2019年6月19日8:00
「China International Self-service, Kiosk and Vending Show 2019」(CVS)が4月25日~27日まで中国・上海で開催された。中国の自動販売機は大きな成長が期待されているが、今回は全体のトレンドについて紹介する。
中国の自動販売機市場は2020年に100万台を突破?
多くの自動販売機がAlipayやWeChat Payに対応
中国の自動販売機市場は2018年末で30~40万台程の出荷となっているそうだ。600万台以上が普及する世界第一の米国、約500万台と第二位の日本に比べ数値的には少ないが、今後の伸びしろは大きい。複数の企業に話を聞いた結果、「2020年には100万台を突破するだろう」という意見が多かった。また、中国の人口規模を踏まえれば、将来的に米国や日本を超える台数になる可能性もある。
日本では、飲料系の自動販売が多いが、中国ではより安価な形式の自動販売機も多くみられる。安価なハードウェアの普及やモバイルペイメントの加速度的な発展が、中国の自動販売機ビジネスを後押ししている。主要な自動販売機ではAlipayやWeChat Payに対応。中国の主要メーカーの担当者は、「どの自動販売機でも電子決済は主流となっています。現状、モバイルペイメントで支払われる方が8割以上を占めています」と説明する。
さらに、銀聯の非接触決済機能である「Quick Pass」といったNFCによる支払いに加え、顔認証や指紋、静脈認証に対応した機器も登場している。同担当者は、「日本では、生体認証のプライバシーの問題を懸念する考えもあるかもしれませんが、中国では日本ほど問題視していません」としている。
ボックス型のAI自販機は認識率アップが課題に
スクーターの充電サービスも注目が高まる
中国では職場や工場などにおいてボックス型のAI自動販売機を設置する動きもみられる。画像による動体検知、カメラによる棚ごとの認識、重力検知といったアルゴリズムがあるが、いずれも一長一短がある。AIの問題点としては、まず正確性が挙げられ、100%の認識に至っていない。ある企業は、「0.01%の誤差を埋めるために努力を続けています」と話す。また、安全性も懸念されており、日本の自動販売機のように雨ざらしでの設置は難しく、職場や工場など人目につく環境など、設置場所は限られてくる。
さらに、RFIDによって商品を認識するサービスも登場しているが、タグの取り付けの手間、コストの負担がある。
なお、無人販売店舗へのAIの活用に関しては、2017年以降にブームは起きたが、費用対効果と認識率の課題から2018年にブームは去っている。
そのほか、中国では、家でスクーターを充電した際、その時間が長くなるとコンセントの温度があがり、スクーターが燃焼してしまう問題が起こっている。そこで、政府主導で充電サービスを推奨しており、時間ごとの支払いをAlipayやWeChat PayといったQRコード決済で行っている。同展示会でも数多くの充電サービスが紹介されていた。