2013年2月6日8:00
丸の内エリアで高い支持を受ける「丸の内カード」
会員数、稼働率、平均利用単価は順調に高まる
2012年は約1万2,000人の会員が増加
稼働会員数は77%と高い数字を示す
三菱地所ビルマネジメントは「丸ビル」、「新丸ビル」、「オアゾ ショップ&レストラン」、「東京ビル TOKIA」、「丸の内ブリックスクエア」「iiyo!!(イーヨ!!)」などの複合施設や路面店など、丸の内・有楽町エリア約480店舗で利用できる共通カード「丸の内カード」を発行している。
会員は、丸の内周辺の店舗での支払い時、丸の内カードの利用または提示で、1回の買い上げ金額100円(税込)につき丸の内ポイントが1ポイント貯まる。貯まったポイントは、1,000ポイントごとに1,000円分の「丸の内お買物券」に交換可能だ。また、丸ビル等で開催されるライブコンサート等イベントの招待、丸の内ポイント対象店舗からの期間限定特典サービス、プレセール招待などの特典がある。さらに、19カ所約4,000台の駐車場「丸の内パークイン」の利用を最初の1時間サービスしている。
同社では当初、提携クレジットカードのみで会員募集をスタート。しかし、1万人強の会員数で、売上に対する会員の利用率も1%と低かったため、2006年10月にポイント機能のみのカード導入を開始。そこから、会員数は順調に増え、2012年3月現在、有効会員数は約16万人となっている。昨年は約1万2,000人の会員が増加。稼働会員数は11万6,000人を超え、稼働率は約77%と高い数値を示している。
2012年3月の「丸ビル」、「新丸ビル」、「オアゾ ショップ&レストラン」、「東京ビル TOKIA」、「丸の内ブリックスクエア」の実績を見ると、会員の売上シェアは20.8%となっており、前年比1.7%の増加となった。また、客単価も3,462円と、前年に比べ234円アップした。
カード利用者の56%が千代田区に勤務
年4回のキャンペーンではポイント5倍キャンペーンを実施
丸の内カードは、丸の内周辺のワーカーに支えられているカードとなっている。現在、丸の内カードを保有する約56%は、千代田区に勤務。そのため、当初は平日の利用が中心だったが、最近では土日のカード利用が伸びているそうだ。ビルによっては土曜日の利用が一番高くなるところも出てきている。
三菱地所ビルマネジメントでは、年に4回、ポイント5倍キャンペーンを実施。集中的な売上アップを図っているが、「会員の認知度も高まっており、年々、売上もアップしています」と三菱地所ビルマネジメント SCテナント業務部 堀美恵氏は自信を見せる。ただ、消耗品の売上については、キャンペーン期間中は大きく伸びるが、その後の継続利用が課題になっている。
また、年に2回、6月と12月にシークレットセールを開催。顧客サービスに力を入れている。会員に対しては週に1回、水曜日にメールマガジン「丸の内カード通信」を配信。期間限定サービス、丸の内周辺のイベント、丸の内カードが利用できる店舗のキャンペーン情報などを紹介している。
会員情報の分析結果をキャンペーンに応用
DMを利用した店舗の販促支援も実施
三菱地所マネジメントでは、会員情報の分析にも力を入れる。同社では、リゾームの分析ソフトを導入。稼働会員数、会員売上額、ビルの買い廻り、優良顧客の状況などを定期的に分析している。
「これまで5倍ポイントアップキャンペーンは、丸の内のワーカーに合わせ、平日3日間、土日2日間の計5日間で行うことが多かったのですが、最近の傾向を見ると物販の土曜日の売上が高いことが分かったため、2012年11月のキャンペーンは3連休に合わせて開催しました。結果として、休日は滞留時間が長いため、客単価がアップし、全体で10%の売上アップにつながりました。」(堀氏)
テナント店舗に対しては毎月、売上状況などのレポートを提出。当該店舗でのカード会員の利用率、売上などの状況を説明している。また、各店舗に対しては、丸の内カードの会員データを活用したDM(ダイレクトメール)サービスを実施。店舗のニーズに応じてセグメントした会員に対して特定の店舗のキャンペーンを紹介するDMを発送することにより、質の高い会員に対してダイレクトなアプローチが可能となった。
2012年9月には、丸の内周辺の店舗が加盟する「丸の内商店会」が10周年を迎えた。丸の内カードでは、それを記念して、5日間で10万円以上購入した人を対象に1,000ポイントをプレゼントするキャンペーンを実施。結果として、予想を超える人が10万円以上の購買を行ったという。現状、年間100万円以上の購買会員は約1,200人いるが、買い上げ構成比の約10%を占めているそうだ。会員の売上も毎年10%アップしており、単価もアップしているため、構成比はさらに伸びると期待している。
「これまでは会員の獲得に力を入れてきましたが、現在は利用率を高めることに重きを置いています。多くの方が働いている街である丸の内に根差したカードとして、一人でも多くの方にカードを利用していただき、ファンになっていただきたいと考えています」(堀氏)
MUNのJ-Mupsでポイントをクラウド管理
三菱地所グループ共通カードの発行も予定
なお、三菱地所では、「丸ビル」「新丸ビル」「オアゾショップ&レストラン」「東京ビル TOKIA」などに出店している丸の内・有楽町エリアの約500店舗を対象に、三菱UFJニコス(MUN)およびジェイアール東日本メカトロニクスから、クラウド型マルチ決済システム「J-Mups(ジェイマップス)」を導入し、「クレジットカード」「銀聯カード」「Suica電子マネー」「J-Debit」の4つの決済に加え、丸の内ポイントが同一の端末で処理できるサービスを2013年2月1日から開始する予定だ。
同社によると、J-Mups導入以前は、新たな決済手段に対応するたびにカード決済端末の改修が必要であり、事業者側の投資負担が大きかったという。また、決済端末自体も高価であったため、新たな決済手段への対応も限られたエリア・施設でしか行えなかった。その点、J-Mups導入により、電子マネーや銀聯などの多彩な決済手段が一律で利用できるようになったことに加え、クラウドサービスであることから、将来想定される新たな決済手段にも容易に対応できるようになると期待している。今後は、導入施設の状況をみながら、他施設への導入に向けて検討していく方針だ。
また、三菱地所と三菱UFJニコスはこのほど、三菱地所グループの商業施設やホテル、ゴルフ場などの顧客を対象に、グループ共通のポイントが貯まる提携クレジットカード「三菱地所グループCARD」の発行で合意し、2013年4月に発行を開始する予定であると発表した。同カードは、丸ビル・新丸ビルなどの都心型商業施設や全国に8施設を展開する「プレミアム・アウトレット」シリーズ、2013年に開業する「MARK IS(マークイズ)」といった商業施設のほか、ロイヤルパークホテルシリーズ、ゴルフ場など、約40施設を対象としたグループ共通カードとなる。
三菱地所の商業施設事業のカード戦略については、関係各社ごとにそれぞれ提携カードを発行していることから、ブランド浸透や営業販促施策等において包括的な訴求が弱いという課題があった。
全社的にBtoCの事業(商業・ホテル・ゴルフ場・住宅)においてコーポレートブランドを訴求する方針であり、特に商業施設では不特定多数の一般消費者に対して訴求を行うことが可能であるため、非常に有効であるという。
丸の内カードは、あくまでもエリアの来街者、就業者の囲い込みが主目的である一方、三菱地所グループCARDは商業施設の枠を超え、“三菱地所グループコーポレートブランド”を打ち出すブランディングツールとしての役割を担うカードになるそうだ。