2010年10月19日8:20
「地域で囲い込め!ICカードのポイント・販促活用に迫る」~杉並区(2)
商品券を電子化し、長寿応援ポイントもスタート
助成金や謝礼金を地域通貨として支払う
「本事業に真剣に取り組み、制度として実現することで、よりよい杉並区をつくり、新しい地域活性化策として全国に発信していきたいと考えています」(杉並区長 田中 良氏)
区では来年秋から、紙で発行していた区内共通商品券やプレミアム付き商品券「なみすけ商品券」をICカードのFeliCa技術を利用した電子地域通貨として流通させる。また、「長寿応援ポイント」など、地域活動や地域貢献で貯まるポイントプログラムもスタートする予定だ。さらに、区民への助成金や謝礼金を地域通貨として支払うという。
将来的な構想としては、経済対策としての地域通貨のみならず、同事業で構築するインフラを官・民・学で共有し、他の地域サービスにも利用できるようにする計画だ。具体的には児童・高齢者の見守りシステム、災害時対策、区施設利用券、買い物弱者支援、商店街単位の各種イベント利用、大学の学生証などが考えられる。
主要な電子マネーの担当が集結
ポイントの相互交換などを検討へ
また「WAON」、「nanaco」、「Suica」、「Edy」といった電子マネーと、電子地域通貨事業を連携させることにより、カードや端末などのインフラを共有し、ポイントを相互に交換する取り組みなどを想定している。
委員会では、各電子マネー事業者の担当が電子地域通貨にかける期待を語った。まず、イオン 執行役 梅本和典氏は、「弊社が発行する電子マネー『WAON』は大阪府、名古屋市、姫路市などの地域に導入を進め、地域通貨として商店振興を目的にしてきました。この活動でイオンの取り組みが役立てられればと思います」と説明した。nanacoを発行するセブン・カードサービス 執行役員 磯邊俊宏氏は、「電子マネーは伸びていますが、まだ決して大きなマーケットには育っていません。まずは端末があるところにすべての電子マネーサービスが利用できる環境を整備していくことが、1兆円規模の市場を10兆円にするためのカギだと考えています」と、各電子マネーを共通して利用できることの重要性を述べた。
Suicaを発行するJR東日本 執行役員 椎橋章夫氏は、「最終的には電子マネーを利用してもらうことが大事になります。カードとリーダライタが点ではなく“面”で利用できるような環境が整えば便利です。弊社としても安定して利用できるシステムの構築と利用箇所の拡大に協力していきたい」との姿勢を示した。Edyを発行するビットワレット 最高戦略責任者 宮沢和正氏も「弊社にはEdyを使うと好きな企業のポイントが貯まる仕組みがございます。その仕組みを利用して杉並区のポイントが貯まるサービスを検討していきたい」と意気込みを語った。
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