2023年10月5日8:12
ビザ・ワールドワイド・ジャパンは、2023年9月27日、スマートフォン1台でVisa のタッチ決済が可能になる「Tap to Phone」に関するメディアブリーフィングを開催した。当日は、「Tap to Pay on Android」を開始したSquareの担当者も登壇。国内で決済を受け付ける加盟店の新たな選択肢として、「Tap to Phone」は有力な選択肢になるとした。
タッチ決済は日常業種以外にも広がる
Tap to Phoneは中小に加え大手も活用へ
Visaでは、四半期に1度メディアブリーフィングを開催しており、前回の開催では2023年3月末で発行枚数が1億枚を突破し、広がりを見せていることを紹介した。今回の説明会では、タッチ決済を受け付ける新たな加盟店ソリューションとして、「Tap to Phone」を取り上げた。
Visaは、世界中どこでもいつでも誰からも選ばれ 受け入れられる決済手段の提供により 豊かな生活の実現を目指しているという。日本は2025年までに決済比率を40%にする目標を掲げている。デジタル変革の中、決済手段や技術が多様化しているが、加盟店の決済手段は複雑化している。デジタル化社会の実現に向けて、汎用端末が決済端末になる「Tap to Phone」はこれまで決済手段を導入できなかった事業者にも提供可能だとした。
現在、タッチ決済は約200の国と地域で利用が可能だ。2023年3月現在、世界のVisaの対面取引に占めるタッチ決済の割合は59%となっている。
6月現在、日本国内では5件に1件がタッチ決済取引となる。また、2021年4-6月と2023年4-6月を比較すると、コンビニエンスストアは約5.8倍、飲食店は約11.6倍以上、ドラッグストアは約9.6倍以上、スーパーマーケットは約4.5倍以上の伸びとなる。ビザ・ワールドワイド・ジャパン 加盟店・アクワイアリング営業本部 シニアディレクター 山田昌之氏は「2年前はこの4業種以外ですとタッチ決済の比率は7%しかなかったですが、2023年4-6月は22%まで増えています」と話す。
タッチ決済は日常業種の利用から広がっていたが、高額な取引を行う加盟店にも広がってきた。9月には大丸松坂屋百貨店がJFRカード協力のもと、全国規模の百貨店で導入を開始している。
「Tap to Phone」は、手持ちのモバイルデバイスでVisaのタッチ決済の受け入れが可能となる加盟店向けソリューションだ。必要なものは、NFC対応のスマートフォンやタブレットのみのため、通常の決済端末と比較し、より簡易にVisaのタッチ決済を受け付けることが可能だ。また、Visaのルールや業界のセキュリティ基準に準拠したEMVチップ取引で、強固なセキュリティを実現している。加盟店はアプリをダウンロードするのみで利用できるため、小規模加盟店への新たな決済機会を提供し、大規模加盟店においても新たなユースケースの実現を可能にしている。決済端末の導入がネックとなっていた中小企業や個人事業主が利用するケースに加え、大手企業がサブのレジなどで使用するケースなどもあるとした。
「Tap to Phone」は世界90以上の国で導入され、対応デバイスは200万台を超える。具体的な導入箇所としては、フードトラック・キッチンカー、小売店、展示会、配達品、交通機関・パーキング、訪問販売、飲食店、保険営業などの例を挙げた。
インドのPine Labsでは5万台強が稼働
国内では小規模加盟店から稼働開始
米国の中小加盟店向けにアンケートを実施したところ、82%が2年前と比較して消費者はタッチ決済での支払いを好むだろうと回答している。また、75%がデジタル決済の需要に応えるべく、店舗でもキャッシュレス対応をアップデートする必要があると回答しているが、そのニーズに「Tap to Phone」はマッチするとした。
海外の導入状況として、インドの決済代行事業者であるPine Labsでは、Tap to Phoneソリューションを加盟店に提供しており、個人事業主、キッチンカー、タクシーなどで導入されている。新たなテクノロジーとして、すでに5万台強が稼働している。
また、コスタリカでカフェとベーカリーを提供するPanaderíay Cafetería K&W では、既存のPOSに加え、コロナ禍の中、「Tap to Phone」を導入したが、持ち運んで決済できるメリットを生かし、店舗での1カ月のタッチ決済の利用件数が17%以上伸びた。
日本における「Tap to Phone」は、2022年11月から、小規模加盟店を中心に展開。例えば、アイスクリーム販売の「ROLL ICE CREAM FACTORY」は早期に「Tap to Phone」を導入したが、決済端末が場所を取らないメリットに加え、30人ほど在籍するアルバイトがすぐに端末の操作を理解できたという。
Squareはタッチ決済のトランザクション件数が約4割
D2Cでの「Tap to Pay on Android」活用を期待
スマートフォンやPOSレジサービスを提供するSquareは2013年から国内で決済サービスを提供してきた。現在、日本における売り上げ全体の9割5分強、トランザクション件数全体の8割強が国際ブランドのカード決済となっている。1回当たりの支払い金額の平均はQRコード(PayPay)の約5倍、電子マネーの約7倍となる。
タッチ決済については、トランザクション件数の4割程を占め、前年と比較するとシェアは10倍拡大している。また、1回当たりの支払い金額はPayPayの約2倍、電子マネーの約3倍となっている。
Squareでは、9月6日から日本の事業者向けに「Tap to Pay on Android」の提供を開始したが、スマホ1つで「事業が始められる」ことが特徴だ。利用者は、無料のアプリSquare POSレジをGoogle Play ストアからダウンロードしてインストールすることで、国際ブランドが展開するカードのタッチ決済を受け付けることができる。また、レジ機能、QRコード決済のPayPayも利用できる。
人力車をつかって観光ガイドサービスを提供するえびす屋(京都)では、これまでSquareで決済をする時、Square リーダーとスマートフォン2点を持ち歩かなければいけなかったが、「Tap to Pay on Android」の登場で、スマホ1 台でカード決済が行えるようになった。
また、妻有ビール(新潟)では、Squareの「Tap to Pay on Android」をイベントで初めて使用したが、操作が簡単で、カード決済のスピードが早く、驚いたという。製造者が消費者と直接やり取りを行う「D2C(Direct to Consumer)」のトレンドがSMEや個人事業主に生まれる中で、接客から購買まで一気通貫で対応できる感動体験を促進できるとした。
Squareでは、試用プログラムを6月8日から16日まで実施。参加者からの反応も好評だった。例えば、リーダーの充電を忘れていても対応できるという声もあった。
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