2012年6月20日8:30
スマートフォン・タブレット端末を利用したクラウド型の決済サービスを開発
「PastelPort Plus」により技術革新をサポートし、新たな小売の形を提案
カード決済ネットワーク「CAFIS」をはじめ各種決済ソリューションを展開するNTTデータは、スマートフォン・タブレット端末向けにクレジット決済および、クレジットサイン伝票の電子化サービスを行うクラウドサービス「PastelPort Plus」の提供を開始した。同社では、スマートデバイスによるサービスと決済を組み合わせ、日本の新たな小売の形を提案していきたいとしている。すでに、大手企業を中心に数千から数万台の引き合いがあるという。
NTTデータ
PastelPortの従来の機能をベースに
スマートデバイス用のゲートウェイを構築
「PastelPort Plus」は、スマートフォン・タブレット端末向けにクレジット決済および、クレジットサイン伝票の電子化サービス(伝票保管サービス)を行うクラウドサービスである。同サービスは、PastelPort Plusセンターと、スマートフォン・タブレット端末にインストールする決済アプリケーション、およびセキュリティ確保のためのカードリーダから構成されている。
同社ではもともとPastelPortのサービスにおいて、POSを利用する企業に対し、決済のASPサービスを提供してきたが、スマートフォン・タブレット端末の急速な普及を受け、Android OSやiOS(2012年7月予定)への対応を進めることとなった。決済に関しては、POSであってもタブレット、スマートフォンであっても業務的にはそれほど変わらない。同社がこれまで蓄積してきたPastelPortの従来の機能はそのままに、スマートフォンやタブレット用のゲートウェイを構築した。
「従来、POSで実現していたシステムをそのままスマートフォンやタブレットに横展開できるのが強みとなっています」(NTTデータ 第一金融事業本部 カード&ペイメント事業部 商品企画担当 部長 清水裕巳氏)
加盟店は、PastelPort Plusを利用するための専用アプリケーションをスマートフォンやタブレット端末にインストールする必要がある。当初はAndroidのみだが、今後はiOSにも対応する予定である。
2機種のカードリーダはスマートデバイスと分離
クレジット決済時のサインデータは7年間保管
スマートフォン・タブレット端末とBluetoothで通信を行うカードリーダは、モバイルプリンタ「SM-S220シリーズ」と、モバイル決済デバイス「E100」の 2種類を用意。同社では、一体型の決済ソリューションも検討したが、例えば、Androidの場合は端末により筐体の大きさが異なるため、まずは物理的な大きさに縛られない2機種からスタートすることが賢明であると判断した。
「決済端末を分離したことにより、スマートフォン自体の操作が向上すると、予想外に好評をいただいています」(NTTデータ 第一金融事業本部 カード&ペイメント事業部 商品企画担当 課長 嶋本渉氏)
両製品ともカード読み取り直後、即時に暗号化を行うため、カード情報そのものを保持しない。また、PastelPortセンターはペイメントカードの国際的セキュリティ基準である「PCI DSS」の認定を取得するなど、従前からセキュリティを強化している。
決済手段の拡充も随時対応する。クレジットカード決済に加え、7月中旬からは銀聯への対応も予定している。決済の処理スピードは、店舗の回線の状況にもよるがPastelPort同様に数秒で完了する。また、PastelPort同様に、オンラインでクレジットの処理を行う。
なお、クレジット決済時のサインは、スマートデバイスで行うことが可能であり、読み取った電子データはNTTデータのセンターで7年間厳重に保管するという。
すでに数多くの商談が進行しているというが、「現状、小ロットの問い合わせはそれほどなく、数千から万単位の引き合いが寄せられています」と嶋本氏は反響の良さに手ごたえを感じているそうだ。基本的にはスマートフォン1台に対し1台の決済端末を導入するケースが多いという。
2014年までに10万台の販売目標を掲げる
総合SIerとしての強みを生かす
まずは既存のPOSシステムにタブレットを追加する形からスタートする企業が多いが、「新たな形態の店舗の端末として、次世代のIT技術への対応をお手伝いできれば、自然とお客様はついてくると思います」と嶋本氏は意気込みを見せる。
実際、同社の顧客からは、スマートデバイスで決済を行いたいという要望よりも、接客の改革、ITコストの削減、従来できなかったマーケティング戦略の実施を求める声が多いという。そこに、「弊社がシームレスな決済スタイルを提案できることに価値を見出していただいています」と清水氏は説明する。今後は、既存の業務システムにタブレットやスマートフォンがアドオンすることにより、全体のITコストをどれだけ抑えられるかが勝負であると同社では考える。
具体的な利用用途としては、宅配便での客先決済、飲食店でのテーブル決済、催事・イベント会場での簡易レジ、店舗混雑時の臨時レジをはじめ、数多くのシーンでの利用が考えられるという。
同社では2014年までに10万台の販売目標を掲げているが、「その手ごたえは十分に感じている」と清水氏は自信を見せる。同氏は最後に、「『PastelPort Plus』は、ただ単にクレジットカード決済端末の代替品ではなく、業務の効率化、ITコストの削減など、総合SIerとしてのNTTデータの腕の見せ所だと思います。決済をコアにお客様のITコストの削減や新しいビジネスへの挑戦をお手伝いし、日本の新たな小売の形を一緒に作り上げていきたいです」と意気込みを語った。