2022年4月1日8:00
チャージバックが大幅に減少、確認作業にかける時間も大幅に短縮
新型コロナウイルス感染症拡大の影響でECサイトの利用が伸びる一方で、クレジットカードの不正利用による被害が後を絶たない。牛丼チェーン大手の吉野家も、自社ECサイトにおけるカードの不正利用による注文に悩んでいたが、2020年10月、クレジットカードの不正検知サービスを導入。機械学習によって疑わしいと判定された注文に対して効率的に、より迅速に対応できるようになり、不正利用による損害額が大幅に減少したという。(書籍「ペイメントビジネス・セキュリティ対策の仕組み」より)
3カ月で累計160万円の損害が発生
機械学習の不正防止サービス導入
吉野家は2013年から、自社のECサイト「吉野家公式通販ショップ」で冷凍した「牛丼の具」を販売。現在は他に「豚丼の具」や「牛すき」といった冷凍食品や、ご飯付きどんぶりが入った常温で保存できる非常用保存食「缶飯」などを扱っている。コロナ禍で巣ごもり需要が増えたことからショップの売上は急増。同社によると、2021年3月から2022年2月までの売上は約4億円に上った。
しかし、ショップの売上が急増する一方で、2020年2月ごろからクレジットカードの不正利用による注文も増加した。特にショップで扱う商品の中では高額の缶飯が狙われ、多額のチャージバック(クレジットカードの不正利用などで、カード会社が加盟店に利用代金の支払いを取り消し、または返金を求めること)が発生。2020年2月から約3カ月間で、不正注文は約40件、累計160万円の損害が出た。
ショップも手をこまねいていたわけではない。カートシステムの「いたずら判定機能」を利用し、高額など不正が疑われる注文については、1件1件電話をかけるなどして確認していた。対応にあたった同社外販事業本部 ダイレクトセールス部長 木村陽子氏は「(注文の際に登録された)電話番号にかけてもつながらなかったり、注文者とは別の方にかかってしまったりします。注文の確認や(不正と判断した場合の)発送停止の処理などで、1件あたり30分、長い時は1時間ほどかかっていました」と振り返る。
不正注文が増えてからは、木村氏と他の担当者の2人で対応していたが、疑わしい注文1件1件に対し人手で確認するのは手間がかかる。同社にクレジットカード決済サービスを提供しているGMOペイメントゲートウェイ(GMO-PG)に相談したところ、2社の不正防止サービスを提案された。いずれもサービス内容にそん色はなかったが、コストが決め手となり、機械学習による不正取引防止サービス「Sift」を採用した。注文者の本人確認に3-Dセキュアを導入することも考えたが、利用者にとって分かりやすい注文手続きであることを優先し、今回は見送った。
チャージバックは月1件程度に減少
フリマサイトの新たな手口にも対応
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