2013年4月12日8:01
スマホでマルチ決済を実現する「Incredist」を開発
電子マネーは第一弾としてnanacoに対応予定
フライトシステムコンサルティングは、都内で記者会見を開催し、iPhone・iPad等に対応したクレジットカード・銀聯カード決済ソリューション「ペイメント・マイスター」に対応する新たな決済装置「Incredist(インクレディスト)」の発売を2013年4月11日から開始したと発表した。Incredist は、J-Debit、電子マネー、銀聯カード、クレジットカードといった決済を一台で実現。電子マネーは第一弾としてnanacoに対応予定となっている。
フライトの他のスマホ決済との差別化とは?
Bluetooth4.0対応でiOS機器を選ばない
フライトシステムコンサルティングでは、2010年9月から、iPhone・iPad等に対応したクレジットカード・銀聯カード決済ソリューション「ペイメント・マイスター」を販売しており、宅配業者、生損保会社、訪問販売、旅行者向けタクシーなど既存端末からの置き換え需要に対応している。また、コンサート会場、スポーツグッズ販売、イベント・セール会場、高級外車販売店などの新規需要も開拓している。
最近では、楽天の「楽天スマートペイ」、ペイパルの「PayPal Here」、コイニーの「coiney」などのようにイヤフォンジャック型のスマートフォン決済サービスが登場しているが、それらは主に中小規模店舗をターゲットとしている。それに対し、「ペイメント・マイスター」は「多店舗展開しているお客様に提供している法人向けソリューション」である点が差別化のポイントとなっているとフライトシステムコンサルティング 代表取締役社長 片山圭一朗氏は自信を見せる。また、すでに数千台の導入実績を持っている点も強みとなっている。
今回開発したIncredistは、iPad等のスマートデバイスに決済専用アプリケーション「ペイメント・マイスター」を入れることで、接客したその場で複数の決済を実現することが可能だ。今回は、スマートデバイスとの分離型を採用しており、Bluetooth4.0対応でiOS機器を選ばない点も特徴となる。
磁気クレジットカード、ICクレジットカード、銀聯カード、J-Debit、ポイントなどの各種会員カードの読み取りに対応。また、自社で決済装置を開発したことにより、海外製品では実現が難しかった日本独自のJIS2フォーマットのカード、FeliCa対応の電子マネーなど、日本の決済市場の特性を盛り込んだマルチ決済装置となっている。価格もPOSレジのアプリの場合、数台で通常100万円程度かかるが、15~20万円で提供する予定だ。
これにより生損保外交員が保険料の初回時の支払いにクレジットカードに加えてデビット決済を提供することが可能になる。また、イベント・催事会場においては、小額決済は電子マネーで、高額決済はクレジットカードによる支払いが実現する。さらに、規格の異なる複数の決済端末を一台に集約することができるため、レジスペースの狭い店舗などへの導入も行えるという。
電子マネーはTFペイメントサービスの「Thincacloud」に接続
日本HPは7月からiOS対応の「ICASクライアント2.3」を提供へ
クレジットカード決済については三菱UFJニコスのセンターに接続するが、電子マネー決済センターは、トッパンフォームズの関連会社であるTFペイメントサービスが提供するシンクライアント型の決済サービス「Thincacloud(シンカクラウド)」を採用した。電子マネーは第一弾としてnanacoに対応し、順次他のブランドも追加する予定だ。
Thincacloudは、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)の「FeliCa」ICチップにアクセスするミドルウエア「HP IC-Chip Access Server for FeliCa(ICAS)」を活用し、電子マネー決済プラットフォームをクラウドサービスとして提供している。また、HPは、グローバルで決済プラットフォームサービス「Regional Cards and Payments Utility(RCU)」を展開しているが、国内独自のFeliCaベースの決済、Visaの「payWave」、MasterCardの「PayPass」など、数多くの非接触決済サービスに対応している。
Thincacloud は、NFC技術を利用したクラウドサービスにより、導入企業の負担を軽減している。nanacoには2012年8月から対応しており、今後は「楽天Edy」や「iD」への対応も予定している。また、リーダの汎用化により、仮に新しい電子マネーが登場しても端末にアプリケーションを追加する形で対応可能だ。TFペイメントサービス 代表取締役社長 黒羽二朗氏は、「NFCの通信規格で統一することにより、O2Oサービスとの連動も可能です」と説明する。
続いて登壇したセブン・カードサービス 電子マネー開発部担当 執行役員 磯邊俊宏氏は、電子マネーの裾野は2010年頃から着実に拡大していると述べた。また、Incredistのようなスマートデバイスも含め、複数の電子マネー決済が一台の端末で利用できることが重要であると説明する。さらに、決済だけではなく、ポイントやクーポンなど、付加サービスも含めて顧客にサービスを提供していくことも考えていくべきだとしている。
日本ヒューレット・パッカード アプリケーション・ビジネスサービス統括本部 アプリケーションデベロップメント本部 プログラムマネージャ 藤野一紀氏によると、同社ではFeliCa対応のICASは2006年8月から販売を行っているが、2013年7月にiOS対応の「ICASクライアント2.3」の提供を予定しているそうだ。