2024年3月19日9:00
決済処理サービスを提供するStripe は、2023年の決済処理総額が前年比 25% 増の 1 兆ドル超え(約150 兆円)を達成した。これは、世界の GDP の約 1% に相当する数字だ。Stripeでは、加盟店の売り上げアップや収益改善に向けて、新たな開発を強化しているが、Stripe プロダクト開発担当役員 決済・財務サービス事業統括 Fran Ryan(フラン・ライアン)氏にAIを含むインターネット経済とペイメントの最新グローバルトレンド、同社のプロダクト戦略、日本市場の今後の展望について話を聞いた。同氏は2024年3月5日~8日に開催されたFIN/SUM 2024(金融庁/日本経済新聞主催)にも登壇している。Stripeは日本でも10万を超える企業が利用しており、トランザクションボリュームで一番の成長市場であるそうだ。
生成AIをプロダクトなどに活用
SMB向けの展開も強化
AIを含むインターネット経済とペイメントの最新グローバルトレンドは3つあり、1つ目はデジタル化とオートメーション、2つ目はプラットフォーム経済の中で特にSMB(中小企業)が台頭してきている。3つ目は、エンタープライズにおけるビジネストランスフォーメーション、新しいビジネスの展開が加速しているという。
ライアン氏は「デジタル化とオートメーションでは、Stripeのユーザーからもテクノロジーを使ってより多くのことを行いたいという要望を受けているため、AIを我々のプロダクトやサービス、オペレーションの中に活用することを進めています」と話す。
例えば、生成AIによりカスタマーサポートを充実させたり、ドキュメントをアップデートさせた。また、生成AIを開発者向けのガイドラインに採用している。さらに、レポーティング機能については、チャットGPTを使って、複雑なSQLのスクリプトを書かなくても自然言語で質問を投げてもらうことでレポートを作れるようにした。
プラットフォーム経済については、日本でもShopifyやUberといったプラットフォーマーをサポートしており、日本のさまざまな企業と商談を進めている。大手企業に加え、SMBがスムーズに参加できるように支援している。具体的には、決済やレポーティング機能の充実など、SMBがプラットフォームに参加する際の体験をスムーズに摩擦がない形で進めている。
ユーザー、地域や加盟店によって支払いを最適化へ
「Link」でコンバージョン率アップ
ライアン氏は「2024年は特にお客様の収益性強化に力を入れていきます。より多くの支払手段をサポートし、マシンラーニングを使ってペイメントメソッドの最適化を図ります」と説明する。StripeのStripe Payment Elementを利用した企業の利益が平均10.5%伸びたが、ユーザーや加盟店、地域の特性を踏まえた支払い方法を提供することで、さらに加盟店支援を強化する。
大企業では、新しいビジネスモデルや収益源を模索しているため、サブスクリプションサービス「Stripe Billing」でサポートしていく。Stripe Billing でサブスクリプション、請求、収益認識、レポートを提供する。例えば、日本経済新聞の日経IDではStripeの決済を導入することで、解約を最小限に抑えるなど、ユーザーの利便性を向上させたという。
Stripeでは、支払フローの最適化に向けてマシンラーニングを活用している。例えば、利用者の支払い情報が自動で入力される「Link」ではコンバージョン率を高めることが可能だ。利用者は支払い方法を保存し、ワンクリックで支払いを効率化できる。これにより、加盟店の売上を高めることができるそうだ。
Stripeではあらゆるシーンで最適な購買体験を提供するため、オンラインに加え、オフラインやモバイル等などを幅広くサポートしている。日本ではターミナルの提供は行っていないが、海外ではすでにオフライン決済もサポートしている。
ライアン氏は「お客様の利用シーンに合わせて正しい方法をサポートすると同時に、レポーティングによりお客様がどのような購買行動をされるのかという理解につなげていきます。日本のお客様とお会いする中でも、デバイスのサポートとして『Tap to Pay』、『PayPay』や『Suica』に対応してほしいという声もありました。ターミナルチームによりロードマップに反映させ、日本のお客様をサポートしていきたいですね」と話す。
ネットワーク変更で国内でトークン化など強化
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