JPQRと東南アジアのQRコード決済の統一規格が相互運用可能に アジアの QRコード決済の「大阪・関西万博」で利用も視野に

2024年3月15日7:00

一般社団法人キャッシュレス推進協議会は、日本の「JPQR」と東南アジアの QR コード決済の統一規格に関する相互運用の取り組みについて、大阪で開かれる予定の 2025 年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の開催にあわせ、24 年度内にもスタートさせたい意向を示した。インドネシア、カンボジア、シンガポール、マレーシア、タイ、フィリピン、ベトナム、インドと交渉を進めており、日本国内でのインバウンド利用を先行させ、準備が整った国から順次スタートすることを目指している。

一般社団法人キャッシュレス推進協議会
事務局長常務理事 福田好郎氏

コード1枚で複数の決済サービスに対応
JPQR のグローバル活用の環境整備

「JPQR」は一般社団法人キャッシュレス推進協議会により策定されたコード決済の統一規格。JPQR の特徴の 1 つに、決済サービスごとに QR コードを設置する必要がないことがある。JPQR を導入すれば、JPQR の QR コード1枚で、複数の決済サービスでの支払いが可能だ。このため、レジ周辺の混雑が緩和される効果が期待できるほか、ユーザーの「どのQR コードを利用すればよいのかわからない」といった不安も解消することができる。月額料金や回線料は発生しないのも大きなメリットだ。

キャッシュレス推進協議会は、JPQR のブランディングや利用動向調査、運用、セキュリティ、グローバル連携などの活動を通じ、コード決済の標準化と普及促進に向けた取り組みを展開している。国内の利用促進については総務省、グローバルの普及については経済産業省と連携するほか、関係機関などとの調整役を果たしている。

JPQR の今後の展望について、一般社団法人キャッシュレス推進協議会事務局長常務理事福田好郎氏は「コード決済の国内での普及に関しては、インフラやプレーヤーが揃っていて、さまざまなキャンペーン効果もあって浸透してきています。今後は、2025 年の大阪・関西万博が開催されるタイミングをとらえて、グローバルにも活用を広げられる環境の整備を目指しています」と話す。

JPQR は 1 枚のコードで複数サービスの支払いに対応

グローバル相互利用へ
インドネシア、カンボジアと協力合意

シンガポールやインドネシア、マレーシア、タイ、フィリピンといった ASEAN 諸国では、JPQR と同様に国際基準(EMVCo 仕様)準拠の統一 QR コードの導入が進んでいるため、相互運用の実現が比較的簡易にできるという。インバウンド観光客を対象とした WeChat Payを 2015 年にいち早く日本に導入したネットスターズが、統一コード決済の相互運用の実現において、電文スイッチングや精算を行うシステムを構築・運用する国際スイッチャーの役割を担うシステムの構築を経済産業省の補助金を活用して進めており、今後はアジア各国のさまざまな QR コード決済を束ねる役割が求められている。

一方で、経済産業省は 2023 年 12 月、カンボジア国立銀行との間で「統一 QR コード決済分野における協力に関する日本国経済産業省とカンボジア国立銀行との間の協力覚書」(MOC)を締結し、交換した。この覚書の締結によって、両国の統一 QR コード決済の相互運用に関する議論の加速が期待されている。また、2022 年 12 月には、インドネシアのインドネシア銀行と「統一 QR コード決済分野における協力に関する日本国経済産業省とインドネシア銀行との間の協力覚書」(MOC)に署名している。インドネシアは、国内の統一規格である「クイックレスポンスインドネシア標準(QRIS)」の普及が進んでいるという。 このほか、シンガポールやマレーシア、タイ、フィリピン、ベトナム、インドと統一 QR コード決済の相互利用に関する交渉を進めている。実現されれば、国内外での QR コード決済の利便性向上、観光消費額の増大につながることが期待される。

日本とアジア各国の法規制の
問題をクリアすることが課題

JPQR とアジアの統一コードとの相互運用が可能になると、自国のコード決済を使って、相手国の店舗で買い物ができる。日本の店舗にとっては、コストをかけずに容易にインバウンド(訪日外国人旅行客)への対応ができる一方で、日本人が海外に出かけた際も、普段使っているコード決済を使って買い物ができるなどのメリットがある。 この JPQR とアジアの統一コードとの相互利用を実現するためのハードルとしては、日本とアジア各国の法規制への対応がある。まずは、日本としては 2025 年の大阪・関西万博をめどに、日本で海外のコード決済の利用ができる環境の整備を先行して進めており、国内利用に関し、どういうルールで運用するのかを、明確にする必要がある。福田氏は「政府を巻き込んで、ある意味、国策的に進めている案件なので、安全性に関する問題で間違いがあってはならない」と言う。まずはセキュリティを担保することが重要であり、相手国と個人情報を含めて、どれくらいの情報をやり取りするのかが、今後の議論の焦点の 1 つだ。

福田氏は「誰でも、どこでも、気軽に使えて、シームレスに支払いができる仕組みを構築することは重要であり、それができる環境を整えていくことは私たちの使命であると思っています。一方で、安全性を確保することは極めて重要であり、綿密に関係各省庁と打ち合わせをしているところです。急いで導入して、不正利用などが相次ぐと、不信感が芽生えて使わないユーザーが増えるリスクもあります。安全・安心に使ってもらえることを前提に、オールジャパンで取り組みます。個社でコード決済を導入するのが難しい店舗にとっても、みんなでやることでコストをシェアできる仕組みが実現できるように取り組んでいきたいです」と話している。

冊子「決済・金融・流通サービスの強化書2024」より

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