Open AIなどAI企業を支える技術
続いて、Stripe ビジネスの最新状況について平賀氏が説明した。Stripeは昨年244機能、366のAPIをアップデートした。決済、海外決済、不正対策、サブスク管理、税、マーケットビジネスへの対応など、同社のプラットフォームをより安心・安全に使ってもらうために開発された機能を提供する。
同社にとって、スタートアップ市場は重要なマーケットだ。昨年1年を通して、2019年比で44%増のスタートアップ企業が設立された。Stripeは、「Stripe Atlas」というスタートアップ支援のソリューションを提供しているが、2022年は2019年比で155%の利用普及をさせた。会社名検索に加え、RSU(譲渡制限株式ユニット)権利の付与時に向けた83(b)申請書の事前記入、シードキャピタルを伸ばすためのクレジットパッケージなどを提供している。
また、SMSやQRコードを使用したリンクの共有で決済ページを作成できる「Payment Links」は、すでに1,000万リンクが作成された。簡易にページを作成できるメリットが受け、日本では非常に伸びているサービスだ。
なお、コロナ前は63%の急成長のスタートアップが米国・サンフランシスコのベイエリアで設立されたが、2020年以降は約46%となっている。米国では一極集中から都市が分散化されてきた。グローバルでもロンドン、シンガポール、パリ、東京、トロントの成長が著しく、「相対的にみて日本での成長が強い1年だった」と平賀氏は話す。
世界では、多くのAIスタートアップ企業がStripeのユーザーとなっているとした。例えば、OpenAIは、DALL・EとChatGPT Plusの決済パートナーとしてStripeを選択した。Stripeは、OpenAIの新しいGPT-4でツールを構築した。
大企業での利用も昨年は増加したという。年間100億$以上の決済した企業が100社あった。2018年以降を見ると、このペースが50%毎年拡大しており、その半数がStripeを利用している間に10%以上の成長をした。その約25%は100倍の収益を向上させたという。
また、大きなニュースとして、Amazonとは10年以上にわたって連携してきたが、両社間のグローバル契約を拡大した。Stripeはアマゾン ウェブ サービス(AWS) の利用を拡大し、日本企業のデジタル変革も支援していく。また、Prime、Audible、Kindle、Amazon Pay、Buy with Primeなど、Amazon の事業全体における決済量の大部分を処理する。
Forbesの2022年版クラウドトップ100の75%がStripeを利用しており、BMW、Amazon、セールスフォースなども含まれているそうだ。
日本企業は、売上拡大とコストの削減に向けて、Stripe導入の企業の意思決定がされている。マーケットプレイス型ビジネスへの対応やサブスクリプションによるトップラインの向上、デジタル化やDXの支援により事業のROIを向上することがStripe採用の要因となるそうだ。2022年の実績として、Stripeに新規加入した国内企業のうち、2割近くが大手・老舗企業となった。また、そのうち12%が越境ECも行っている。日本では東名阪以外のエリアでもStripeの利用が進んでおり、各エリアでの総額も増えている。
承認率アップでECサイトの収益に貢献
最後にダニエル氏がStripeサービスのアップデートと日本でのサービス改善の取り組みについて紹介した。
「Stripe Data Pipeline」は、StripeのデータとAmazon RedsiftやSnowflakeデータクラウドを同期して、データウェアハウスにある既存データと統合することで、ビジネスに役立つインサイトを迅速に引き出すものであるという。SlackやZoomの大手サービスサーが同サービスを使用している。
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