2017年8月29日8:30
スマホ決済PF機能を利用することでCAFISを利用する加盟店は簡易にスマホ決済が導入可能に
NTTデータは、スマホアプリと銀行口座を連動させたスマホ決済サービスを2018年度より開始する。サービスに先駆け、複数の金融機関、加盟店の協力を得て、8月より2カ月間の実証実験を行う。CAFISには、加盟店(流通・小売業など)約2,000社、クレジットカード会社約120社、金融機関約1,600拠点が接続されている。まずは大手加盟店が提供するスマホアプリの付加価値サービスとして展開し、将来的にはCAFISにつながるすべての金融機関、加盟店が使えるITインフラを目指す。
若年層などのスマホ決済ニーズの高まりに対応
銀行口座決済をサービスのラインナップに追加
9月4日から開始するスマホアプリと銀行口座を連動させたスマホ決済サービスの実証実験は、メガバンクと地方銀行の協力のもと、都内大型商業施設の一部テナント等複数加盟店で行われる。NTTデータでは、同実証実験の結果も反映しながら、2018年春より本格的な運用を開始する計画だ。金融機関は、みずほ銀行、三井住友銀行、秋田銀行、岩手銀行、足利銀行、千葉興業銀行、北越銀行、福井銀行、京都銀行、鳥取銀行、西日本シティ銀行、愛知銀行の協力を得る。
スマホの普及に伴い、若年層を中心にスマホ決済のニーズが高まっているが、スマホ決済については、クレジットカードをベースにしたものや、バーチャル口座にチャージをして利用するものが大半で、銀行口座からダイレクトに資金を移動させる決済サービス(デビットカード決済)の普及は遅れている。NTTデータでは、若年層を中心にスマホによる銀行口座決済のニーズは十分にあると考え、サービス開始を決めたという。
CAFISにつながるすべての金融機関、加盟店が使えるITインフラを目指す
加盟店向け決済サービスのキラーコンテンツに育てる
NTTデータは国内最大の決済ネットワーク「CAFIS」を有しており、この強みをもとにサービスを提供していく。ネットワークにつながったすべての銀行の口座決済を可能にし、これをすべての加盟店が利用できるようにすることを目指す。
NTTデータ ITサービス・ペイメント事業本部 カード&ペイメント事業部 ビジネス企画統括部 ビジネス企画担当 課長代理 入倉草平氏は、「弊社としては、加盟店向けの決済サービスとして、先行して広がると考えています。加盟店の決済サービスのキラーコンテンツにしていきたいですね」と語る。加盟店が提供するサービスとして広がり、その決済サービスの銀行口座決済としてCAFISと接続するさまざまな銀行との提携が進むとみている。
NTTデータでは、カード決済総合ASPサービス「CAFIS PastelPort」、共同利用型カード決済サービス「INFOX」、クラウド型決済プラットフォーム「CAFIS Arch」等のサービスを展開している。また、ハウスプリペイドカード「PaySpremeHouse(ペイスプリームハウス)」、販促サービスとしてCLOサービス「CAFIS Presh」を提供しているが、それぞれのサービスをスマホ決済PF機能に連携させることで、「加盟店では追加の投資負荷をおさえ、簡易にスマホ決済サービスを導入できることが売りとなっています」と、NTTデータ ITサービス・ペイメント事業本部 カード&ペイメント事業部 ビジネス企画統括部 ビジネス企画担当 主任 福島真季氏は笑顔を見せる。
利用者自身が、所有する銀行口座をあらかじめ加盟店等が提供するスマホアプリに登録しておくことで、スマホによる銀行口座決済が可能になる。スマホ決済サービス導入ニーズのある加盟店には、大規模小売店が多く、自社アプリを展開しているところも少なくない。そういった加盟店がアプリを提供する中で、送客から購買に至る顧客接点を強化する取り組みとしての訴求が可能だ。
「他のスマホ決済サービスの場合、アプリをダウンロードしてもらう手間がかかりますが、弊社スマホ決済PFサービスは、既存の加盟店アプリの中の1つのサービスとして銀行口座決済機能を追加していただけるため、加盟店自社アプリを起点とした顧客接点の拡大、販促に寄与するサービスになり得ると考えています」(福島氏)
新たな決済手段の提供による、クレジットカードを持たない層を含む、より幅広い顧客層の満足度向上も期待できる。
自行以外が開拓の加盟店でもスマホ決済が可能に
NTTデータは加盟店、金融機関との接点をより強化
金融機関のメリットとしては、自行が開拓した加盟店に加え、自行以外が開拓した加盟店でもスマホ決済サービスが提供可能になるため、自行の口座保有者の利便性を向上させることができる。また、「CAFISのネットワークを活用することで新たなシステム接続が不要となるため、銀行側システムインパクトを抑えられると考えており、早期の金融機関の拡大を目指したいと考えています」と入倉氏は説明する。今後は、金融機関が地場の加盟店にサービスを提案するなどの連携も図っていく。
なお、今回の実証実験では、QRコードをかざして決済を行うが、本格展開に当たっては、一次元バーコード、非接触ICなどの方式など、さまざまな読取方式に対応可能なバリエーションを検討するという。
次々と新しい技術が登場し、決済手段が多様化する中、NTTデータでは、「加盟店や金融機関に対し、しっかりとした価値を提供し続けていけるよう、ニーズに的確に対応するソリューション開発・提供に取り組んでいきます」とNTTデータ ITサービス・ペイメント事業本部 カード&ペイメント事業部 ビジネス企画統括部 ビジネス企画担当 課長 大原光明氏は意気込む。中国で普及している決済サービス「Alipay」など、昨今さまざまな〇〇Payサービスが登場しているが、他のスマホ決済サービスでも加盟店が求めるサービスであれば、決済のラインアップに加えていく方針だ。NTTデータとしては新たな決済手段の提供などによる付加価値向上に努め、加盟店や金融機関との関係をより強化していきたいとしている。