2025年4月11日8:00
明治では、2025年1月14日、独自のポイントサービス「明治ポイント」の本格運用を開始した。メーカーである同社が、エンドユーザーとダイレクトにつながり、健康や商品に関する情報を継続的に提供できる体制を築くことが、「明治ポイント」導入の目的だ。ユーザーは会員登録を済ませた上で、キャンペーンに参加し、ポイントを獲得。貯まったポイントをクーポンと交換し、店頭で同社商品と引き換えたり、割引価格で購入することができる。明治ではサービス開始と同時に、キャンペーンページへのエントリーで200ポイントをプレゼントする「明治会員ID新規登録キャンペーン」を実施するなどして入会を促進。現在までに3万5,000人が会員登録を済ませている。
「明治会員ID」数は現在3万5,000
SNS・キャンペーンを活用して認知拡大を図る
明治は、エンドユーザーとのダイレクトなコミュニケーションによって、個々に最適な情報・商品を提供することを目指し、明治会員ID、および「明治ポイント」の運用を開始した。同社も出資して2024年3月に設立されたDXマーケティング会社、Wellnizeと共同で、ポイントシステムを構築し、2024年5月からテスト運用を行っていたが、満を持して2025年1月、本格運用に至った。
DXマーケティングの第一弾として展開しているのは、デジタルクーポンの発行だ。会員登録をして明治会員IDを取得したユーザーは、会員限定のキャンペーンに参加したり、明治が提供するWebサービスやアプリを利用することで、「明治ポイント」を獲得。貯まったポイントはクーポンと交換して、コンビニエンスストアの店頭で同社商品と引き換えたり、割引価格で購入することができる。
明治 価値創造戦略本部 戦略推進部コンテンツ開発G長 川端善也氏は「クーポンの提供によって『いつものお店で、今まで買ったことのない明治商品を買う』行動を促したい」と施策の効果に期待を寄せる。
同社ではサービス開始の1月14日から28日まで、会員登録とキャンペーンエントリーページへのエントリーで200ポイントをプレゼントする「明治会員ID新規登録キャンペーン」を実施した。公式XおよびLINEで告知し、新規入会を促進した。1月末現在で登録会員数は約3万5,000人だが、同社はこれを早々に15万人まで拡大したい考えだ。
商品ブランドごとのユーザーに向けて
デジタルサービスを提供
個々の課題解決に貢献するデジタルサービスとして、同社では現在、4つのサービスを提供している。
1つは、粉ミルク「明治ほほえみ」のユーザーである子育て中の家族に向けた、育児記録ができるアプリ「赤ちゃんノート」。2つ目が、プロテインのブランド「ザバス」ユーザー向けのアプリ「ザパスアプリ」。食事記録、管理栄養士によるアドバイス、スポーツ栄養学情報の提供によってセルフマネジメントをサポートする。この2つのアプリは日々の記録の機能を備えているため、毎日欠かさずアクセスしているユーザーが多い。
3つ目は「免疫チェック」。唾液を採って送ると、免疫レベルを検査し、その結果をもとに免疫改善や生活習慣改善についてのアドバイスを行う。
4つ目は「インナーガーデン」。便を採取して送ると、腸内細菌タイプを検査。その結果に基づき、腸内タイプに合った素材を配合した商品と、生活習慣アドバイスやチャレンジミッションを提供する。
明治ではデジタルサービスのメニューを、今後随時、追加していく意向だ。
ユーザー軸でブランド戦略を再構築
オール明治でLTVの最大化を図る
同社では、粉ミルクの「明治ほほえみ」、プロテインの「ザバス」、健康をサポートする「R-1」や「チョコレート効果」、ほかにも菓子やアイスクリーム、ヨーグルトなどさまざまな商品ブランドを展開している。川端氏は「顧客軸で見れば、赤ちゃんから子ども、成人、高齢者と、まさに『ゆりかごから墓場まで』を網羅する商品群を保有しています」と説明する。同社はこれを点から線、線から面へと拡大してとらえ直し、お客様のLTV(ライフ・タイム・バリュー)の最大化を図っていきたい考えだ。
これまで商品ごと、ブランドごとに「数量×価格」で追いかけていた事業戦略を、一人ひとりのお客様を起点とした「ID数×LTV」の視点から整理し直す。明治会員IDによって、それが可能になる。
明治会員IDを基盤とする「明治ポイント」はまだ始動したばかりだ。最終目標は「明治エコシステムを確立し、それを強固にしていくこと」(Wellnize 代表取締役兼執行役 CEO 木下寛大氏)。改善を重ねながら、そのゴールを目指す。
「決済・金融・流通サービスの強化書2025」より